ビットコイン 3月/6月カレンダースプレッド

この記事は、2018年2月28日に配信されたBitMEX仮想通貨トレーダーダイジェストの日本語訳です。

BitMEX共同創立者兼CEO Arthur Hayesのデスクより

上記チャートは、ビットコイン価格と、3月(XBTH18)および6月(XBTM18)限月のビットコイン/米ドル契約スプレッドのプレミアム(年率換算)を示したものです。

カレンダースプレッドは以下の関数で計算されます。

プレミアム(年率) = [(XBTM18 価格 – XBTH18 価格) / ビットコイン直物] / 0.2493

0.2493 とは、3月および6月の各満期日の間の時間価値(年率)を表しています。

カレンダースプレッドは、トレーダーが相場の見通しにどの程度強気/弱気かを推量するのに便利です。ビットコインは2017年12月の史上最高値から今年2月初旬までに、70%近く価値を下げました。この間カレンダースプレッドは、0.42%(年率)まで下落しました。

トレーダーにとって、急落は命取りになります。底値をつかめるトレーダーもいますが、ごく小数です。直近安値の 6,000ドルから100%近く反発したあと、市場は方向感のない値動きの激しい状態になっています。

こうした相場での取引はそれ自体至難の技です。値動きの激しさから、健全な地合いも次のブレイクアウトまで不安定に見えます。そのため、スポット市場の動向を見据えながらデリバティブのスプレッド取引を利用するのは、リスクに対処しつつ相場観を有効に反映する有効な方法と言えます。

2万ドルに向けて本格的な反発局面の渦中にあると考えるのであれば、 XBTM18/XBTH18 のカレンダースプレッドのロングが賢明でしょう。つまり、XBTM18(6月限)を買うと同時に、XBTH18(3月限)を売る必要があります。

実際に相場が続伸すれば、XBTM18 の価格上昇ペースは XBTH18 のペースを上回ることになります。XBTM18 の時間的価値の方が XBTH18 より高く、XBTH18 と比較して価格に占める金利要素の割合が大きくなるためです。

この取引は比較的割安です。現在、スプレッドのレベルはプラス 3.15%(年率)で取引されていますが、スプレッドがプラスであるため、この取引のセータ、すなわち時間的価値はマイナスです。XBTH18 は 3月末に満期が到来し、それまでに XBTM18 がアウトパフォームしない場合、アウトライトでの損失率は 0.78%、1日あたりセータは 0.026%となります。

過去の実績から見て、四半期契約は年率プレミアム 30%~40%で取引される傾向があります。イールドカーブの年率プレミアムが横ばいに推移すると仮定した場合、カレンダースプレッドはプレミアムと同様の水準での取引が見込まれるため、上昇シナリオでは、カレンダースプレッドプレミアム(年率)の上昇率は 10倍に達すると予想されます。

単純なロングでなくこの取引を推奨する理由は、レバレッジを利用しない場合の含み損の上限が 0.78% に抑えられるためです。ビットコインを 10,000ドルで買ったとします。その後価格が 6,000ドルに急落すると、弱気になり、慌てて底値で売ってしまいます。ところが、相場は素早く回復し、10,000ドルまで戻します。1か月弱における取引の収支はトントンであるのに、含み損のプレッシャーに耐えられず、40%の損失を出す結果となります。

カレンダースプレッドでは、レバレッジを使用しない場合の最大損失が最初から分かっています。損失が膨らむ可能性を嫌うのであれば、取引規模を拡大しないことができます。

リターンを増やしたい場合は、両方の限月でレバレッジ規模を拡大させます。ただし、BitMEX では、ポートフォリオマージンは使用できません。つまり、ある契約の利益で別の清算価格の埋め合わせはできません。含み損のある契約の清算価格を監視し、証拠金を継ぎ足しながら清算を回避する必要があります。