資金洗浄にはビットコインでなく不動産が有効

原文:Money Launderers Use Property, not Bitcoin – BitMEX Blog

仮想通貨には一部で悪評が漂う。「マネーロンダリングを幇助する」という通念があるのだ。仮想通貨投資歴の長いHodler(暗号通貨保有者)たちは、公開台帳の存在や米ドルと比べた換金性の低さを理由に資金洗浄にまったく向かないと反論する。米ドルの方が向いているとすると、どの米ドル資産が資金洗浄に有利だろうか?プロは「ビットコインではない」と断言する。

昨今、コカイン売買で得た100万ドルの利益を新品の100ドル紙幣で洗浄するのは容易ではない。銀行に行って預金しようとしても、背を向けた窓口の職員によって、警察に通報されるのが関の山だ。ニューヨークの宝石街を訪れ、ダイアモンドを購入して資金を洗浄できたとしても、このダイアを買値で売りさばくのは至難の業だ。どの国の政府も国内フローの引き留めを常に望んでいる。

ただ、各国政府は時折、誠実な役割を演じることを余儀なくされ、テロリストへの資金供与撲滅を明言する(サウジアラビアは例外)。以下に、不動産市場が未洗浄の資金にとって有能な「ランドリー」になる理由を説明する。

まず、香港での不動産の購入と保有に関する開示に目を向ける。香港は中国人の資金洗浄の舞台であり、米国では世界中の資金が洗浄される。本稿では、共通報告基準(CRS)を通じて両方を考察する。平均的な中国人富裕家Zhou氏の視点で、現金の洗浄方法、中国政府から資金源を隠蔽する方法を考察する。

中国人は同国政府の貪欲な性質を熟知している。過去30年、経済改革は大方の国民に大いなる恩恵をもたらしたが、政治的な過ちを1つでも犯せば、財産を没収され、農村地域に追放される可能性がある。国家が完全に統制する金融システムでは、中国政府の意向次第で、瞬く間に身ぐるみ剥がされることも他人事とは言えない。

自由の国アメリカは、世界各地に居住する納税者のあらゆる金融資産の所在を知る必要があると判断し、米国人の資産に関する報告を金融機関に義務付けている。中国などの多数の外国でも、米国の姿勢に同調し、共通報告基準(CRS)創設の運びとなった。CRSでは、加盟国に他の加盟国と金融データを共有する道筋を設けている。つまり、中国は香港に中国人の情報を要求できるのである。

CRSの進展に伴い、非常に興味深い次の2つの動きが見られた。

  1. 米国はCRSの批准に失敗した。つまり、米国人は米国内に資産を保有する中国人の金融データを中国と共有する義務を負わない。実に考えさせられる話しである。米国はすべての国にFATCAに従い、米国人に関する情報の提供を求めているのに、他国の便宜は図ろうとしない。米国人以外が保有する資産は結果としてどこに行き着くのだろう。
  2. 香港は報告対象資産から不動産を除外した。

こちらのサウスチャイナモーニングポスト の記事が指摘するように、中国人は早速、銀行預金を不動産に転換する動きに出た。不動産は経済活動を有力な原動力の1つであり、不動産ブーム時には多数の雇用が創出された。政策的観点からは、不動産ストックの増大奨励策を講じることで、経済運営の手腕を誇示することができる。

同日は、中国が共通報告基準(CRS)と共同歩調を取る日付である。この基準は、G20の要請に応じて策定された外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)タイプの制度であり、国際的租税回避行為の撲滅と国際税制の完全性の保護を目的とする。中国政府は、2014年にCRSの参加を誓約した。CRSの参加により、中国本土の居住外国人が保有する金融資産情報も収集され始める。合意によると、情報は来年、香港を含む100の国・地域の税務当局と交換される。譲渡税が課されない香港は、多数の中国本土投資家にタックスヘイブンとみなされてきた。だが、外国に保有する金融資産を中国当局に申告するのを防ぐため、こうした投資家は7月の期限までに、金融投資を不動産に転換する必要性に迫られている。

米国に関しては、全米リアルター協会が、不相談の購入を顧客の身元確認(KYC)/マネーロンダリング防止(AML)規制の免除対象とするよう画策している。金融犯罪取締執行ネットワーク(FinCEN)は、一部のホットマネー市場で、不動産が明白な資金洗浄マシンとなっていることを突き止め、2017年8月に開示要件を課した。

2017年2月23日の満期を前に、FinCENは、最新GTOでの報告対象トランザクションの相当部分が、ダミー会社の購入者の受益所有者と判明した個人による犯罪が疑われる活動に関連していることを発見した。結果として、FinCENは直近GTOの満期を2017年8月22日まで180日延長し、今年中に別の都市でも恒久的データ収集の必要性を検討する可能性がある。GTOは、銀行ローンなどの外部資金を調達せずに居住用不動産を購入する法人の持ち分を25%以上所有する自然人を特定するために、次の地域においてトランザクションが所定の閾値を満たす場合、特定の権原会社を必要とする。

  • 50万ドル以上 – テキサス州ベア郡
  • 100万ドル以上 – フロリダ州マイアミ・デイド郡、ブロワード郡、パームビーチ郡
  • 150万ドル以上 – ニューヨーク市ブルックリン区、クイーンズ区、ブロンクス区、スタテンアイランド区
  • 200万ドル以上 – カリフォルニア州、サンディエゴ郡、ロサンゼルス郡、サンフランシスコ郡、サンマテオ郡、サンタクララ郡
  • 300万ドル以上 – Nニューヨーク市マンハッタン区

これにより、悪質な資金洗浄に対抗するために適切な方向へ大局的に一歩踏み出したことになるが、典型的な投資家であるZhou氏は数百万ドルを隠し持ち、今までどおりビジネスを続けている。

中国政府の詮索の目や、資本逃避の防止に取り組む他の政府の目を逃れるには、米国はなお選好される資金の隠し場所となっている。上記の上限額を超えない限り、無傷の銀行口座を開設し、現金で不動産を購入するのはさほど難しくないはずである。

ビットコインはどうか

香港や米国の流動的な不動産市場で数百万ドルを洗浄し、隠蔽するのは明らかに容易である。では、我らがビットコインを使用するとどうなるだろう。

100万ドルの資金をビットコインで移動させるとしよう。

選択肢は2とおりある。取引所にアカウントを開設するか、ディーラーと相対(OTC)取引をする。

これだけの額を扱える取引所は、銀行と密接な関係を築いている。銀行は広範なKYC / AML検査をすべての口座に求めている。目的が資金フローの隠匿であれば、これは最善策とは言えない。召喚状を提示され、取引所は顧客情報を提出せざるを得ない。

取引所を使用できないのであれば、OTCディーラーと取引できるかもしれない。だが、大手ディーラーもKYC / AML規制に従う必要があり、同じく銀行と強固な関係を築いている。

取引所と規制準拠のOTCディーラーは、主な流動性の提供者である。KYC審査なしで顧客を迎えるディーラーもあるが、スプレッドは市場と大きくかけ離れている。資金サイズに対応可能であったとしても、資金洗浄のために、20%超の利息が予想される。

仮想通貨市場での資金洗浄は、身元情報を提供したくないのであれば、きわめて難しい。不動産の方がはるかに容易である。不動産ブローカーには政府から金利が付与される。ブローカーはKYC / AMLの報告要件を緩和するためにあらゆる努力を注ぐだろう。

結論:「違法資金の洗浄を可能にするのは、Satoshiでなく アンクル・サム(米国)である。」

ゴドーを待ちながら

原文: Waiting for Godot – BitMEX Blog

“Nothing happens.Nobody comes, nobody goes.It’s awful.(何も起こらない。誰も来ない。誰も出て行かない。最悪だ。)” 

― サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』

仮想通貨市場は、その発端以来、さまざまなゴドーを待ち続けている。トレーダーにとってのゴドーとは、架空の機関投資家である。彼らが市場で大勝負をかけると、参加者は一生楽に暮らせるだけの大儲けをして、その一部でランボルギーニを購入する。彼らが市場に関与すれば、流動性は驚異的に改善し、市場は筋書き通りに「振る舞う」ようになる。

自分も含め仮想通貨批評家の多くは、2018年を機関投資家が大勝負に出る年と宣言した。新規マネーが殺到し、ビットコイン価格は1万ドルを突破。瞬く間に参加者を天界(ヴァルハラ)へ導いた。

北半球で夏が近づく中、機関投資家はこの新市場に実際に群がるだろうか。ゴールドマンとJPモルガンの仮想通貨取引デスクのニュース以外で、仮想通貨市場への機関投資家の興味を表象するのはどういった要因であろう。

最も有力なのが、CMEとCBOEビットコイン先物契約の取引高である。いずれの契約も米ドル建て証拠金で決済される。この契約を取引すれば、ビットコインにまったく手を触れずに、ビットコイン価格のポジションを取ることになる。BitMEXの契約の証拠金と決済はビットコイン建てである。つまり、取引するには、ビットコインを所有していなければならない。大半の機関投資家はビットコインという概念を好むが、実際に購入、保管、移転することに及び腰だ。

数値データ

上のグラフでは、CME、CBOE、BitMEXでのビットコイン/米ドル契約の年初来取引高(米ドル建て)を示している。

最初のポイントは、BitMEXの市場シェアの大きさだ。BitMEXのリテール顧客基盤は、CMEとCBOEの機関投資家顧客基盤の数倍規模に及ぶ。BitMEXの大半のリテールトレーダーは、 CMEやCBOEへのアクセスを提供するブローカー付きのアカウントを開設するのが非常に困難である。最小の必須入金額が相対的に高いためだ。CMEとCBOEでは、レバレッジ率は低目で、想定元本は高目である。したがって、BitMEXの典型的顧客がアクセスを得たとしても、契約1枚でさえ取引できないだろう。

このグラフのデータからは、リテールトレーダーの資金フローが市場でなお圧倒的シェアを占めることが明確に読み取れる。ちなみに、Telegram、WeChat、Redditなどに常駐していれば、デリバティブ市場を中心とする急転が引き金となるスポット相場の動きについてユーザーが話しているのを聞くことになるだろう。OKExの金曜の決済が市場を完全な乱高下状態に陥らせたことは何度もある。BitMEX XBTUSDスワップでは大量の資金調達率の大量支払いが近づいており、これも取引行動を左右する。  一方で、CMEやCBOEの満期を受けた市場変動はほとんど耳にしない。

転換期

CMEとCBOEの取引高からは、機関投資家の消極的な関与がうかがえる。1~5月の前月比CAGR(年平均成長率)は3.94%にとどまる。ただし、この状況は変化が予想される。今後6~12か月にわたりが取引を活発化していく中、銀行は顧客が仮想通貨の洗礼を受ける手助けをし始めるだろう。銀行が取引デスクの開設を公表することでリスクを公に取り始めれば、銀行はあらゆる事業を生み出して、そのリスクを正当化するはずだ。最も取引が簡単な商品は、原資産を実際に保有する必要のない商品である。

新設の取引デスクが手っ取り早く成功を納めるには、CMEとCBOE上場先物でリスク商品の価格を提供することだ。顧客は仮想通貨を取引したくてうずうずしている。セルサイドのデスクは、2方向でクォートし、取引日内に取引所リスクを解消することになる。顧客は潤沢な流動性にすぐアクセスでき、銀行はそれなりの額の取引から、十分な売買スプレッドを稼ぐことができる。

取引高と建玉が増えるにつれ、米ドル決済とビットコイン決済の各デリバティブ市場の相互作用は、市場の収益構造の変化につながっていく。そうなる前に、興味のあるトレーダーに、the BitMEX vs. CME Futures Guideの一読をおすすめする。BitMEX商品の非線形的要素は事態を複雑にするものの、いずれ、収益につながる裁定取引やスプレッド取引が2つの市場を舞台に行われることだろう。

2018年平均回帰ファンディング

2018年4月20日の BitMEX Crypto Digest より 著者:Arthur Hayes BitMEX共同設立者及びCEO

強力かつシンプルな取引戦略の1つに平均回帰がある。XBTUSDスワップには、8時間ごとにロングとショートの間でやりとりされるファンディング率という特徴を持つ。この率は過去8時間に観察されたスポットインデックスに対するスワップのプレミアムまたはディスカウントに基づき算定されるが、観察、公表、支払いの各ファンディング段階にタイムラグがあるため、先行指標となり得る。

ファンディング率の趣旨は、トレーダーがトレンドの逆を行くポジションを組みやすくすることにある。市場が下落している場合、トレンドに乗っている投資家(ショート派)がファンディング率を支払い、市場が上昇している場合、トレンドに乗っている投資家(ロング派)がファンディング率を支払う。トレンドは続いている限り味方になる。トレーダーの経験上、ファンディングの絶対的増加は相場動向が転換する合図になり得る。

昨年9月、筆者は単純な平均回帰型ファンディング戦略を紹介した。ファンディング率が大きい正の値である場合、ファンディング手数料を請求される直前にXBTUSDをショートする。ファンディング手数料を受領したら、8時間後にショートポジションをカバーする。ファンディング率が大きい負の値である場合、ファンディング手数料を請求される直前にXBTUSDをロングする。ファンディング手数料を受領したら、8時間後にロングポジションをカバーする。この取引の実施時期を決める基準に応じて、過去プラスの利益が出ている。

1年強のデータ(2017年3月~2018年4月)を根拠として、この戦略の過去のリターンを計算した。この取引をきっかけに、正と負の側の平均から1および2つの標準偏差が起きている。以下がその結果である。

平均Bps 1.5346
標準偏差Bps 17.1951
シグマ ファンディング率 カウント パス率(%) 累計ファンディング 累計XBTUSDリターン 累計リターン 合計観察率(%)
-2 -32.8556 48 47.92% -17.75% -12.52% 5.23% 4,10%
-1 -15.6605 101 52.48% -21.99% -0.80% 21.19% 8,63%
1 18.7297 80 42.50% 20.46% 63.61% 84.07% 6,84%
2 35.9249 92 53.26% 34.46% -59.12% -24.66% 7,86%

シグマ – 平均からの乖離の標準偏差値。

カウント – 負のファンディングについて、この値はファンディング率がシグマ未満(ファンディング率は負)または超(ファンディング率は正)である観察件数。

パス率(%) – シグマが負の場合、次回ログの8時間リターンが正である観察件数の率。または、シグマが正の場合、次回ログの8時間リターンが負である観察件数の率。

累計ファンディング – カウント標本セットの観察からの合計受領ファンディング手数料。シグマが負の場合、XBTUSDをロングして、ファンディング手数料を受領する。これにより、累計ファンディングが負と表示されていても、この額を所得として受領する。

累計XBTUSDリターン – カウント標本セット観察の次回ログ8時間リターンの合計額。

累計リターン – この平均回帰戦略から得られる収益。XBTUSD取引からのファンディングによる純リターンに等しい。

合計観察率(%) – [カウント / 合計観察件数]

この単純化した考察で最も収益率の高いレンジは、1~2シグマ(絶対値)である。この結果は、ファンダメンタル的に理に叶っており、ファンディング率のピーク時に、トレンドに逆らう取引をしても、トレンドの継続に伴い手痛い目に遭う。ご存じのように、ビットコインは扇情的な市場であり、高値と安値の振り幅が大きい。

急騰や急落局面が長引きファンディング率が落ち着き始めたら、転換期となる可能性が大きい。その時点でトレンドの逆を行く注文を出せば、ファンディング手数料と相場変動利益の両方が得られる。

さらに高度な統計を駆使するトレーダーであれば、XBTUSDのファンディング率を軸に、より周到で精密な平均回帰戦略を構築できる。筆者が実施した分析用データはすべて当社の公開APIから無料で利用可能である。この考察は、冷静な分析型トレーダーにとって、ビットコインがなお投資妙味溢れる市場であるもう1つの証拠である。

仮想通貨ブームの後遺症

2018年4月20日 BitMEX Crypto Digest より 著者:Arthur Hayes BitMEX共同設立者及びCEO

急騰に沸いた12月の後、仮想通貨は「市場」という荒波にもまれた。ボラティリティは申し分ない。だが、多数の投資家は、乱高下で損失を膨れ上がらせた。痛手を負ったトレーダー、ヘッジファンド、ICO発行企業が情報を錯綜させる。それでも、相関性のないリターンという黄金を求め、この新しい刺激的な業界に踏みとどまる投資家は多数いる。

 

成功報酬なし

筆者のLinkedInの受信箱には仮想通貨ヘッジファンド創設通知が届かない日はない。第2四半期末までには、登録仮想通貨ヘッジファンドの数は数百規模に達すると様々なメディアが報じている。

こうしたファンドの大半は買い持ちのみである。つまり、こうしたファンドマネージャーの狙いは支払い超過のベータ商品にある。ベータそのものに問題はない。ただ、アルファを期待すると、手痛いしっぺ返しに遭う。

数千ドル(時には数百万ドル)を気前よく投じていた投資家は損失で首が回らなくなっている。ヘッジファンドマネージャーの友人数人に尋ねると、集金ペースは予想より遅いと言う。

中級レベルのファンドマネージャーは裁定取引をしながら、米著名投資家のスティーブン・コーエンクラスに仲間入りすることを期待した。確かに彼らは通常より成功したが、仮想市場ではリスク管理が鉄壁でなければ、破滅するという教訓を得た者もいる。どんな不運もリターンに悪影響を及ぼした。スプレッド取引で証拠金要件を満たせなければ、成功の道は閉ざされる。

ジョン・ポールソンの後継者を夢見た多数のファンドマネージャーは、仮想通貨取引の難しさを思い知ることになった。市場は不安定で、先が読めない。実績や理論どおりに「動かない」のだ。

ICO、先延ばしされた夢

どの技術チームも、今やICO戦略を必要とする。見かけ倒しのWebサイトや調子の良いホワイトペーパーで知識不足の投資家が資金を拠出してくれたら、儲けものだ。ICOラッシュは収まる兆しを見せないが、2017年に発行されたトークンは、現在そのICO価格を下回るレベルで取引されている。

筆者は、ICOとは技術プロジェクトの資金を調達する革命的な方法であると確信している。また、インターネット接続と数枚のビットコインかイーサがあれば、誰でもプロジェクトの成功にあやかるべきだ。だが現実には、ICOは熱狂的な私募手法と化している。

ICO取引が巨大化する過程で、サフト(SAFT)という怪物が必然的に生まれた。公募ICO発行の参加者であった小口投資家は、SAFT手法で実施される私募には参加できない。Telegramは、このSAFT形式の発行でプロの投資家から20億ドルを超える資金を集めた。見事な手法であるが、これは真のICOと考えるべきでない。

旧型ベンチャーキャピタル投資家は、SAFTを歓迎した。従来の段階的ファンディング手法とよく似ているためだ。SAFTは換金性に優れており、流通市場でのリテール投資家に素早く売りさばくことができる。ところが、市場にはさばききれないほどのトークンが溢れている。ICO市場は停滞し、主力通貨のイーサも巻き込まれた。

新規発行トークンの投資家の多数は、リテールの支持がなくては、自分たちがベンチャーキャピタル内で厄介者を押しつけ合っているだけだと気づくことになるだろう。残念ながら、こうした厄介者はすぐ時価評価され、わずか数パーセントのリターンしかもたらさない。

これは、「ICOの終焉」宣言でなく、むしろ、ICOが過去の栄光を取り戻すことを意味する。基本に立ち返る必要があるのだ。市場を復活できるのは、SAFTを否定し、トークンの公正な一般公募を実際に実施できるチームである。大成功するプロジェクトもあるだろうが、大半のトークンは現在、そして今後も投資する価値はない。

全市場の取引

金融メディアは仮想通貨をもてはやす。パトス(哀愁)と興味深い性質を持つためだ(著名投資家ブロック・ピアスの風変わりの帽子みたいに)。素早く儲ける次の投資話を探す読者は仮想通貨に関するあらゆる記事を読み漁る。重要:仮想通貨市場の現状把握のためにBloombergを読む習慣があるなら、仮想通貨以外の市場にも目を配っておく必要がある。

第1四半期に相場が2万ドルから6,000ドルに急落した理由は多数考えられる。米国税金関連の売り、規制を巡る懸念、ICOのスランプ、じり貧状態の投げ売りなどが妥当な理由だろう。これらに、1年で20倍の急騰という単純な事実を加えれば、相応の調整局面はあってしかるべきだ。

いかなる相場も一直線に上昇/下降しないという単純な理由はなかなか受け入れられない。理由は常に存在しなければならないものであり、エディターにとって妥当に思える解釈をこねくりまわす。

優秀な仮想通貨トレーダーは、強気と弱気の両サイドだけでなく、トレンドと不規則市場の両方で取引する。ただ、このタイプのトレーダーにはめったにお目にかかれない。成功するには、こうしたトレーダーを手本にし、現況がふさわしくなければ様子見する。

現在、市場は不規則モードにあり、1万ドルの急落後、6,000~1万ドルのレンジで推移している。ビットコインの良い点は、このレンジが広く、突如動くところだ。戦略に忠実なトレーダーにとって、こうした不規則相場は稼ぎ時だ。

Telegramのチャットルームに座り、ネットで情報を読み漁る投資家が狂乱的ブームの立役者となった(気の毒なことに損を抱えたが)。今も市場に関わり続けるトレーダーは、コツコツ努力すれば、報われると身をもって認識している。仮想通貨市場は、本当の意味で自由である世界で唯一の資産市場だ。これは、市場を学ぶ者を興奮させる事実である。高級車に乗り、ドンペリニョン「列車」を注文する生活を夢見る投資家にとっても。

追記:「列車」の意味がわからなければ、クラブで注文してみるとよい。勘定書きを見て、心臓が止まるかもしれないが。

死後の楽園を求めて

地上の楽園には一気に辿り着けない。第1四半期は大暴落だった、第2四半期は調整局面になろう。

規制当局の脅しや爆弾発言にもかかわらず、相場が5,000ドルを割り込むことはなかった。ビットコインは健在であり、相場は安定性に欠けるが、仮想通貨、デジタルトークン、ICOに関する知識は今まで以上に広まっている。総合的には好ましい状況だ。

今や、株式より仮想通貨市場の登録ユーザーの方が多い取引業者は多数ある。こうした市場に対する取引需要は取引業者の許容量を超えている。仮想通貨には未来がある。この分野にすっかりなじんだトレーダーは、今後も株式や債券より仮想通貨投資を選び続けるだろう。

今後、3か月の相場展開は読めないが、センチメントはシフトしつつあると直感している。次の勝負所は1万ドルとなるだろう。このレベルを相当期間維持できれば、2万ドル復活へと上昇が見込める。

ビットコイン 3月/6月カレンダースプレッド

この記事は、2018年2月28日に配信されたBitMEX仮想通貨トレーダーダイジェストの日本語訳です。

BitMEX共同創立者兼CEO Arthur Hayesのデスクより

上記チャートは、ビットコイン価格と、3月(XBTH18)および6月(XBTM18)限月のビットコイン/米ドル契約スプレッドのプレミアム(年率換算)を示したものです。

カレンダースプレッドは以下の関数で計算されます。

プレミアム(年率) = [(XBTM18 価格 – XBTH18 価格) / ビットコイン直物] / 0.2493

0.2493 とは、3月および6月の各満期日の間の時間価値(年率)を表しています。

カレンダースプレッドは、トレーダーが相場の見通しにどの程度強気/弱気かを推量するのに便利です。ビットコインは2017年12月の史上最高値から今年2月初旬までに、70%近く価値を下げました。この間カレンダースプレッドは、0.42%(年率)まで下落しました。

トレーダーにとって、急落は命取りになります。底値をつかめるトレーダーもいますが、ごく小数です。直近安値の 6,000ドルから100%近く反発したあと、市場は方向感のない値動きの激しい状態になっています。

こうした相場での取引はそれ自体至難の技です。値動きの激しさから、健全な地合いも次のブレイクアウトまで不安定に見えます。そのため、スポット市場の動向を見据えながらデリバティブのスプレッド取引を利用するのは、リスクに対処しつつ相場観を有効に反映する有効な方法と言えます。

2万ドルに向けて本格的な反発局面の渦中にあると考えるのであれば、 XBTM18/XBTH18 のカレンダースプレッドのロングが賢明でしょう。つまり、XBTM18(6月限)を買うと同時に、XBTH18(3月限)を売る必要があります。

実際に相場が続伸すれば、XBTM18 の価格上昇ペースは XBTH18 のペースを上回ることになります。XBTM18 の時間的価値の方が XBTH18 より高く、XBTH18 と比較して価格に占める金利要素の割合が大きくなるためです。

この取引は比較的割安です。現在、スプレッドのレベルはプラス 3.15%(年率)で取引されていますが、スプレッドがプラスであるため、この取引のセータ、すなわち時間的価値はマイナスです。XBTH18 は 3月末に満期が到来し、それまでに XBTM18 がアウトパフォームしない場合、アウトライトでの損失率は 0.78%、1日あたりセータは 0.026%となります。

過去の実績から見て、四半期契約は年率プレミアム 30%~40%で取引される傾向があります。イールドカーブの年率プレミアムが横ばいに推移すると仮定した場合、カレンダースプレッドはプレミアムと同様の水準での取引が見込まれるため、上昇シナリオでは、カレンダースプレッドプレミアム(年率)の上昇率は 10倍に達すると予想されます。

単純なロングでなくこの取引を推奨する理由は、レバレッジを利用しない場合の含み損の上限が 0.78% に抑えられるためです。ビットコインを 10,000ドルで買ったとします。その後価格が 6,000ドルに急落すると、弱気になり、慌てて底値で売ってしまいます。ところが、相場は素早く回復し、10,000ドルまで戻します。1か月弱における取引の収支はトントンであるのに、含み損のプレッシャーに耐えられず、40%の損失を出す結果となります。

カレンダースプレッドでは、レバレッジを使用しない場合の最大損失が最初から分かっています。損失が膨らむ可能性を嫌うのであれば、取引規模を拡大しないことができます。

リターンを増やしたい場合は、両方の限月でレバレッジ規模を拡大させます。ただし、BitMEX では、ポートフォリオマージンは使用できません。つまり、ある契約の利益で別の清算価格の埋め合わせはできません。含み損のある契約の清算価格を監視し、証拠金を継ぎ足しながら清算を回避する必要があります。

 

ヴォロコーストとメソッド役者

この記事は、2018年2月28日に配信されたBitMEX仮想通貨トレーダーダイジェストの日本語訳です。

BitMEX共同創立者兼CEO Arthur Hayesのデスクより

2017年は年間を通して、「BTFD(押し目買い)」が仮想通貨トレーダーのスローガンとなりました。2018年は、最も決然とした HODLer(保有派)にとっても試練の始まりとなるでしょう。買いポジションを大量に組む最適な時期とはいつでしょう。言うまでも無く、$15,000、$10,000、$8,000ではありませんでした。

かつてトップランクの債券セールスだったある親友は、自分のことを一流のメソッド役者だと言います。職場には、完璧な髪型、腕時計、スーツを身にまとって現れます。こうした装飾品がなければ、Kポップスターを目指す若者のようです。そして、仕事が終われば、素の自分に戻ります。

金融サービスドラマの役者たちは、箔をつけるために衣装を身に着けます。正しいアクセント、由緒ある家系、高級服によって、売り込もうとしている金融商品や助言がペテンでないと知識のない素人に納得させることができるのです。

パフォーマンスは芳しくなかったものの、私も衣装を身に着けていました。毎週金曜、ドイツ銀行ではカジュアルな服装が許容されていました。ある金曜日、入社1年目の新米アナリストだった私は、ピンクのポロシャツ、ウォッシュ加工のジーンズ、黄色のスニーカーを着ることにしました。

その日の午後、株式部門の責任者が私の机のそばを通りかかったときに、私を見て、ボスに尋ねました。「一体、何事だ?」。スポーツ選手のような私の格好を揶揄していました。翌週、カジュアルフライデーがオフィスで全面的に廃止されたことを知りました。ありがとう、Arthur Hayes!

こうした役者たちを抱える企業は、なお、ビットコインに嫌悪感を抱いていますが、彼らは偽善的です。最近の相場の乱高下で、自分たちが販売する商品の投資家に痛手を負わせたのが好例です。

レバレッジ型、インバース型 ETF への熱視線

旧式 ETF は、特定の資産バスケットを保有するのに使用される商品です。SPDR S&P 500 のETF「SPY」はその一例であり、株式バスケットを保有することで、S&P 500 指数に間接的に投資したことになります。

米国で ETF がこれほど人気を集める主な理由として、投資家が退職口座で購入できるという点が挙げられます。退職口座には購入可能な資産の種類に関してさまざまな制約があります。通常、こうした口座では、先物契約の保有や信用取引はできません。

投資家はレバレッジや空売りの可能性を望んでいます。先物契約は、こうした種類の資産に投資する最もコスト効果の高い方法です。ただし、最小投資サイズが大きく、小規模投資家の参入ハードルを高くしています。また、退職ポートフォリオではこうした商品が認められていません。

こうした需要にこたえるため、ETF の発行企業はレバレッジ型とインバース型の ETF を発売し始めました。

S&P 500 指数(SPX)のインバース型 ETF を発売するとしましょう。この ETF の購入者は、指数が下落すると利益が得られます。

ETF のデイリーパフォーマンス = -1 * SPX デイリーリターン  

1日目:

SPX 1日目始値 = $1,000

SPX 1日目終値 = $500

リターン = -50%

ETF のパフォーマンス = -1 * -50% = +50%

2日目:

SPX 1日目終値 = $500

SPX 2日目終値 = $1,000

リターン = 100%

ETF のパフォーマンス = -1 * +100% = -100%(破産!)

上記の単純な例では、インバース型 ETF が経路依存型であることを示しています。つまり、保有者はこの ETF を保有する間、コンベクシティを取得することになります。残念ながら、ロングでなくショートですが。

レバレッジ型とインバース型の ETF は着火した時限爆弾のようなものです。適当なボラティリティの期間に保有期間が長すぎると、投資成績は、想定した戦略をかなり下回ります。

また、ファンドマネージャーは、取引日の終了時にポートフォリオを再ヘッジし続ける必要もあります。取引高が増えるほど、投資銀行や取引所への支払い手数料が嵩んでいき、そのつけは、顧客に回されることになります。

顧客は、ショートガンマ、指標銘柄をアンダーパフォーム、膨らむ支払い報酬のトリプルパンチ状態に陥ります。誰が暴利をむさぼっているのでしょう。

ヴォロコースト

ボラティリティの売りは、2009年以来、個人・法人を問わず、確実に儲かる戦略でした。CBOE VIX 先物市場は、危機後、上昇気流に乗り、ETF 発行企業は、金融市場のこの未開拓分野に個人投資家が参加できるように、商品を上場し始めました。

個人投資家は、トランプ大統領にとっての増毛剤のように、VIX ETF が手放せなくなりました。

ボラティリティの継続的低下に伴い、個人投資家が VIX 先物を空売りできる指標連動証券(ETN)と上場投資商品(ETP)は急増しました。そんなとき、個人投資家を二重の悪夢が襲います。

最初の悪夢は、VIX 先物 の順ザヤです。2008年の暴落の再来を恐れた投資家は、コールとプット価格の押し上げを図りました。その結果、インプライドボラティリティが高まります。つまり、VIX 先物価格が、スポット価格を上回りました。ボラティリティが続落し続ける中、VIX 先物の売り手は、こうしたプレミアムを得ることができました。

2 番目の悪夢は中央銀行です。市場ボラティリティを急落させたのです。危機をほのめかすたびに、メディアは発作的になり、ショートに痛い目を負わせました。

当時最も人気の高い商品に、クレディスイスが発行した「VelocityShares Daily Inverse VIX Short-Term ETN」(略称 XIV)がありました。XIV では、VIX の短期先物契約HEVCに投資し、指数自体には投資しないという戦略をとっています。市場が硬直的で、先物のベーシス(金利差)がゼロ前後の時には素晴らしい戦略ですが、期間構造が大幅に上方にシフトすると、損失が加速的に膨らみます。

先週、市場が急落するまで、万事順調であり、VIX と関連先物契約は急騰していました。あまりに急騰したため、ETN の純資産総額(NAV)の下落率は 1 日で 80%を超えてしまいました(VIX 価格が上昇すると、ETN 価格は下落)。目論見書には、1 度の取引セッションで、NAV の減少率が 80% を超えると、発行企業は ETN を償還できるという条項があります。そうなると、投資家のリターンはごく限られます。VIX 先物の短期ベーシスが一時的に上昇したことも踏まえると、投資家が確実に手にするのは、はした金にすぎないでしょう。

儲けと口座は、一夜で泡と消えました。ボラティリティの低下を拠り所に堅実に儲けていた投資家は一掃されました。

ビットコインの急激な変動は収まる

上記の例のとおり、人気のリテール商品も1度の取引セッションで消滅してしまいます。仮想通貨はリスクが高すぎると個人投資家に真顔で説く資格は銀行家にありません。こうした投資銀行こそ、ETF、ETN、ETP の怪しい仕組み商品を進んで開発し、「何より大切な」こうした投資家のポートフォリオを骨抜きにしたのです。

ビットコインの買い持ちは、短期または長期的に無価値となる投資に終わる可能性はあります。ただ、少なくとも、コンベクシティが正となる投資です。最大損失額は、投資元本であるのに対し、最大利益額は無限です。インバース型 ETF の数値と比較すると、最大リターン(レバレッジなしの場合)は 100%、最大損失も 100% です。ただし、こうした商品は経路依存型であることから、指標銘柄を長期的にアンダーパフォームすることは確実です。

こうした危険な商品を発行する銀行が、ビットコインを軽んじたとしても、無視することです。銀行が仮想通貨を嫌う唯一の理由は、そこから収益得る術がないためです。取引所を所有せず、仮想通貨の取引代行業務を拡大することもできません。ビットコインへの投資額は、銀行が営業するカジノへの投資額とは違います。

銀行は、こうした仮想通貨への消極的なスタンスを急速に変化させています。「吸血鬼チーム」のゴールドマンサックスは、仮想通貨業界に投資し始め、Poloniex を買収したばかりです。仮想通貨が悪質でないことをようやく認めつつあるようです。

コンプライアンス部門が銀行の仮想通貨取引を認めざるを得なくなるにつれ、銀行の姿勢は変わっていくでしょう。仮想通貨の割当が、突然、主要投資商品になるかもしれません。JP モルガン・チェースの Jamie Dimon 会長らは、仮想通貨の熱心な擁護者へと態度を一変させるでしょう。ただ、そのために、彼を責めるのは筋違いです。金融市場が舞台のドラマで、役を演じているにすぎないのですから。

 

私が下がる時、あなたも下がり、我々も下がる

この記事は、2018年2月16日に配信されたBitMEX仮想通貨トレーダーダイジェストの日本語訳です。

BitMEX共同創立者兼CEO Arthur Hayesのデスクより。

2017年は年間を通して、「BTFD(押し目買い)」が仮想通貨取引のメインテーマとなった。2018年は、最も意思の固い HODLer(保有派)にとっても試練の始まりとなるだろう。買いポジションを大量に組む最適な時期はいつだろうか。言うまでも無く、$15,000、$10,000、$8,000ではなかった。

どの方向で取引するにしても、周到な計算が必要となっている。収益性の高い戦略に忠実に従って得た利益も数日で消えてなくなる可能性がある。仮想通貨市場に積極的に関わるのなら、刻々と変わる状況に合わせて、戦略や思考方法も変えた方がよい。

金融メディアは、仮想通貨市場が急変する理由を常に必要とするため、信頼の置ける情報源を取材し、何らかの説明を追い求める。よく挙げられる理由をいくつか考察していきたい。

CME CBOE の影響

CME ビットコイン先物契約の発売は、今回の買い相場のピークとなった。BitMEX ビットコインインデックス(.BXBT)は、あの運命の朝に $20,000 に達しようとしていた。その後 2 か月で、この水準がビットコインをショートする絶好のチャンスだったことが証明される。

現在、大手金融機関は米ドルの気配値を提示するだけでビットコインをショートできるため、市場ではこうした機関がその財力を使ってビットコインを売り叩くという憶測が流れていた(いる)。ただ、見落とされがちなのは、先物取引所では、ショートするにはロングする相手が必要であり、理論上、先物取引所には影響が及ばないという点だ。

空売りする側が買い手より低い価格を受け入れる場合、契約は額面未満で取引される。この場合、マーケットメイカーは買い越し、直物市場でビットコインを売るか、空売りする。取引残高がかなり大きければ、こうした逆ザヤによって相場は急落しかねない。

上記グラフは、2018年1月以降の XBTUSD 建玉残高であるが、比較的規模が小さく、この期間の最高は $1億6,400万にとどまっている。

すべてのマーケットメイカーが買い越ししていると仮定しよう。つまり、価格を中立に保つには、ビットコイン直物を空売りしなければならないわけだ。この場合は、$1億6,400万相当のビットコインを売却する必要がある。この数字は1日あたりのフローではなく、ビットコインのショートポジションの累計である。取引所の直物取引高は1日あたり $10億を超える。相対取引高は不明であるが、無視できない規模である。

CME と CBOE ポジション保有者からの理論的な最大売り圧力には意味がなく、実際のフローにおける広範な市場への影響は無視できる。これら契約は主としてトレーダーの強気センチメントに拍車をかけるものである。

取引高については、BitMEX の商品が引き続き両契約を圧倒している。年初以来、BitMEX の XBTUSD、XBTH18、XBTM18 の3 商品の合計取引高は $531.4 億ドルであったのに対し、CME と CBOE のビットコイン先物は合計で44.8 億ドルと、BitMEX が流動性で 12 倍超となっている。

ウォール街、ビットコイン直物をショート

老獪な銀行家たちは、一連の新参者が大儲けする状況に我慢ならず、直物市場で積極的にビットコインをショートして、相場引き下げを図った。

大手金融機関は、大量に(あるいはまったく)ビットコインを保有していない。ビットコインに関して、顧客の身元確認(KYC)やマネーロンダリング防止(AML)面の懸念で身動きが取れないためだ。そのため、ビットコインをショートしたければ、信用の置ける取引相手から借りる必要がある。「Cumberland Mining、$1 億ほどビットコインを貸してもらえるかい?」と言う具合に。

銀行がショートするためにビットコインを借りたとすると、取引所で売却する必要がある。ただ、世界中の取引相手が取引所に多額の注文を出すことに慎重である風潮から見て、一流銀行のコンプライアンス部門が口座開設を承認するとは思われない。

現実はともかく、取引デスクが大手ビットコイン直物取引所での口座開設を許可したとしよう。ビットコインの価格がゼロに下がったとすると、取引デスクの最大利益率は 100% となる。だが相場が 1 億ドルのポジションで 50% 逆方向に動いた場合、損失は巨額に上る。

取引を許可した責任者は解雇されるだろう。「ビットコインのショートで、巨額の損失」こんな見出しのニュースが出回り、担当者と銀行は笑い者にされることになる。

銀行は、こうしたビットコイン取引に伴うキャリアと運営上のリスクによって、この市場に手を出しにくくなるだろう。

韓国の取引禁止措置

仮想通貨を巡る政策に関して、中国に続き韓国に注目が寄せられた。韓国司法省高官が仮想通過取引の禁止を検討していると発言し、相場急落を招いた。

ただ、中国と違い、韓国ではしかるべき法手続きがある。また、韓国市場は自由化されている。事態が沈静化し、高官は取引情報の明確化(取引当事者、取引商品等)を望んだに過ぎないと説明した。今後、韓国で仮想通貨を取引する場合は、実名口座が必要であり、未成年者と外国人は取引できない。厳格な規制とも、禁止とも言えない。

事実、韓国政府は仮想通貨に興味を抱いており、国家年金基金は大手取引所の株式に投資している。韓国で最も有望な新進ハイテク企業「Kakao」は、取引高でトップの取引所「Upbit」を所有している。多数の有権者が支持し、高給の雇用を創出する業界を混乱させる規制を政府が課すとは考えにくい。平均的な韓国人は今後も仮想通貨を取引するだろう。

取引所は新規口座の受け入れを停止したが、この措置は2月に解除される。新規参入者が増えれば、マイナス地合いは解消されていくだろう。

中国が再び仮想通貨取引を禁止

中国政府からの不利な発表に、市場が反応する理由はなぜだろうか。規制当局は、全金融機関に自己評価の実施と仮想通貨取引関連の支払い禁止を指示した。この指示は、大手取引所での公開取引通貨取引停止を受けた大量の相対取引への対応措置であった。

こうした大量取引によって市場はより雑然としているが、中国投資家は何らかの方法で仮想通貨に投資することを望んでいる。中国人は、違法発電所さえ建設する方法を見つけている。政府の意向に反して仮想通貨を売買する術も間違いなく見つけるだろう。

Tether のビッグバン理論

多くの宗教では、神について論じるのは高位聖職者の役割とみなされている。仮想通貨界でも、私を含め仮想通貨「Tether(テザー)」の仕組みを理解するのは困難である。

米商品先物取引委員会(CFTC) は Bitfinex と Tether の市場操作等の疑惑に関して、召喚状を出したが、この出来事が市場にマイナスに影響するとは考えられない。

Tether が深刻な問題を抱えているのならば、内部調査の担当機関は、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)と米財務省となるはずだ。取引停止を望むのであれば、まず、停止(中止)命令を出すはずだ。召喚状を出したのが CFTC であり、Tether の発行が継続していることから、CFTC の狙いは Tether にとって致命的なものでない可能性が高い。

停止(中止)命令が発行された場合でも、大半の大型仮想通貨は、急落でなく急騰することになるだろう。利益実現を望むトレーダーが Tether を売り、他の仮想通貨を買うと予想されるためだ。

Bitcoin/Tether 価格の急騰に伴い、Bitcoin/USD 価格も上昇することになる。Bitfinex で銀行問題が勃発したときに、Bitfinex で USD IOU を売り、ビットコインを購入して引き出したのと同様のシナリオである。Bitfinex は相場を上昇させ、他の取引所も追随した。

Tether が実際に問題に直面していると考えるならば、ビットコインのロングをおすすめするが、市場の動きを見る限り、先頃の法的問題は深刻なものとは思われない。

根本的な変化

仮想通貨は全般的に急落しているが、前年比ベースでは、ビットコインは数百パーセント上昇している。保有通貨がそうでないとしても、投資とはそうしたものである。経済メディアに踊らされて、上値で買い、底値で売る事態は避けなければならない。

この資産クラスを巡る報道が減ると、弱気市場が長引く可能性がある。だが、仮想通貨に関しては、Nassim Nicholas Taleb 氏が「Financial Presstitute」と命名した金融プレスによる意図的情報操作が根付いており、業界にとって憂慮すべき状態となっている。金融プレスではこの分野の記事が最も人気を集め、仮想通貨がもてはやされている現状に引き続き関心が寄せられており、新規投資を掻き立てる要因となっている。

短期トレーダーについては、市場に投入される新しいフィアット通貨の量が当面の懸念材料である。修正局面が新規投資につながらない場合、小規模投資家がキャッシュ不足に陥るにつれ、信用取引主導の価格下落が進むだろう。ただ、仮想通貨トレーダーは、ボラティリティを好む。仮想通貨の取引を始めれば、株式市場が 5%「急落」したとしても、気にもかけないだろう。

長期「投資家」にとって、ビットコインをはじめとする仮想通貨の技術的メリットは今でも魅力的である。コインやトークンが役に立つかどうかや、相場変動は無関係だ。

唯一明確なのは、仮想通貨が細分化すれば、価格ボラティリティが高まるということである。仮想通貨トレーダーにとって、この第1四半期は面白くなりそうだ。

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