1万ドルへの道

原文:The Road to $10K – BitMEX Blog

勝者のごとく損失を受け入れるか、引け注文で底値の呼値をつかむか?2019年第1四半期は出来高、ボラティリティ、価格は軒並み低調だった。2018年終盤の各市場の安値が再び試されるには至っていないが、市場の荒れ具合を見るとサウジアラビア大使館にいるかのように錯覚してしまう。

仮想通貨投資家のバランスシートはまだ修復されていない。損失を消化し、不幸な大衆は地道な仕事でしばらく資金を稼いでから、再び市場に参入するべきである。

すべてが泡と消えたわけではない。どんな資産も一本調子では上昇しない。2019年は退屈な展開が予想される。だが、年末に近づく頃には復活の兆しが見えるだろう。中央銀行は金融緩和を当面行わない。そこで、経済のプロは自由貨幣の誘惑に対抗できなくなり、次世代のグローバルマネーの造幣を声高に主張しようと、学術的根拠探しに忙しい(MMTがもてはやされるのはそれが理由だ)。

絶望には及ばない。CRippleの価値はなおゼロにはなっていない。教皇CZと組んだジャスティン・サンの新興宗教TRONは、まだこのような不良コインに喜んで投資する向きがいるという何よりの証拠だ。

電気自動車とオイルマネー

ビットコインは革新的な技術であり、プロトコルの技術的メリットは実質的なものである。カギを握るのは世界の金融情勢だ。 金融情勢は投資家が不信感をいったん棚上げにし、クリプト愛好者たちを信じることができるか否かを左右する。

2018年を通じて、無敵のFRBはバランスシートの規模を縮小し、短期金利を引き上げ始めた。世界はなお米ドル動向に影響されやすく世界市場は未だに米ドルの基調に左右されている。金融機関と政府は安いドルを求めており、2008年の世界金融危機以来、FRBは喜んで求めに応じてきた。

ハイテク系ベンチャーキャピタルファンドは認めようとしないが、ドル安は彼らの主要ビジネスだ。それ以外どうやって、「規模を拡大」し採算に乗るまで、総売上利益がマイナスの企業に出資し続けるようリミテッドパートナーを説得できるというのだろう。誰もが次のFacebookを狙っているのだ。

利回りがゼロかマイナスの国債に投資する際、自暴自棄になった投資家は利回りを得るためにどんなことでもする。テスラはその格好の例だ。イーロンCEOが巧みに作り上げたガラス張りのピットに、投資家が資金を注ぎ込む。テスラにぴったりなのは、Nasdaqというより、New York Bagel Co.の特別フレーバーだ。

イメージ倒れを指摘する筆者のテスラ説は一般に受け入れられず、投資家はなお外面の良いテスラのスポーツカーを買うために列をなし続けている。S&P 500銘柄に軒並み投資し尽くした投資家がそうするのを誰が責められるだろう。他にαを達成できる市場があるだろうか?

自由貨幣詐欺の別の例がビジョンファンドである。

  1. Softbankの帳簿に載っている間に、投資「価値」を最高の呼値に定める。
  2. 中東富裕層から投資家グループを見つける(ドイツで過去信用詐欺があったのと同様。「警戒が必要」だ)
  3. 架空の非公開資産を、中東の金持ちによって構成される事業体に売却する
  4. 現金を支払い、日本人投資家の配当払いに充当される

こうしたビジネスはFRBが金利をゼロ%に維持し、保有米国債とMBSがロールオフされるまで順調であった。テスラ株は2017年半ばに史上最高値をつけた。それ以降、イーロンCEOは株価を維持するための話題作りに奔走した。10億ドルの債券の償還が近づいていることに気が気ではないはずだ。株価は360ドルに遠く及ばないのに。

ビジョンファンドの原油成金も逃げ腰になった。ファンドが持ちかけたWeWork社への200億ドルの追加投資を拒絶し、結局投資額は20億ドルに縮小された。

米国が突然金融緩和を止めたとき、投資家はバリュー投資があちこちで復活しているのに気付くことになる。

2017年12月の仮想通貨市場の熱狂はFRBが量的引き締めに転換する直前に起こった。2018年の市場混迷は、仮想通貨資産や不良コインにも及んだ。

だが、事態は変わりつつある。FRBはSPXの20%の調整を看過できず、最近のFOMC議事録で、ドットチャートでは2019年末まで金利の引き上げは示されていないとしている。第3四半期には流出資産に再投資し始めるだろう。FRBのバランスシート拡大まで、あとわずかの辛抱である。

中国政府は、信用によって加熱した不動産投資の損害から逃れるために経済のリバランスが必要であるとわかっている。ただ、習総書記は、政治的大胆さをこの種の苦痛を伴う変動期に持ち出してはならない。さもなければ、中国人民銀行は、信用拡大を抑制する試みを拒絶するだろう。これら2つの最も重要な中銀は、金融緩和スタンスへ戻ろうとしている。

ファストマネーの矛先は、仮想通貨の前に、他の人気資産や流動性の高い投資先に向かうだろう。2019年は、キャッシュレスビジネスの旗手のIPOが相次ぎそうだ。Uber、Lyft、AirBnB、そしておそらくWe Companyが今年IPOを噂されている。

ファストマネーの矛先は、仮想通貨の前に、他の人気資産や流動性の高い投資先に向かうだろう。2019年は、次世代ビジネスの旗手のIPOが相次ぎそうだ。Uber、Lyft、AirBnB、そしておそらくWe Companyが今年IPOを噂されている。

Lyftは近日予定されるIPOで明らかに申し込み超過となっている。楽しい年になりそうだ。

これら有望企業の株価がIPO価格を超える高値で取引されれば、市場は活況を取り戻すだろう。仮想通貨がこうした活況にあやかるのは最後になりそうだ。あまりの多くの人がごく短期間にあまりに多くの資金を失ったため、市場の流れに乗り遅れないようにすぐ参入する気運が失われている。

復調の予感

復活の兆しが見え始めるのは第4四半期始め頃と予想される。自由貨幣と集団催眠は強力な効果を持つ。また、2年間の地道な労働後、ある程度の資金は貯まっているはずだ。

2019年の荒れ相場は深刻なものとなり、市場は10,000ドル台に押し戻る可能性がある。10,000ドルの大台は非常に重要な心理的バリアだ。ゼロが並び、ゴロも良い。回復局面では、20,000ドルがカギとなるだろう。ただし、1,000ドルから10,000ドルに到達するのは11か月を要したのに対し、10,000ドルから20,000ドルへの上昇、そして10,000ドルへの後退にかかったのは1か月足らずであった。

CNBCのメリッサ・リーはこの見方に関心を寄せている。10,000は私のラッキーナンバー。賭けてみると。

2019年第2四半期四半期先物リスト

原文:Q2 2019 Quarterly Futures Listings – BitMEX Blog

2019年3月15日に、BitMEXは新しい四半期先物契約の取扱が始まります。
2019年第2四半期の現在および今後の先物契約とその決済日については、以下の表をご参照ください。太字の行が新しい契約になります。

コードペア取り扱い開始日決済日
ADAH19Cardano / Bitcoin2018年12月17日2019年3月29日
ADAM19Cardano / Bitcoin2019年3月15日2019年6月28日
BCHH19Bitcoin Cash / Bitcoin2018年12月17日2019年3月29日
BCHM19Bitcoin Cash / Bitcoin2019年3月15日2019年6月28日
EOSH19EOS Token / Bitcoin2018年12月17日 2019年3月29日
EOSM19EOS Token / Bitcoin 2019年3月15日2019年6月28日
ETHH19Ether / Bitcoin 2018年12月17日2019年3月29日
ETHM19Ether / Bitcoin 2019年3月15日 2019年6月28日
LTCH19Litecoin / Bitcoin2018年12月17日 2019年3月29日
LTCM19Litecoin / Bitcoin2019年3月15日2019年6月28日
TRXH19Tron / Bitcoin2018年12月17日 2019年3月29日
TRXM19Tron / Bitcoin2019年3月15日 2019年6月28日
XRPH19Ripple Token (XRP) / Bitcoin2018年12月17日 2019年3月29日
XRPM19Ripple Token (XRP) / Bitcoin 2019年3月15日2019年6月28日
XBTH19Bitcoin / USD2018年9月26日2019年3月29日
XBTM19Bitcoin / USD2018年12月17日2019年6月28日
XBTU19Bitcoin / USD 2019年3月15日2019年9月27日

api-nonceヘッダの廃止

原文:Deprecation of api-nonce Header – BitMEX Blog

APIおよび取引システムアーキテクチャの継続的な簡略化の一環として、api-nonceヘッダーは2019年3月12日火曜日以降、サポートされなくなります。BitMEXは検証の一部として増加するnonceをチェックしなくなります。 ナンス方式は、APIによる認証に使用される署名の生成には依然として有効です。 TLSにより、リクエストがリプレイ攻撃される心配はありません。

詳しくはhttps://www.bitmex.com/app/apiKeysUsageをご覧ください。

次の世界金融危機を分析

原文:Anatomy Of The Next Global Financial Crisis – BitMEX Blog

抜粋:仮想通貨業界でおなじみの質問として「次の金融危機はいつ起こるのだろうか」というものがある。当社はこの質問に答える道筋として、まず2008年以降、金融リスクの震源地が銀行から資産運用業界にいかにシフトしたかという説明を試みる。シフトしたことで、リテール銀行預金と決済システムが脅かされた2008年が再現する可能性は低い。具体的には、金融システムの綻びが最も大きい領域は、実際より低目に抑制されているボラティリティとリターンを追い風とする社債投資ファンドと新型の債務投資ビークルであることを論証する。



(世界金融危機から10年経ち、当時の新聞は陽にさらされ黄色やピンクに変色している。いずれ、信用状況が再び逼迫する可能性はあるが、リスクの震源となるのは銀行部門でなく資産運用業界ではなかろうか?)

概要

ビットコインは導入時期も一因であろうが、2008年の世界金融危機に起因する金融の混乱と不信感の落とし子と言われている。したがって、ビットコイン投資家や仮想通貨業界からは次の質問がよく聞かれる。

「次の金融危機はいつ起こるのだろうか」

ご要望に応え、今回はこの問題の解決を試みることにする。

まず、質問自体を考えてみよう。この質問は主として次の3点を前提としているように当社には思われる。

  1. 今後数年内に世界は次の金融危機に見舞われる。金融危機は10年前後の間隔で必ず起こるものである。
  2. こうした危機はビットコイン価格に好影響を及ぼす。
  3. 次の世界金融危機は前回の危機と似通っており、銀行システムと電子決済システムの完全性に多くの疑問が投げかけられることになる。

上記3つの前提のうち当社が実際に賛同するのは最初の前提のみである。他の2つも正しい可能性はあるが、かなり不透明な部分がある。 

2番目の前提について、当社は2018年3月のブログで取り上げ、ビットコインは安全資産というよりリスクオン資産のように取引されていると指摘した。もちろんビットコイン価格は当時から大幅に下落し、この状況はこの先変動する可能性がある。実際に、ビットコインが次の危機(流動性が収縮時)に好反応を示せば、それはビットコインおよび価値の保存投資理論にとって大きな好材料となる。ただその強力な証拠はまだ存在しない。ビットコイン価格が他の代替的コインと乖離するシナリオには、リスクオン型投資理論(世界的なコンピューターまたは高処理能力決済ネットワーク等)が色濃く反映されており、こうした状況が起こる重要な根拠となりうるのではないかと当社は考える。 

3番目の前提には、本稿の主題となる次の世界金融危機の構造が関係する。

先進国市場の銀行のバランスシートは比較的健全

有名な格言曰く「歴史は繰り返さないが、韻を踏むことがよくある」。過去10年に銀行の経営陣と規制当局は2008年の暗雲の中で運営を続けてきた。その結果、銀行のバランスシートと自己資本率は大幅に強化されている。先進国市場の銀行の普通株式等ティア1(CET1)資本率は危機前の約5%から現在12%近辺まで向上している(グラフ1)。操作が難しく、より基本的な比率である対総資産自己資本比率もグラフのように同様の改善を示し、c5% からc9%に上昇している(グラフ2)。

グラフ1 – 米銀と英銀の累計CET1自己資本比率

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/2.png

(出典:バンクオブイングランドの英国累計データ、連邦準備銀行の米国累計データより)

グラフ2 – 米銀累計対総資産有形普通株式株主資本比率(資産500億ドル以上の銀行)

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(出典:連邦準備銀行

次の単純なグラフの方が、恐らく、上記比率より明確で説得力があるだろう(グラフ3)。このグラフからは、西欧諸国の主要銀行が世界金融危機以降、まったくバランスシートを拡大させていないことが読み取れる。実際、考察対象となった主要9行の累計総資産は2008年の19.3兆ドルから2018年には15.6兆ドルへ大幅に減少している。この急減の背景にはM&A活動があると主張する向きもあろうが、当社の主張はなお有効である。

グラフ3 – 先進国市場の主要銀行の総資産(単位:1兆ドル)

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(出典:BitMEXリサーチ、銀行決算情報、ブルームバーグ)

(注:グラフには次の銀行の合計報告資産が反映されている:JPモルガン、バンクオブアメリカ、シティグループ、ウェルスファーゴ、HSBC、RBS、ドイツ銀行、クレディスイス、UBS)

当社は、財務レバレッジが金融リスクの主因の1つであると考える。金融システムに潜むリスクの震源は2008年以降シフトしており、2008年の危機は、銀行システムにおけるレバレッジ(借入)、およびこの要因と住宅ローン市場の証券化が絡み合いにより引き起こされた。現在、一見低く見えるボラティリティ環境によって促進される資産運用業界のレバレッジ(特に社債部門)が同等のリスクにさらされている。

資産運用業界でレバレッジ増大

資産運用業界は銀行業界よりずっと不透明であり、レバレッジの程度を判断するのもはるかに難しい。そのため、資産運用業界のレバレッジ規模もこのレバレッジに関連する金融危機のタイミングも結論を下すのは難しい。

国際決済銀行(BIS)が2015年に公表した報告書『Leverage on the buy side』では、銀行システムから資産運用業界へのリスクシフトに焦点を当てた。この報告書では、投資ファンドのレバレッジは株式では比較的安定しているが、債券分野のレバレッジは2008年以降、新興市場を中心に増加が著しいとし、以下のように結論付けている。

銀行システムにおけるレバレッジは2008年の世界金融危機の重要な要因であった。危機以降、バランスシートの健全化のため銀行のレバレッジ活動は急減したのを追い風とし、国際ファイナンス分野への投資顧問(「バイサイド」)の進出が急速に進んだ。投資ファンドのバランスシート情報は、規制の厳格な銀行の情報ほど入手しやすくない。そこで当社は市場データ業者が提供する情報を使用して、バイサイドのレバレッジがそれなりの規模に達していることを発見した。ただし、レバレッジの規模はファンドの種類に応じてかなり変化に富むようである。株式ファンドポートフォリオのレバレッジは最小限にとどまるのに対し、債券ファンドは借入金にかなり依存する傾向があるようだ。

(出典:BIS

BISがこの報告書で使用したのは投資ファンドフローの専門業者であるEPFRが提供したデータである。当社は報告書の結論に賛同するものの、データの信頼性については一抹の不安を感じ得ない。当社自身で国際データの優れた情報源はまだ見つかっていないが、特定規模の米国内の投資ファンドは利用したレバレッジの規模に関するデータをSECに提出する義務を負う。SECは2013年第2四半期以降、このデータをまとめており、その主な傾向をまとめたものが以下のグラフである(グラフ4、5、6)。

データによると、資産運用業界は銀行部門とは対照的に、2008年以降大幅に規模を拡大している(グラフ4)。同時に、レバレッジも増加しているようであるが、この点を示す2008年以降の明確なグラフを作成するのは困難である。

グラフ4 – 米ファンド業界総資産価額(単位:10億ドル)

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(出典:BitMEXリサーチ、SEC

投資ファンドのレバレッジ規模を立証する計算方法は他にもあるが、最も基本的なのは総資産価額と純資産価額の比率を計算することである(通称ギアリングレシオ)。残念ながら以下のグラフ(グラフ5)の時間枠は限定的であるが、少なくともヘッジファンド部門ではレバレッジの緩やかな拡大が示されている。 

グラフ5 – 米プライベートファンド業界ギアリングレシオ – 総資産価額/純資産価額

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/6.png

(出典:BitMEXリサーチ、SEC

ギアリングレシオはデリバティブの影響を考慮していないため実際のレバレッジより低く算定されるが、SECではデリバティブのエクスポージャーの名目元本の開示も義務付けている。以下のグラフを見ると、米国を拠点とするヘッジファンドがデリバティブの利用を増やしていることがわかる。

グラフ6 – 米プライベートファンド業界 – ヘッジファンドのデリバティブの名目元本/純資産価額

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/7.png

(出典:BitMEX リサーチ、SEC
(注:SECのデータ報告方法の変更を反映するために調整を加えている。)

新型の社債市場ビークル

投資ファンドが社債市場でレバレッジの使用額を増やしているのに加え、債務市場の仕組みもきゅうそくに複雑かつ不透明になっている。社債市場での銀行の役割交替により、あらゆる種類の相互に関連する非排他的な投資構造が急拡大している。その一部を以下の表にまとめた。

債務の種類 説明/コメント レファレンス
ローン担保証券(CLO)複数企業のローンをグループにまとめて証券にしたもの。通常、複数トランシェに分割され、低リスクトランシェは低リターン、高リスクトランシェは高リターンである。最高リターントランシェの投資家は支払不能時の返済順位が最後になる。代表的買い手は、年金ファンド、保険会社、ヘッジファンドであり、特に高利回り商品を好むアジア投資家に人気がある。市場規模の拡大 – グラフ7
レバレッジドローン一般的に、既に借入率の高い企業に提供される変動金利ローン。大半の場合、100%無担保である。年金ファンドや他のプライベート投資家が購入することが多い。バンクオブイングランドの最近の試算によると、レバレッジドローンの世界市場の規模は2.2兆ドルであり、2006年の米サブプライムローン市場の規模1.3兆ドルを上回っている。市場規模の拡大 – グラフ8信用度 – グラフ15
プライベートデッド取引レバレッジドローン市場と似ているが、デッド(債務)は通常流通市場で取引されない。市場規模の拡大 – グラフ9
債券ETFおよび投資信託ETFはこの時期あらゆる資産クラスで人気が高まっており、社債ファンドも例外ではない。市場規模の拡大 – グラフ10
プライベートエクイティ信用度 – グラフ16

(注:上記表の各フィールドは相互排他的ではない)

多様な出典からの以下のグラフが示すように、銀行以外を通じて企業に信用を提供するすべてのメカニズムは前回の世界金融危機以降大幅に拡大している。

グラフ7 – ローン担保証券(CLO)市場の規模(単位:10億米ドル)

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/8.png

(出典:シティ、FT

グラフ8 – 米レバレッジドローン市場の規模(単位:10億米ドル)

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/9.png

(出典:S&P、FT

グラフ9 – プライベートデッド市場の規模(単位:10億米ドル)

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/10.png

(出典:バンクオブアメリカ、FT

グラフ10 – 米国投資家向け上位債券ETF(単位:10億ドル)

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(出典:BitMEX リサーチ、ブルームバーグ)

(注:このグラフは次の債券ETFの時価総額合計を表したものである。iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF、Vanguard Total Bond Market ETF、iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond ETF、Vanguard Short-Term Corporate Bond ETF、Vanguard Short-Term Bond ETF、Vanguard Intermediate-Term Corporate Bond ETF、iShares J.P. Morgan USD Emerging Markets Bond ETF、Vanguard Total International Bond ETF、iShares MBS Bond ETF、iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF、PIMCO Enhanced Short Maturity Strategy Fund、Vanguard Intermediate-Term Bond ETF、iShares Short-Term Corporate Bond ETF、SPDR Barclays High Yield Bond ETF、iShares Short Maturity Bond ETF)

社債市場の状況

グラフ11が示すように、社債発行高は2008年以降激増した。ラッセル3000指数の構成企業の社債総額は現在11兆ドルと前回危機時の8兆ドルを大きく上回る。このように社債による資金調達額が記録的水準に達している背景には、低金利と上述の新型商品がある。 

ただし、グラフ11の赤線が示すように、ラッセル3000企業のバランスシートの状態は比較的健全に見受けられ、対EBITDAの累計純債務比率はわずか2.5倍弱にすぎない。   この比率はここ数年上昇しているが、2008年の金融危機前に観測されたc3.7倍にははるかに及ばない。こうした健全性に貢献しているのが、少数の大手ハイテク企業である。こうした企業は潤沢なキャッシュを保有し、景気拡大を牽引する高収益を上げているが、景気状況が変われば、収益減少に合わせて企業のバランスシートは再び悪化し始める可能性がある。

グラフ11 – 社債発行高

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/13.png

(出典:BitMEXリサーチ、企業データ、ブルームバーグ)
(注:数値はラッセル3000の全構成企業の累計データ)

今後数年間、多額の社債償還が予定されており、流動性危機や社債部門の圧迫要因の影響を増幅させる可能性がある。当社の以下の分析が示すとおり(グラフ12)、米国市場における2019年の社債償還高は8,800億ドルに上る。

グラフ12 – 社債償還予定(単位:10億米ドル)

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/14.png

(出典:BitMEX リサーチ、ブルームバーグ)
(注:数値は約6,400件の米国社債データベースに基づき、累計発行高は5.7兆ドルに達する。)

最も警戒すべき指標は恐らく社債の信用度である。グラフ13には投資適格債の信用度別発行高が時系列で示されている。 2018年末、投資適格のうち最低クラスに該当するのは全体のほぼ50%を占める。これは過去30年の記録において際だって高い水準である。グラフ14では2021年以降状況がさらに悪化することが示されている。同年に償還する社債の圧倒的多数は最低クラスの投資適格債である。

グラフ13 – S&Pによる米社債信用格付け分布の時系列データ

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/15.png

(出典:ブルームバーグ、HSBC USD IG指数構成企業。金融/非金融企業を含む)

グラフ14 – 米社債償還年別発行高のS&Pによる信用格付け分布

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/16.png

(出典:BitMEX リサーチ、ブルームバーグ)
(注:数値は約6,400件の米国社債データベースに基づき、累計発行高は5.7兆ドルに達する。)

上述した従来とやや異なる債券ビークルの中には、信用度を評価するのが難しいものがある。だが、ムーディーズの最近のレポートでは、レバレッジドローン市場での投資家保護レベルの大幅な低下が指摘されている(以下のグラフ15を参照)。

グラフ15 – レバレッジドローン(米・カナダ)の契約条項の質に対するムーディーズの評価

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/cc.png

(出典:ムーディーズ、ブルームバーグ
(注:5.0が最も低く、1.0が最も高いスコアである)

グラフ16 – プライベートエクイティ取引のEBITDA乗数に対する平均合計債務

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/12.png

(出典:S&P、FT

低ボラティリティ環境

先進国における異例の金融政策により投資リターンとボラティリティが縮小しているのに対し、借入コストは低下しているため、投資顧問はレバレッジを利用しやすくなり、リスクオン傾向が強まっていると当社は考える。同時にこの政策により企業は借入をしやすくなっており、債券部門が低ボラティリティの影響を最も受ける結果となっている。「リスクパリティ」型、すなわち各資産クラスのリスク(ボラティリティ)に基づきポートフォリオを構築してから、レバレッジを利用してリターンを高めることでリスクを管理する投資戦略が人気を集めている。低リスク資産のウェイトを高くすることによる低リターンの影響はレバレッジにより軽減される。この戦略では株式よりも債券のウェイトを高くしつつ、レバレッジの組み込み率を高めることで一般的に低リスク資産とされる債券の低リターンのデメリットを軽減する。

2018年2月、恐怖指数(VIX)が急上昇し、Velocity Shares Daily Inverse VIX ETNを筆頭にVIXの空売りに主軸を置く投資戦略の価額はほぼゼロまで暴落した。これに伴いボラティリティは急騰した。この件については、BitMEX Crypto Trader Digestの2018年3月号を参照していただきたい。犠牲となったのは、手軽なリターンを求める好機便乗型の一部投資家であり、金融システムの他の部分への「ボラティリティ急騰」の影響は限定的であった。だが、見方を変えれば、2018年2月の出来事は債券市場全体の状況の縮図であった。現在、市場の主流投資家が意図的に低く抑えられたボラティリティと低借入コストの恩恵を受けている。いずれ市場は調整され、数億ドルどころか数兆ドルの資産クラスのポートフォリオが処分されれば、2018年2月より遙かに多くの投資家に影響を及ぼすことになる。

以下はこのシナリオを順番に示したものであり、リスクを深刻化する多様な要因が絡み合う。

  1. 何らかの材料に触発されボラティリティが急騰する。
  2. 投資ポートフォリオのリスク軽減が必要となり、最も流動的な市場で取引される債券が最初の標的となる。
  3. 最も流動性の高い市場では機械取引が主流であり、機械によって流動性が同時に消失する可能性がある。
  4. 投資家が我先に撤退すると、債券市場はボラティリティと流動性が急上昇し、機能不全となる。
  5. CLOや債券ETFといった債券ベースの証券化資産が純資産価値から大幅に割り引かれて取引される。
  6. 株式などの他の流動的資産クラスに影響が広がる。
  7. その後数年間、新たに確立された債務生産構造が枯渇し始める。企業は借換に手こずり、景気に悪影響が及ぶ。

言うまでもなく、ボラティリティ増大につながる主要因はわからない。地政学的事象、新興市場における過剰な米ドル建て債務、中国の資産運用業界における高度のレバレッジ、受動的ETF、高頻度取引、中銀バランスシートの急速な縮小、想定外の大企業破綻、ユーロ圏の債務危機など、果てはビットコインのコンセンサスにおける致命的バグなど、ボラティリティ急増の原因は枚挙に暇がない。  

肝心なのは何が具体的なきっかけであるかではなく、低ボラティリティと過剰なレバレッジによって金融システムは不安定さと脆弱さをはらむようになる。問題が生じた後でそのきっかけを探り出し、元凶と非難される向きは多数いるが、理論的誠実性を欠いていると思われる。

結論

銀行は資産運用機関より金融システムおよび社会にとって重要性が大きい。資産運用機関に圧力が加わる場合、一部の富裕層は資産価値の減少に見舞われる可能性があるが、リテールと法人の預金は安全である。そのため、次の危機は2008年ほど強烈なものになるとは考えにくい。ただし、危機の影響を抑制するための政府が介入する可能性は2008年より小さい。 

1つめの要因は最も明白なものでもあるが、中銀が使える手段が大幅に減っていることが挙げられる。金利は既に低く、バランスシートは既に拡大している。2番目の要因として、政治的なものが挙げられる。これは最も重要な要因でもある。例えば、米国のトランプ大統領、英国のブレグジット、フランスの黄色いベスト運動の背後にいる人々は、絶対とは言えないものの、金融市場での特定の種類の政府介入を支持しない可能性がある。 

現在の「大衆主義」傾向の強い政治情勢では、金融資産を大量に所有していない中間層の相対的な負担が大きくなる資産価格を上昇させるためのプログラムや量的緩和プログラムの正当性を主張するのは前回の危機時より困難である可能性がある。したがって、次の危機では「政治的反対」という知覚されたリスクに対処することにより、中銀が積極的に取れる措置の範囲が大幅に絞られる可能性がある。 

忘れてならないのは、2008年以降、中央銀行の政策に対して政界が反発し、2011年頃にピークに達した事実である。別の重要な相違点として、ソーシャルメディアなど当時反発を誘発させるために使用できるツールが今ではさらに発達していることが挙げられる。西欧では2008年以降、政治的不透明要素が増えているように見受けられる。こうした不安定要素が金融ボラティリティと絡み合うと、リスクは増大しかねない。

次に危機が発生する時期については、皆目見当が付かない。本稿のグラフでは問題を特定することはできても、現時点で大規模な危機が視野に入っているのか、数年先のことなのかは読み取れない。危機で利益を得る方法については、その時期を予期するよりさらに難しいだろう。VIXのコール、長期社債ETFのプット、インデックスリンク国債、ボラティリティ専門のヘッジファンド、金などからポートフォリオを組み、規模は小さくてもビットコインをその中に組み込む余地もあるかもしれない。繰り返しとなるが、危機の時期は誰にもわからない。ただ、今が投資ポートフォリオを調整するタイミングではないだろうか。

2019年2月19日における短期間の機能停止について

原文:Notice of Minor System Outage 19 February 2019 – BitMEX Blog

2月19日5時31分(日本時間14時31分)において、取引エンジンの機能が約1分間にわたって停止致しました。

この問題は、内部市場データの配信コンポーネント間でデータが長期間にわたって転送されることが原因で発生していました。こちらはプラットフォームの総合的な耐久性を向上させるために行われていた定期的なアップデートの一部でした。根本的原因はすでに特定済みで、問題の再発生を防ぐための内部プロセスの修正は完了しております。今後も、このような状況における取引エンジンへの潜在的な影響を取り除くためにマーケットデータ配布のアーキテクチャの改定を続けて参ります。

お客様にご不便をおかけした点についてお詫び申し上げます。ご不明な点がございましたら、カスタマーサポートまでご連絡下さい。

BitMEX保険基金

原文:The BitMEX Insurance Fund – BitMEX Blog

要旨:この記事では、BitMEXの保険基金が必要な理由と、それがどのように運用されているかということを説明します。BitMEXの保険基金モデルを、従来のレバレッジ市場(例えば、シカゴ・マーカンタイル取引所)で利用されているシステムと比較します。結論としては、レバレッジと損失限定機能を提供する仮想通貨取引プラットフォームは、従来の機関投資家用取引プラットフォームと比較して、いくつか固有の問題に直面していると言えます。しかし、BitMEXの保険基金の増大により、勝ちトレーダーが期待利益を獲得できるよう、合理的なレベルでの確実性を提供しています。


(BitMEX 共同創業者兼CEO Arthur Hayes (左)と シカゴ・マーカンタイル取引所会長兼CEO Terrence Duffy (右))


レバレッジ・トレーディング・プラットフォーム

BitMEXなどのデリバティブ取引プラットフォームで取引する際、トレーダーは、そのプラットフォームを相手に取引するわけではありません。BitMEXは、サードパーティ間でのデリバティブ取引の仲介者に過ぎません。BitMEXプラットフォームの主な機能は、レバレッジ機能で、トレーダーがビットコインを入金すると、レバレッジを掛けて(理論的には最大100倍まで)、入金したビットコインの額をはるかに上回る想定ポジション額で取引できるようにするものです。

レバレッジ機能とトレーダー同士が互いに取引できるような仕組みを同時に提供するということは、勝ちトレーダーが期待利益をすべて回収できるとは限らないということを意味します。レバレッジがあるため、敗者が、勝者に支払うために必要な証拠金を十分に持っているとは限らないからです。

次の単純化された例を考えてみましょう。このプラットフォームには、互いに取引する2人の顧客がいるとします。

トレーダー A トレーダー B
取引の方向 ロング ショート
マージン 1 BTC 1 BTC
取引執行価格 $3,500
レバレッジ 10x 10x
想定ポジションサイズ 10 BTC 10 BTC
現在のBTC価格 $4,000
期待利益 $5,000 ($5,000)

上記の例では、勝ちトレーダーAは、5,000ドルの利益を上げることを期待しています。この利益額は、負けトレーダーBが取引の担保として設定した資本額を上回ります(1ビットコインは4,000ドルに相当します)。そのため、トレーダーAは1 ビットコイン(4,000ドル)の利益しか得られず、おそらく少しがっかりするでしょう。

従来の取引

一方、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)などの従来の取引所では、BitMEXなどの仮想通貨プラットフォームほどの問題は生じません。従来のレバレッジ取引の場には、最大五重の補償機能が用意されており、勝者は期待利益を確実に得ることができます。

  1. トレーダーが、自分のアカウントにある担保よりも大きな損失を発生させてしまい、その結果、アカウントの残高がマイナスになった場合、自分のアカウントに資金を追加投入して、このポジションに資金を供給する必要があります。トレーダーにとってそれが不可能であるか、あるいはそれを望まない場合は、ブローカーはトレーダーに対して法的手続きを開始し、資金を強制的に提供させるか、破産の申し立てを行わせます。トレーダーはブローカーを使わなければなりません。ブローカーが各顧客のバランスシートと資本を評価し、各顧客のリスクの評価に応じたレバレッジを提供するためです。
  2. 従来のデリバティブ市場では、トレーダーは通常、トレーディングプラットフォームに直接アクセスすることはできず、ブローカー(清算会員)、例えばJP モルガンやゴールドマンサックスなどの投資銀行を通じて市場にアクセスします。トレーダーが損失を抱え、借金を返済できない場合は、ブローカーが取引所に支払い、カウンターパーティーに損失が発生しないようにしなければなりません。このため、取引所から見ると、こうしたブローカーは清算会員と呼ばれることがあります。
  3. 清算会員の債務不履行が発生した場合は、しばしば集中決済機関自体がカウンターパーティーに弁済しなければなりません。たいていの場合、清算および決済は、取引所を運営する事業体とは異なる事業体によって運営されています。クリアリングハウスは、清算会員の債務不履行に備えるため、通常、様々な保険基金や保険商品を保有しています。
  4. 清算会員が失敗し、集中決済機関も資金が不足している場合、場合によっては、支払能力のある他の決済会員が資金を提供することになります。
  5. 大手クリアリングハウスの多くは(そしておそらく大手ブローカーでさえ)、金融規制当局から、世界の金融システムにとって、仕組み上、重要な存在であるとみなされています。したがって、主なクリアリングハウスが機能しなくなる可能性が高いと思われるような最悪のシナリオでは、金融システムの完全性を保護するために、政府がトレーダーに介入して、救済する場合があります。通常、トレーダーや金融機関は、特に金利スワップ市場において、多額の想定ポジション(数兆米ドル)を、別のポジションや商品に対してヘッジした状態で保有します。このため、主たるクリアリングハウスに常に支払い能力があることが重要で、さもなくば、金融システム全体が崩壊する可能性もあります。

CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)

CMEは、世界最大のデリバティブ取引所であり、年間の想定取引量は1兆米ドルを上回ります。これは、BitMEXの1,000倍以上の大きさです。CMEには、清算加盟国の債務不履行が発生した場合に備えて、セーフガードと保険がいくつか用意されています。資金はさまざまな方法で調達されています。

  • CMEからの寄付
  • 清算会員からの寄付
  • 会員の債務不履行時には清算基金から償還される、清算会員が発行した債券。

CMEクリアリングのさまざまなセーフガードと保険基金(2018年)

ベース・ファイナンシャル・セーフガード・パッケージ
保証基金の拠出金 $4.6 billion
指定企業献金 $100 million
アセスメント・パワー $12.7 billion
IRS ファイナンシャル・セーフガード・パッケージ
保証基金の拠出金 $2.9 billion
指定企業献金 $150 million
アセスメント・パワー $1.3 billion

(出典:CME)

例外的なケースですが、保険基金が枯渇した場合に、破綻した会員の費用を賄うために、破綻していない清算会員に対して「アセスメント・パワー」を適用する権限がCMEにはあります。アセスメント・パワーの額は、会員のデフォルト1件あたり、各清算会員保証基金の2.75倍が上限となります。

上記の表の保険基金の規模に基づけば、CMEはさまざまな保険基金に約220億米ドルを保有していることになります。これは、CMEにおける年間取引想定元本額の約0.002%に相当します。

現在、BitMEXやレバレッジを提供するその他の仮想通貨取引プラットフォームは、CMEなどの従来の取引所と同じような保護策を、勝ちトレーダーに提供することはできません。仮想通貨取引は、リテール主導の市場であり、顧客は、プラットフォームに直接アクセスすることを期待しています。また、仮想通貨取引プラットフォームは、リテール顧客にとって魅力的な、損失リスクに対するキャップ機能を提供しています。このため、仮想通貨取引所が顧客を追い詰めることはなく、口座残高がマイナスの顧客から支払いを求めるようなことはありません。BitMEXなどのレバレッジを利用した仮想通貨取引プラットフォームでは、クライアントに魅力的な提案を行います。たとえば、変動の激しい原資産に対して損失リスクを限定すると同時に、無制限の利益享受を可能にします。ただし、場合によっては、勝ちトレーダーが期待する利益を支払うだけの資金がシステムにない場合は、トレーダーがその期待利益を諦めなければなりません。

BitMEX 保険基金

この問題を軽減するために、BitMEXは、負けトレーダーの損失負担を限定しつつも、勝者が期待利益を確実に受け取れようにするための保険基金システムを開発しました。

トレーダーがレバレッジの掛かったオープンポジションを保有している場合、維持証拠金が少なすぎると、そのポジションは強制的にクローズされます(すなわち清算されます)。従来の市場とは異なり、トレーダーの損益は、市場でポジションがクローズされたときの実際の価格を反映するわけではありません。BitMEXでは、トレーダーが強制的に清算された場合、そのポジションに関連するエクイティは常にゼロになります。

取引ポジションの事例
取引の方向 ロング
マージン 1 BTC
ビットコイン価格(参入時) $4,000
レバレッジ 100x
想定ポジション額 100 BTC = $400,000
想定ポジションに対する維持証拠金比率 0.5%

上記の例では、トレーダーはレバレッジが100倍のロングポジションを保有しています。ビットコインの時価が0.5%(3,980ドルまで)低下すると、ポジションは清算され、100 ビットコインのポジションを市場で売却する必要があります。清算されたトレーダーから見ると、この取引がどのような価格で実行されるかは問題ではありません。その価格が3,995ドルであろうが、3,000ドルであろうが関係なく、いずれにしても、自分のポジションにおいて保有していたエクイティの全額を失い、1ビットコインすべてを失うことになります。

たとえば、流動性の高い市場があると仮定すると、ビッドとアスク間のスプレッドは維持証拠金よりも狭くなるはずです。このシナリオでは、清算が生じると、保険基金への拠出金がもたらされ(例えば、維持証拠金が50bp(ベーシスポイント)であるのに対し、市場は1 bpであった場合)、ポジションが清算されると、保険基金は維持証拠金とほぼ同額だけ増えることになります。したがって、健全な流動性市場が存続する限り、保険基金は着実なペースで増大し続けるのです。

以下の2つのチャートは、上記の例を説明したものです。最初のチャートでは、清算時の市況は健全で、ビッドとアスクのスプレッドは狭く、わずか2ドルです。このため、クロージング取引は破産価格(証拠金残高がゼロとなる価格)よりも高い価格で行われ、保険基金の利益となります。2番目のチャートでは、清算時のビッドとアスクのスプレッドが拡大しています。クロージング取引は破産価格よりも低い価格で行われるため、勝ちトレーダーが期待利益を確実に受け取るために保険基金が使われます。このようなことはめったに起こらないように思えるかもしれませんが、特に価格のボラティリティが高いときには、健全な市況が続く保証はありません。そういう場合、保険基金は、積み上げ期間よりもはるかに早く枯渇することになります。

保険基金が増加する場合の例 – 1 BTC担保付きのレバレッジ100倍のロング

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/Screenshot-2019-02-05-at-10.04.24-2.png

(注:上図は、1BTCあたり4,000ドルのロングポジションを100倍のレバレッジで、1ビットコインの担保付きで保有した場合を示したものです。このチャートはかなり単純化したもので、料金やその他の調整などの要素を無視しています。ビッド価格とオファー価格は、清算時の売買板の状態を表します。クロージング価格は3,978ドルで、清算時は3,979ドルであることから、ビッド価格と比較して1ドルのずれがあります。)

保険基金が減少する場合の例 – 1 BTC担保付きのレバレッジ100倍のロング

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/Screenshot-2019-02-05-at-10.05.20-2.png

(注:上図は、1BTCあたり4,000ドルのロングポジションを100倍のレバレッジで、1ビットコインの担保付きで保有した場合を示したものです。このチャートはかなり単純化したもので、料金やその他の調整などの要素を無視しています。 ビッド価格とオファー価格は、清算時の売買板の状態を表します。クロージング価格は3,800ドルで、清算時は3,820ドルであることから、ビッド価格と比較して20ドルのずれがあります。)

BitMEXの保険基金は、ビットコインの現在の直物価格に基づけば、現在約21,000 BTC、約7000万米ドルあります。これは、BitMEXの想定年間取引量、約1兆米ドルのわずか0.007%に相当します。これは取引量比で考えれば、CMEの保険基金よりわずかに高い比率ですが、BitMEXでの勝者はCMEトレーダーよりもはるかに大きなリスクに晒されています。

  • BitMEXは、資産総額の大きな清算会員を持たず、トレーダーは互いのリスクに直接晒されています。
  • BitMEXは、口座残高がマイナスのトレーダーからの支払いを要求しません。
  • BitMEXの原資産商品は、CMEで取引可能な従来の金融商品よりも変動が激しいものです。

オートデレバレッジング

保険基金が枯渇した場合、勝者は、利益として受け取る権利がある額を、必ずしも受け取れるわけではありません。むしろ、上述のように、勝者は敗者の損失を補うために寄付をする必要があります。BitMEXでは、このプロセスをオートデレバレッジングと呼んでいます。

BitMEX ビットコイン永久スワップ取引において、2017年3月以来、オートデレバレッジングは発生していません。2017年3月初旬、SECは、ウィンクルボスのビットコインETFの申請を却下しました。その日、市場は5分で30%下落しました。価格の急落により、保険基金は完全に使い果たれてしまいました。多くのXBTUSDのショートが、オートデレバレッジングされ、その利益は限定されました。

その後、BitMEXの保険基金はかなり増えましたが、仮想通貨取引は不安定で不確実な世界です。現在はそれなりに流動性が高い健全な期間ではありますが、私たちの見解では、今後、ビットコイン価格が急激に変動する可能性があります。BitMEX ビットコイン永久スワップ契約でも、オートデレバレッジングが再び発生しないとは言い切れません。

保険基金データ

保険基金の絶対額は増加していますが、下のチャートが示す通り、BitMEXトレーディングプラットフォームにおける他の指標、例えばオープンインタレストに比べれば、増加はそれほど顕著ではありません。

BitMEX 保険基金 – 2018年1月以来の日々のデータ

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/ins-fund.png

(出典:BitMEX)

BitMEXビットコイン永久スワップ・オープンイントレストに対するBitMEX保険基金 –  2018年1月からの日々のデータ

https://blog.bitmex.com/wp-content/uploads/2019/02/ins222fund.png

(出典: BitMEX)

インセンティブ

保険基金に資金が残っていれば、システムは、清算させられた人が清算金を支払う、すなわち、敗者が敗者のために支払うという原則にしたがって作動します。このアプローチは何か奇抜なものに思われるかもしれませんが、ある意味、ある程度公平であり、上述の新たなタイプのモデルにはない部分です。なぜ危険なレバレッジに手を出さないトレーダーが、リスクを冒してレバッジに手を出したトレーダーの弁済をしなければならないのかという疑問が残ります。

結論

ビットコインの総供給量の約0.1%に相当する21,000ビットコインが、保険基金内に存在するように思われるかもしれませんが、BitMEXは、勝者に対して、従来のレバレッジ取引プラットフォームほどしっかりとした保証を提供することはできません。保険基金はかなりの規模に達しましたが、それは、変動が激しく、予測不可能なでこぼこ道を渡っていかなければならない仮想通貨の世界で、勝ちトレーダーが自信を持って歩んで行けるほど大きな額ではありません。このようにボラティリティを考えれば、保険基金が再びゼロまで落ち込む可能性はないとは言えません。

一括注文リクエスト機能の更新

原文:Update to bulk order request functionality – BitMEX Blog

2月20日 04:00UTC(日本時間13:00)より、 マーケットオーダーはAPIを通じて送られた一括注文リクエストでは許可されなくなります。この変更にはordType=Marketで送信されたオーダー、並びに間接的なマーケットオーダー(価格指定がなくSideの指定のみで送信されたオーダー)の両方が含まれます。上記の日時以降、一括注文リクエストでマーケットオーダーを含めようとすると全てのリクエストが拒絶されます。今回のアップデートは現在取り組んでいるAPIと取引システムアーキテクチャの簡素化の一環です。

2019年2月8日に発生したAPIタイムアウトについてのお知らせ

本日UTC 05:40から07:11の間(日本時間 同日14:40から16:11の間)に、BitMEX REST APIへのリクエストのサブセットが、APIレイヤーでのリソース同士が競合をしたためにAPIの応答が遅くなり、最終的にAPIタイムアウトとなる事態が発生しました。社内のアラートメカニズムを介して検出したのち、数分以内に原因を特定し、即時の影響を軽減しました。現在進行中の問題はなく、この間、取引エンジンやユーザーデータに影響はありませんでした。

問題の根本的な原因に対する修正は特定されており、優先事項として取り組んでいます。これらが利用可能状態になった際は、別のアナウンスメントでお知らせ致します。また、潜在的な類似の問題をより早く検出して解決するために、システム監視を強めております。この度はご不便をおかけし申し訳ございません。

MarketWithLeftoverAsLimit注文タイプの廃止

APIおよび取引システムアーキテクチャの継続的な簡略化の一環として、2019年2月8日(金)UTC 04:00(日本時間 同日13:00)以降、以下の注文タイプはサポートされなくなります。

• MarketWithLettoverAsLimit

上記時刻後にMarketWithLeftoverAsLimitの注文タイプの値で送信された注文は却下されます。さらに、この注文タイプの未処理の注文は、上記の期限後すぐに自動的にキャンセルされます。そのため、これらの注文タイプを使用している取引戦略は、今回の変更を反映するように適切に更新されていることを確認してください。

TestnetサービスのAPIの中断および即時復帰に関するお知らせ

原文: Notice of Testnet Website, API Interruption and immediate return of Testnet service – BitMEX Blog

1月23日、testnet.bitmex.com のWebサイトとAPIが、19:42 から19:57 UTC まで(日本時間 翌日4:42 から4:57 まで)の約16分間利用できない状態となりました。原因の特定と修正、並びにサービスの再開は速やかに行われましたが、この間、ご不便をおかけしたことについてお詫び申し上げます。

Websocket API 内部アップグレードのお知らせ

BitMEXプラットフォームの性能改善の一貫として、2019年1月16日 16:00 UTC(日本時間翌日01:00)にWebsocket API インフラのアップデートが予定されております。

この変更による取引エンジンのダウンタイムはございませんが、16:00 UTC(日本時間翌日01:00)にwebsocketフィード上に公開されているDELTAに瞬断が起こると想定されます。この瞬断のすぐ後、すべてのwebsocketクライアントが、再接続時に誤った注文、ポジション、オープンオーダーブックを参照しないように、すべてのwebsocketの接続は強制的に切断されます。その他の点においては、利用者様は今回の変更を特別意識をする必要はございません。

進捗状況のご報告:先週の問題の根本原因の修正をしました

先週の記事でお伝えした問題の対応策として、システム内部のマーケットデータ配布コンポーネントの再購読ロジックの改善を昨日実施しました。この対応により、先週の問題の根本原因に対処すると同時に、この対応時に追加でデプロイされた取引エンジンへの影響を抑える安全メカニズムにより、今後は問題が再発しないと考えております。