暗号通貨事業に進出する上場企業

※このエントリーは、2017 年 12 月 13 日   にBitMEX リサーチによりアップされた記事の日本語訳です。

 

抜粋:ビットコインをはじめとする暗号通貨関連資産の価格は最近急騰しており、多数の投機家がこの上昇気流に乗る構えでいます。こうした明らかな潮流に反して、当社は下方修正リスクが高いと警戒しています。今回のブログでは、暗号通貨と関連がある、他分野ビジネスを手がける優良上場株を紹介しながら、リスクを抑制しつつ上昇メリットも期待できる投資手法を考察していきます。

 

概要

ビットコインの価格は年初来(上記執筆時)で 1,600% を超える驚異的な伸びを見せていますが、イーサリアムやライトコインなどの他通貨の価格上昇率はこれをさらに上回っています。  つまり、大幅な下落リスクがあると当社は考えます。例えば、ビットコインの半減スケジュールにより、4年の価格下落周期が訪れるかもしれません。参入済みの投資家は、一部ポジションの利益を確定しながら、なお他のポジションを保持して価格の上昇を待つ態勢にあります。新規投資家は、下方リスクを抑えつつ、値上がり益が期待できるポジションを組む機会を狙っています。

以下の表には、暗号通貨関連分野を成長要因とする事業セグメントに携わる上場企業がリストアップされています。これら企業は暗号通貨価格の上昇からメリットを受けつつ、下方リスクの軽減が期待できる他の事業も運営しています。どの企業に投資するにしても、ご自分でも詳しいリサーチが事前に必要です。以下の情報は企業の基本的な紹介を目的としています。

 

暗号通貨分野への進出が期待される上場企業リスト

Stock Website Comment
 

 

http://www.tsmc.com 堅実な投資案件となる可能性あり。利幅の大きいビジネスと暗号通貨の値上がりが中核ビジネスの成長につながっている。
http://www.alchip.com 暗号関連事業の重要性を判断するには、さらなる取り組みが必要
 

 

https://www.gmofh.com 投資妙味あり。ただ、暗号取引所は立ち上げたばかりで今のところ小規模
 

 

http://www.globalunichip.com ASIC デザイン事業は好調だが、株価が高水準
 

 

https://www.gmo.jp 1つの暗号通貨分野に集中しきれていない
 

 

https://www.overstock.com 1つの暗号通貨分野に集中しきれていない
 

 

https://squareup.com ビジネスモデルの収益力が不透明
 

 

https://www.ig.com 既存顧客が暗号通貨取引に単純にシフトするだけになる可能性あり
 

 

https://www.plus500.com 既存顧客が暗号通貨取引に単純にシフトするだけになる可能性あり
http://www.garage.co.jp 暗号通貨への関連性が薄い
 

 

http://premiumwater-hd.co.jp 暗号通貨への関連性が薄く、ICOの株主へのメリットが不透明
 

 

http://www.cmegroup.com 暗号通貨事業の重要性が低い可能性
 

 

http://www.cboe.com 暗号通貨事業の重要性が低い可能性
 

 

http://www.sbigroup.co.jp 「フェイク (偽の) Satoshi」への関連性が懸念要因

 

各社に関する詳しい情報

 

TSMC

投資案

  • TSMC は暗号通貨の中規模の値上がりを期待しつつ、価格下落リスクを大幅に軽減/消滅する良い手法と考えられます。

概要

  • 台湾を拠点とする世界最大の半導体メーカー。中核事業である集積回路の製造に特化する専業度の高い企業です。
  • 最新の四半期決算報告によると、暗号通貨採掘関連事業の売上高は、四半期当たり 3 億 7,500 万ドル (グループ総売上の 5.1%) に上っています。ただ、暗号通貨の値上がり傾向が続く中、この事業セグメントでは高成長が予想されます。

投資シナリオの検討

  • TSMC の利益率はきわめて高く、2017 年は c66% (EBITDA ベース) と予想されています。当社は、暗号通貨事業でも同様の利益率を達成可能であると見ています。
    • 採掘者と ASIC 設計者は、最近の価格水準で TSMC と大規模注文を得ようと試みる可能性が高く、来年 (2018 年) 売上が急増する余地があります。暗号通貨価格が急伸した場合、2018 年は堅調な注文が予想されるため、暗号通貨にとって有望な年になるとの確証が得られれば、TSMC はこの市場分野に関して比較的低リスクの投資対象となり得ます。
  • 暗号通貨の採掘は、厄介で競争の激しい事業であり、利益の大半を主要機器の購入に充てる結果となりかねません。TSMC マーク・トウェインの以下の引用どおり、どの企業が採掘市場の支配者となったとしてもメリットを得る態勢にあります。

ゴールドラッシュ中は、つるはしやショベルの事業に従事するのに良い時期だ

  • TSMC の配当利回りも c3.1% とまずまずであり、無配当に陥ったことがないのは、市場が落ち込んだ場合、株価の下支え要因となります。
  • TSMC は半導体メーカーとして中核事業を非常に重視しており、ICO やリップルなど、他のブロックチェーン関連分野への投資に気を散らすことがありません。当社の意見では、中核事業への集中度の高い企業の方が長期的に良いパフォーマンスを上げる傾向にあります。

 

投資リスク

  • TSMC の暗号通貨採掘事業の顧客は現在、 Bitmain 1社と考えられるため、顧客集中リスクは大いにあります。
  • Apple (APPL US) および iPhone への依存度の高さもリスクの 1 つです。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

Alchip

考察結果

  • Alchip については暗号通貨事業の重要性を立証するために、さらに調査する価値があるでしょう。

 

概要

  • Alchip は、ASIC 設計・製造事業を営む台湾企業であり、GUC (後述) より小規模です。
  • 同社にとって暗号通貨採掘事業がどの程度重要かは明確ではありませんが、最新の会社プレゼンテーションでは、ビットコイン採掘関連商品の一部について説明しており、2015 年には現在は消滅した KNC 採掘者向けに 16 ナノメートル (nm) のテープアウトを初めて完了しました

 

投資シナリオの検討

  • この銘柄はあまりよく知られていないため、2018 年に暗号通貨分野で大化けする可能性があります。

 

投資リスク

  • ビットコイン事業の規模が不透明。
  • 財務実績が不安定。2016 年には赤字を記録。
  • 注文見通しに関する情報開示が他の企業と比べて不十分とされます
  • 株価は年初来で (執筆時) 171% 上昇しており、 暗号通貨分野出の活動が株価に既に織り込まれていると考えられます。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

GMO フィナンシャルホールディングス

考察結果

  • GMO コインは、既存のインフラやノウハウを活かして、日本を代表する暗号通貨取引所となる可能性があるため、  GMO フィナンシャルは興味深い投資機会となる可能性を秘めています。

 

概要

  • GMO フィナンシャルは GMO インターネットの上場子会社であり、同社によって 80.8% が所有されているため、ため、  株式の流動性は高くありません。
  • リテール FX プラットフォームに加え新たに取引所を営む GMOが 58% を所有する GMO コインも子会社に含まれます。
  • 暗号通貨採掘事業や ICO はこの子会社でなく、GMO インターネット内のグループレベルで遂行されます。

 

投資シナリオの検討

  • 親会社よりGMO フィナンシャルに投資した方が暗号通貨取引所事業に直結します。取引所事業への進出はまだ日が浅いため、大幅な成長を期待できます。
  • FX 取引プラットフォーム事業はリテール分野において日本最大でありそのインフラやノウハウを活用して暗号通貨取引所の効率的な構築が可能です。
  • 取引所では、ほどなく、レバレッジ商品の扱いを始める予定です。

 

投資リスク

  • GMO コインの取引高データは特定できていないため、市場シェアが低い可能性があります。  ただし、最新の会社プレゼンテーションからは、堅調な成長がうかがえます。
  • GMO コイン取引所事業以外のGMO コイン取引所事業以外の月次取引高データは、開示されています。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

Global Unichip

考察結果

  • 評価比率はかなり高く、暗号通貨のメリットが株価に織り込み済みである可能性があります

 

概要

  • Global Unichip (GUC) は、台湾を拠点とする自社工場を持たない ASIC 設計企業です。TSMC が GUC の株式の c34% を保有し、GUC の会長はTSMC China での役職を兼任しています。ただし、TSMC の技術ライブラリは、無工場型の他の競合企業にも公開されています。
  • 2017 年における暗号通貨採掘関連の売上高は、GUC の総売上高の約 20% を占めると考えられています。2018 年にはこの比率が大幅に高まる可能性が濃厚であると当社は見ています。

投資シナリオの検討

  • 暗号通貨事業の売上シェアが 20% と大きく、 2018 年には採掘事業の競争力向上が期待されるため、ASIC の設計がカギを握る可能性があります。2018 年に暗号通貨価格が値上がりした場合、GUC の株価は好調なパフォーマンスが期待できます。

 

投資リスク

  • 株価には既に暗号通貨市場の影響がある程度及んでおり、2017 年の値上がり率は米ドル建てで c304% に達しています。こうした状況を踏まえ、暗号通貨市場が急落した場合、かなりの下落余地はあると当社は見ていますが、暗号通貨トークンを実際に保有するよりリスクはなお低く抑えられます。
  • 株価は将来企業価値/EBITDA が 34.7 倍と割高です。
  • 機械学習/人工知能 (AI) 関連分野も暗号通貨と合わせて同社の成長牽引要因となっています

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

GMOインターネット

考察結果

  • GMO インターネットの暗号通貨事業への関与度合いはそれほど大きくなく、GMO フィナンシャルの方が投資対象として魅力的と言えます。

 

概要

  • GMO インターネットは、インターネットインフラおよびデジタル決済関連事業を手がける日本のグループ企業です。  オンラインクレジットカード取引処理、ドメイン名関連サービス、SSL 証明書を 事業の 3 本柱とします。
  • 2017 年 10 月、同社はビットコイン採掘事業の立ち上げ、および関連するICO の可能性を発表しました。
  • 暗号通貨取引所を手がけるGMO コインも子会社です。

 

投資シナリオの検討

  • GMO は、暗号通貨、ICO、採掘、取引所運営と多様な分野での幅広い投資機会となります。
  • 主要事業である SSL 証明書分野では高い成長率を上げており、2017 年の売上高の伸びは c90% に達しました。

 

投資リスク

  • 競争が既に激しくなっている分野に参入していることや、同時に多様な分野を試しており集中度に欠けることから、  すべての分野での成功は難しいと考えられます。

  • GMO は 2018 年に 7nm のマイニングチップの発売を予定していますが、Bitmain が手強い競争相手となる可能性が高いことから野心的な計画と言えます。また、マイニングチップの製造パートナーも公表されていません。
  • 取引所事業 (GMO コイン) の実質的所有率は低く、46% にとどまります。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

Overstock

考察結果

  • 暗号通貨分野への集中度に欠ける一方、同分野への関与を材料として株価は既に上昇基調にあると言えます

 

概要

  • Overstock は米国のEコマース企業であり、家具・シングを主要商品とします。
  • 同社CEO兼創業者の Patrick Bryan 氏は、ここ数年、ビットコインを熱心にサポートしています。  2005 年、同社は複数の大手投資銀行やヘッジファンドが同社をターゲットに株式を手当てしないで大掛かりな空売りを仕掛けたとしてこれら銀行らを告訴しており、同氏はそれ以来、反ウォール街的スタンスを取っています。  この件に関して和解金を得た結果、同 CEO の主張の正当性が概ね立証されました。
  • Overstock は 2014 年に初めてビットコインでの支払いを受け入れ、同年に「Counterparty」プラットフォームを含むいくつかのプロジェクトに関与するようになりました。2016 年には、t0 システムに関与し、Overstock 株を同プラットフォームの最初の取引商品としました。現在は、分散レジャーシステムの構築に携わっています。

 

投資シナリオの検討

  • Overstock は暗号通貨分野への幅広い投資機会となります。

 

投資リスク

  • 上記企業の多数同様、Overstock は集中度に欠け、多様な暗号通貨関連のビジネスアイデアを試行錯誤している段階にあります
  • 暗号通貨をテーマとする投資の結果、株価は年初来ベースで 214% 上昇しています (執筆時)。
  • 評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

Square

考察結果

  • 暗号通貨シナリオは投資家に既に十分浸透している可能性があり、株価評価ランクでは相当の下落リスクが示唆されています。

 

概要

  • Square は米国を拠点とするデジタル決済ソリューション企業です。
  • 最近、モバイルアプリケーションでビットコインの売買が可能な新商品の発売を発表しました。

 

投資シナリオの検討

  • 新しいビットコインアプリケーションは、使用が簡単なことから、発売以来、好評を得ています。

 

投資リスク

  • 従来の評価基準によると、株価はかなり割高です。
  • ビットコインアプリケーションには、ビットコインネットワーク自体での支払い送金機能はありません。
  • モバイルアプリケーション内でビットコインを売買するビジネスモデルに採算性があるかは不透明です。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

IG Group

考察結果

  • 暗号通貨が好調になると他分野の収益を減少させる可能性があるため、暗号通貨関連事業の成長は限定的と考えられます。

 

概要

  • IG Group は英国を拠点とする CFD およびスプレッドベッディングプラットフォーム企業です。
  • ボラティリティの高さから、暗号通貨取引関連商品を手掛けており、他商品のボラティリティが低下する中、こうした商品は有望な収益貢献要因となり得ます。

 

投資シナリオの検討

  • IG はリテール分野で最大かつ最強の CFD 企業の 1 つです。

 

投資リスク

  • 同社にとって、英国と欧州の規制環境は大きな課題の 1 つです。 リテールレバレッジ取引業界は、規制当局による厳格な監視下にあります。
  • 暗号通貨事業の業績は好調であっても、それが新規顧客獲得につながるかどうか、同社の既存顧客が主な取引手となり、ボラティリティに応じて投資対象を切り替えるにとどまるかどうかは不透明です。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

PLUS 500

考察結果

  • IG 同様、暗号通貨事業での売上の伸びにより、他分野の売上が減少する可能性があります。

 

概要

  • Plus 500 は英国を拠点とするオンラインリテール取引プラットフォームです

 

投資シナリオの検討

  • Plus 500 の技術プラットフォームでは、多数の競合商品より早く新商品を本格展開できるため、変動的な暗号通貨市場での新しい傾向を早く活用できる可能性があります。
  • IG が評判と実績で上回るため、Plus 500 は IG より割安な水準で取引されています。  ただ、Plus 500 の顧客定着率は向上しているうえ、全資金を失い離れていく投機的な顧客より、忠実で価値の高い顧客をより重視する傾向を強めています。

投資リスク

  • IG 同様、規制と CFD 関連の規則厳格化の可能性が主なリスクです。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

デジタルガレージ

考察結果

  • デジタルガレージを買い、価格.com を売るペアトレードは検討の余地がありますが、実質的な暗号通貨事業とのつながりは重要性と可能性の面で期待できません。

 

概要

  • デジタルガレージは日本のテクノロジー投資ファンドであり、主要資産は価格比較サイトの株式会社カカクコム (2371 JP) です。
  • デジタルガレージはブロックチェーンインフラ企業 Blockstream にも投資しています。
  • 理論上、デジタルガレージを買い、カカクコムを売って、Blockstream への関与度を高めることができます。

 

投資シナリオの検討

  • Blockstream は、ビットコインブロックを世界中に公開する衛星商品を発表しています。

 

投資リスク

  • Blockstream のビジネスモデルは不透明に思われ、商業化より技術とインフラを重視する傾向がうかがわれるため、収益に結びつかない可能性があります。
  • Blockstream との関連性はきわめて限定的です。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

プレミアムウォーターホールディングス

考察結果

  • 暗号通貨分野との関連性が乏しすぎる可能性があります。

 

概要

  • プレミアムウォーターは急成長している日本の天然水企業であり、家庭とオフィスへの天然水の宅配を手掛けています。
  • COMSA Whitepaper 』の 10 ページによると、同社は恐らく事業拡大への投資資金を調達するため ICO を実施する予定です。 COMSA (コムサ) とは日本の集中型 ICO ソリューション企業であり、同社もトークンの売り出しを最近実施しました。

 

投資シナリオの検討

  • 同社は ICO で相当の額を調達できる可能性があり、この点が既存株主にとって何らかのメリットとなるチャンスがあります。

 

投資リスク

  • 既存株主が ICO から直接受けるメリットについては、その有無を含めて不透明です。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

CME Group

考察結果

  • 暗号通貨が収益の重要な牽引役となる可能性は高くありません。

 

概要

  • CME Group は機関投資家向けデリバティブ取引所を運営しており、先物契約とオプションを取り扱っています。これら商品は、金利、株式指数、FX 、コモディティに関連しています。
  • 同社は、ビットコイン先物契約の導入を最近発表しました。

 

投資シナリオの検討

  • 金融投機はビットコインを利用する主要活動の 1 つとされており、ビットコイン商品の導入によりかなりの取引高増につながる可能性があります。

 

投資リスク

  • ビットコイン商品は新規の商品であるため、同社の他の商品と関連して、相当の需要があるかどうかは不透明です。
  • 将来企業価値/EBITDA は 21.0 倍であり、株価は既にやや高い水準にあります。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

CBOE

考察結果

  • 暗号通貨が収益の重要な牽引役となる可能性は高くありません。

 

概要

  • CBOE は機関投資家向けの金融オプション取引プラットフォームを運営しています。  主要商品は、FX および株式指数と関連があります。
  • 同社は、ビットコイン先物契約の導入を最近発表しました。

投資シナリオ

  • CME 同様、金融投機がビットコインを利用する主要活動の 1 つであり、ビットコイン商品の導入によりかなりの取引高増につながる可能性があります。

 

投資リスク

  • ビットコイン商品は新規の商品であるため、同社の他の商品と関連して、相当の需要があるかどうかは不透明です。
  • 将来企業価値/EBITDA は 24.4 倍であり、株価は既にやや高い水準にあります。

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

SBI Holdings

考察結果

  • 「フェイク (偽の) Satoshi」とのパートナーシップは重大な懸念であり、当社は SBI への投資を推奨しません。

 

概要

  • SBI ホールディングスは、主要事業を国内オンライン株式取引プラットフォームとする日本の金融企業です。SBI は GMO と同格とみなすことができます。
  • SBI ホールディングスは暗号通貨分野にかなり関心が高いと見られ、Ripple、R3、Orb、Coinplug、Wirex、Veem、bitFlyer に投資する暗号通貨ファンドを持ちます。(出典)
  • SBI はビットコイン採掘を含め、投資拡大を計画しています。また、ICO の助言など、ブロックチェーンに関するコンサルティング事業にも従事しています。

 

投資シナリオの検討

  • SBI ホールディングスは暗号通貨業界の多数の分野への投資機会となります。

 

投資リスク

  • SBI は最近、nChain との戦略的提携を発表しました。同社の経営者はビットコイン界で「フェイク (偽の) Satoshi」としても知られる Craig Wright 氏です。同氏との提携により、SBI が暗号通貨分野にあまり詳しくないか、株主の資金を無駄にする可能性があると懸念されています。
  • SBI のブロックチェーン戦略は一貫性に欠けているようにも見受けられます。

 

評価基準

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

その他の暗号通貨関連企業

ティッカー 企業名 時価総額(US$ m) 2017 年初来リターン(US$) 説明 ブロックチェーン専門企業
日本
4751 JP サイバーエージェント 4,814 50.0% メディアWebサイト「Ameba」の運営、
広告代理店業務、
外国為替取引Webサイト、PCやモバイルコンテンツを提供。自社の暗号通貨取引所を準備中か
非該当
3774 JP インターネットイニシアチブジャパン 841 16.2% インターネット接続サービスを企業向けに展開。ビットコインサービスを計画中 非該当
6172 JP メタップス 365 (24.6%) スマートフォン向け広告アプリケーションプラットフォームを開発。自社の暗号通貨取引所を準備中か 非該当
3825 JP リミックスポイント 322 359.9% 電気小売事業、省エネコンサルティング、中古自動車販売事業に従事。BITPoint 取引所事業 非該当
2315 JP カイカ  231 (7.7%) 情報システムソリューションサービスを金融および電気通信業界に提供。仮想通貨「CICC(カイカ)」を発行 非該当
3696 JP セレス   216 34.8% インターネットマーケティングサービスを提供。「CoinTip」サービスを運営 非該当
3853 JP インフォテリア 177 47.6% ソフトウェア開発に従事(XMLベース)。仮想通貨「Zen」を発行 非該当
8732 JP マネーパートナーズ    133 (18.0%) 外国為替取引を提供。取引所「Kraken」と提携 非該当
3807 JP フィスコ  125 22.4% 金融情報を提供。モナコインの両替と取引に従事 非該当
8704 JP トレーダーズホールディングス   120 (8.7%) インターネットとコールセンターを通じて金融サービスを提供。Quoinex取引所事業 非該当
3121 JP MBK  102 36.7% 日本と中国でローンと投資サービスを企業と不動産会社向けに提供。BTCBOX取引所に投資 非該当
3808 JP Okwave   43 36.6% Q&Aコミュニティサイト「OKWAVE」を運営。自前の暗号通貨取引所を準備中か。 非該当
台湾
2377 TT Micro Star 2,058 5.6% マザーボード、ビデオグラフィックカード(VGA)の製造・販売 非該当
2376 TT Gigabyte Tech 1,102 28.8% パソコン用マザーボードの製造・販売 非該当
3515 TT AsRock 296 100.6% マザーボードの開発、設計、小売 非該当
2399 TT BioStar Micro 84 70.5% パソコン用マザーボードとインターフェイスカードの製造、販売 非該当
6150 TT TUL Corp 68 312.3% ビデオグラフィックカード(VGA)、マルチメディア製品、インターフェイスカードの開発、製造、販売 非該当
アメリカ
NVDA US NVIDIA 116,085 80.2% グラフィックスプロセッサおよび関連ソフトウェアの設計、開発、販売 非該当
AMD US AMD 9,928 (9.3%) 半導体製品の製造 非該当
GBTC US Bitcoin Investment Trust 5,139 2,383.0% ビットコイン投資専用の信託 該当
RIOT US Riot Blockchain 275 732.7% 暗号通貨の購入、ブロックチェーン事業、およびブロックチェーンテクノロジー企業のサポート 該当
SSC US Seven Starts Cloud Group 262 241.5% 人工知能、ブロックチェーン、フィンテック搭載デジタル金融ソリューションの提供 非該当
MGTI US MGT Capital  204 475.3% サイバーセキュリティ技術ポートフォリオの運営 該当
DPW US Digital Power 103 686.4% パソコンその他電気機器メーカー向けに市販用スイッチング電源の設計、開発、製造、販売 非該当
カナダ
HIVE CN Hive Blockchain 636 n/a 暗号通貨採掘企業として運営 該当
BTL CN BTL Group 197 991.7% ブロックチェーンテクノロジーの開発 該当
CODE CN 360 Blockchain 33 600.0% ブロックチェーンを基盤とするテクノロジーに投資 該当
オーストラリア
DCC AU Digitalx 106 495.7% ICOアドバイザリーおよびブロックチェーンコンサルティングサービス 該当

出典:Bloomberg、BitMEX リサーチ

 

免責事項: この文書は投資に関する助言に該当しません。投資に関する決断を、下す前に、独自のリサーチをすることが推奨されます。