原文:ETHUSD Perpetual Swap Two Week Update
BitMEX における当社の強みの一つは金融革新です。当社は、いかなる金融市場にとっても、実にユニークな商品となる XBTUSD 永久スワップを生み出しました。現在、XBTUSD は、流動性を10倍に高めた、世界で最も流動性の高い仮想通貨商品で、6つの仮想通貨市場に導入されています。この成功の背景には、BitMEX が、クアント・プライシング・モデルを使って、ビットコインをマージンにした永久スワップを、Ether / USD に対しても複製する方法を創造したということがあります。この商品が、ETHUSD 永久スワップです。この商品は、わずか2週間で、世界中で最も流動性の高いEther / USD (すなわち、米ドル相当) ペアとなり、ETH/USD 価格ペアに対するスペキュレーションやヘッジングにとって、非常に重要な金融商品であることが判明しました。BitMEX のETHUSD スワップは、直近の24時間で、800,000 ETH相当が取引されています。2番目に流動性が高い ETH/USD および ETH/USDT の市場である、 Bitfinex および Binanceにおける同期間中の取引量は、それぞれわずか500,000 ETH弱でした。この商品のプライシングや取引にまだ不安がある場合は、当社の先週のニュースレターで、ヘッジングおよびスペキュレーションにおいて実際に機能した複数の事例を紹介していますので、どうぞご覧ください。皆さんの理解の助けとなるよう、当社は、 計算するためのダウンロード可能なスプレッドシートも作成しました。
Ether は 2桁のシットコイン
すべては2017年2月、タイの南方のビーチで始まりました。タイの国王が数ヶ月前に亡くなったため、パーティーのような雰囲気は自粛されていました。素晴らしい友達と最高のシットコイン・トレーダーの一人と共に、私たちは、パーティーを探しにビーチへと向かいました。当時、彼が抱えていたシットコインの大きなポジションのうちの一つは、PepeCash(ぺぺキャッシュ)でした。これはCypto Kittiesの前に出現したものです。内情に詳しい人にとっては、PepeCash は ブロックチェーン上に作り出された“レアペペ(rare pepe)“の一種です。次のキラーアプリであることは間違いありません。PepeCash は、スマートフォン上で操作することができるため、私の友人は常に市場を監視していました。私たちは、賑やかなパーティーを見つけることはできませんでしたが、特別なカクテルを見つけました。バーテンダーは、私たちがならず者ではないと見抜き、キッチンに戻って本物の酒を持ってきました。それから数時間以上、私たちは、何マイルも歩き、興味深い旅行者や現地の人たちと出会い、シットコインに関して徹底的に話し合いました。車でホテルへ帰る途中、おかしなことに気づきました。私たちを乗せたタクシードライバーが、「Pepe the Frog」 というロゴの入った運転手用の帽子をかぶっていたのです。私は目を疑い、友人の肘をつつき、彼も、運転手がPepeの帽子をかぶっていることを認めました。私の友人は、マーケットをチェックしようと、すぐにスマートフォンを取り出しました。マーケットの連中も、私たちと同じような経験をしていたのかもしれません。Pepe Cash は上昇していたため、彼はさらに買い足しました。私たちはお互いに顔を見合わせ、それが、2017年に何か特別なことが起るサインだと知りました。 実際に起ったことは、私たちの想像をはるかに超えるものでした。2017年に実際に利益を上げたのは、Ether保有者、シットコイン・プロジェクト、そしてプロモーターでした。尊敬を集めている仮想通貨の大半のヘッジファンドに対するシードキャピタルは、Ether(イーサー) およびトークンプロジェクトのポジションに対して生じた、莫大なリターンから生み出されました。うらやましく思った従来型のベンチャーキャピタルは、彼らもシットコインに賭けようと、ファンドの一部を、ぎこちなく設計されたヘッジファンドに移し替えました。みんなが同じディールに群がり、「儲けた!」と思いました。2017年中はこれでうまく行きました。今、Ether は $200まで低下しています。トークンプロジェクトの中でうまくいったものでも、2017年の水準の半分にまで落ち込んでいます。最悪の場合は、ゼロをわずかに上回る水準です。このことから次のような疑問が生まれます。
- 2016年の未実現利益を実際に実現したファンドはあったのか?
- ベンチャーキャピタルからヘッジファンドに転向した運用者は、マーク・トゥ・マーケットの損失を心理的にうまく扱うことができるのか?
- いくつのトークンプロジェクトが、実際に調達した Ehter の大部分、またはヘッジされた部分を売ったのか?
大きな門から入り、小さな門から出ろ
アジア太平洋のトレーダーとしてあなたが最初に学ぶ事柄のうちの一つは、どうやってポジションからエグジットするかということの方が、どうやってエンターするかということよりも重要だということです。私の最初のトレーディングブックは、ベトナムの証券でした。私たちのデスクは、ベトナム株式のバスケットに対してUSD建ての証券を発行しました。2009年にベトナムの株式市場のことを「ミッキーマウス」と呼べば、褒め言葉になっていたことでしょう。なんといっても、同一の株式に対しては、1日に片道でしか取引することができませんでした。買ったら、その日は買い続けるしかなく、売ることはできませんでした。1日あたりの値動きが上下5%に制限されていました。ニュースのある株は、どれも前場ですぐに限度価格に達してしまいました。このため、ブローカーに注文をファックスで送らなければならず、できるだけ早く注文の列に並ぶようにしなければなりませんでした。残念ながら、時々、ブローカーの方が、先に行っていることがありました。なぜなら、彼らは、ある特定の株について、あなたが取引できるだけの量を持っていることを知っていたからです。上司は私に、マーケットを観察するよう促しました。マーケットの構造を考えると、私がポジションを取れば、しばらくの間、そのポジションに捕らわれることになります。そして、エグジットしたいと思ったときには、ロングまたはショートのポジションから抜け出すために、強気で売り、弱気で買わなければならなくなります。私がETFのマーケットメーカーになった頃は、例をいくつか挙げれば、インド、インドネシア、中国など、その他の「ミッキーマウス」市場で日常的に取引していました。これらのマーケットは、過去も今も、規制当局による急な判断で(しばしば一晩で)変動することがあります。これは、政治にコネクションのないトレーダーにとっては不利です。私は、ポジションからどうやったら抜け出せるか、ということを四六時中考えるようになりました。この癖は、仮想通貨市場において役立ちました。私の最初のボスは、すべてはトレーダーとしての私のミスだと教えてくれました。確かにコントロール不可能なことはたくさんありますが、そのような考え方で仕事に臨むのなら、コントロールできないことに含まれるすべてのリスクを定量化し、緩和するよう試みるでしょう。私の長くて退屈な話の要点は、大半のベンチャーキャピタルは、こうしたメンタリティーで投資を行っているわけではない、ということです。彼らの投資は流動性が低いため、幻想を抱かせ、驚くようなリターンをただ紙に書いて示すことで、報酬を得られるのです。セカンダリーマーケットにおける彼らの投資の検証だけが、次の資金調達手段ですが、これも友人を巻き込めば、いつでも簡単に値を上げることができます。ギブアンドテイクです。ベンチャーキャピタルの投資家は、客観的で、流動性のあるセカンダリー市場でのバリュエーションを提示することができるため、ブルマーケット(強気相場)でのイニシャル・コイン・オファリング(新規仮想通貨公開)を好みました。彼らは、2017年と2018年初めに、より大きなシットコイン・ファンドを募集するために、こうした驚くようなリターンを使いました。しかし、客観性と透明性は、シットコインのポートフォリオが、最低でも50%下落しているような状況では好ましくありません。ファンドのビンテージによっては上昇したかもしれませんが、大半の資金は、2017年下半期から2018年下半期にかけて調達され、投資されました。これが何を意味するかというと、最近投資をした人たちは、損失を被る可能性が最も高いということです。マーケットの予測のつかない変化に苦しんだことのない人たちは、損をする可能性が高いということです。マーケットの予測のつかない変化に苦しんだことのないベンチャーキャピタルの投資家は、数日後に1から100ビットコインまで上がると考える初心者と同じくらい青い(新米な)のです。彼らには、さらに損失が膨らんだり、倒産したりするのを防ぎ、たとえ損をしてでも、いつか押し目で買うチャンスを利用するために、ポジションを切り捨てるというメンタルな強さがないのです。さらに重要なことに、リミテッド・パートナーたちは、特定のトークンに対する客観的な直近の価格を見ることができるので、騙されません。彼らは、結果論から色々と言おうとしますが、それはベンチャーキャピタルの投資家の不安を増幅させるだけです。ある時点で、彼らは「損切り」に走り、投げ売りできるものは皆処分します。今、Etherは、3桁から2桁のシットコインになろうとしています。
集中リスク
SAFTやその他のプライベート・トークンがモンスターのようになる前は、大半のマネーは、リテールのトークン投資家から集められていました。今では、プロジェクトが業務停止になるのを恐れて、たいていは適格な投資家しか受け入れません。適格な投資家は、その富と豊富な手段により、新たなテクノロジーのプロジェクトに入る手段を常に持ち合わせていました。こうした投資家たちは、非常に集中しています。業界のやり方に同意するすべてのプロジェクトに100万ドルから500万ドルを投資できるファンドの数は限られています。しかし、これらの門番が、機関投資家という大海原をコントロールしているのです。ソフトバンクの「ビジョンファンド」は1,000億ドルです。ですから、より幅広い投資家から金を集めるどころか、大金を調達するプロジェクトのトークン保有者の数は、2017年半ばに急激に減少し始めました。清算優先権は、プライスカーブに沿って分散した状態から、非常に集中した状態へと移行しました。すべてのベンチャーキャピタルは、同じ資本プールを取り合います。これらの資本プールは皆、同じ学校、同じ金融資格試験を合格したプロを雇います。だから、みんな同時に売ったり買ったりするのです。マネーマネジメントにおける最も大きなリスクは、キャリアリスクです。ほかの人と一緒に損をした方が、ひとりで損をするより良いのです。ひとりで損をすると、自分の仕事を犠牲にすることになります。熟練者に必要とされるスキルに対して、金融機関ほどの報酬を払ってくれる職業はほかにありません。私の友人のうちの一人が、Excelのスプレッドシートで sumproduct 関数を使ってETFのNAVの計算ができるから、自分は能力があるのだと主張しようとしていたことを思い出します。こういう人には「#思い込みが激しい人」というハッシュタグを付けたいくらいです。ベンチャーキャピタルのトークンへの投資家たちは、皆同時に売却の決断をするでしょう。売らずにそのままマーケットが下がり続けたら、あなたは仕事を失います。だから皆が同時に売りに走るのです。でも、そんなにいっぺんに売りに出されたものを、一度に平らげられる人がどこにいますか? リテールは無理でしょう。機関投資家から資金流入がなければ、そんなに取引が大きくなることはあり得ません。だから、私たちはgapを下げるのです。まずはトークン、そして本丸のEtherに対してです。どこが天井なのか、私には分かりませんが、後になってみれば、いつ売りに転じたのかは明らかでしょう。持続可能なトークンエコノミーが存在すると信じる人たちはいます。しかし彼らは、これらの水準では買おうとしないでしょう。100ドルを下回れば、2017年の春の水準にまで戻るということです。そこまで下がれば、食べ頃です。
ビットコイン$5,000 が現時点での底値
原文:$5,000 Bitcoin, A Local Bottom
ビットコインは、これまでの最高値である$20,000 から 70%近く低下しています。ベアマーケット(弱気市場)です。どこがボトムなのか、そして、それはいつなのか?私の予想では、2015年のベアマーケットと同様、平均的なマイナーがASIGを停止したときがその地域のボトム価格になるでしょう。直近のベアマーケットのレンジは $200 – $250 でした。価格の低下に伴い、注目を浴びていた様々なマイナーが沈んでいきました。KnC と Spondoolies のふたつが犠牲になりました。最も驚いたのは、2015年3月に、この難しい局面が、実際に和らいだことです。価格が上昇する7カ月前のことでしたが、これは、マイナーが被った痛手の規模を示しています。今、SEC公認のETFが我々を救うというような前向きな材料がないとすると、どこが底なのでしょうか? 私は、マイナーが彼らのマシンを停止し始めるときが重要なポイントだと思います。だとすると、ビットコインの限界費用はいくらなのでしょうか? 数日前、私は、世界最大のマイニング施設のオペレーターの一人と話をしました。彼は、中国のマイナーの平均的な電気代は、すべて込み込みで1キロワットアワーあたり6 から 7 セントだと教えてくれました。この水準では、価格がおおよそ $5,000になると、マイナーたちはオペレーションを変更し、マシンをより安い地域に移動することを検討し始めるだろう、と彼は予測しました。$3,000 から $4,000 になれば、これらのマイナーたちは、完全にマシンをシャットダウンし始めるでしょう。しかし、これらのおおまかな予想は、7nmのチップスを使っているマイナーが、あまり効率的に働かないか、2019年まで売られないことを前提としています。Bitmain、Dragonmint、GMO は皆、先を争ってこうしたマイナーを構築しようとしています。7nm のマイナーをマーケットに持ち込むことに成功した企業は、間違いなく、平均的なマイニングファームの限界費用を下げることになります。そして、比較的古い世代のマイニング機を駆逐することになるでしょう。価格がハッシュレートを先導し、最終的なブレークイーブン水準の確認は、難局が実際に和らぐかどうかです。それには、ハッシュレートが下落するほど弱気相場が続き、十分な数のマイナーがシャットダウンする必要があるでしょう。
時期不明なIPOはいつなのか
皆が、Bitmainの IPOについて話しています。すでに企業の士気を高める初期段階を過ぎたのなら、上場企業を経営することが次善の策になります。なぜ企業の株式を公開するかというと、長期的な投資家、従業員、経営陣にとって、企業を何倍もの値段で売ることができるからです。企業は、事業拡大を支えるための多額の資本を調達するためにもIPOを行います。上場企業になれば、経営に対する精査は決して終わることなく続きます。間違ったことを言えば、何年も刑務所にいられる可能性があります。あのフェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグが、好き好んで、何も知らない連邦議会議員や女性たちに、人前でこきおろされたいと思いますか? テスラ社が、もともと公開市場で株式を売ることによって多額の資金を調達する必要がなかったのなら、CEOであるイーロンは、きっと未公開会社のままにしていたでしょう。Bitmain は、最も価値のある、また最も儲けの出ている仮想通貨会社です。公表された数字が真実だとすれば、2017年には20億ドル以上の利益を生み出したことになります。ほかのメーカーとは異なり、Bitmainのクライアントは注文を前払いします。販売前の唯一の支出は、彼らの主要な半導体を伴ったチップに対する頭金です。Bitmain は、ドル箱事業を持っていますが、今はIPOをやりたいのです。同社は、ビジネスを拡大するために資金調達が必要なわけではありません。研究開発のためのキャッシュフローは潤沢です。彼らはすでに最大のマーケットシェアを保有しているので、値段を下げることにより、流通チャネルを掌握する必要もありません。唯一の結論は、彼らは、マイニングの中期的な利益は急激に低下する、と考えているということです。Bitmainは、AIチップの成長戦略を売りにしていますが、本当のところは、徹頭徹尾、仮想通貨会社なのです。仮想通貨会社は、ほかの比較可能な業界の似たような会社に比べて、非常に割安な株価収益率で取引されています。私は、今年、Poloniex や Bitstampを売った仮想通貨取引所は、株価収益率4倍から6倍で取引したとみています。(Bistampの売却はまだ確認されていませんが、あらゆる仮想通貨のニュースが、2018年初めに売却された可能性が高いと報じました。)ICEやCMEなどの公開取引所は、20倍から30倍の株価収益率で取引しています。仮想通貨市場が、2017年第4四半期のように大規模なブルマーケット(強気市場)なら、公開市場に資金が流入するかもしれませんが、ビットコインが70%も低下しているときにそういうことはありません。さらに、Bitmainは、マイニングの収益性が劇的に落ち込む前に、マーケットの天井をつかもうとしているのだと予想されます。マネージメントは、価格は持続的に低下して、$5,000かそれを下回るところまで行く可能性が高いという見方をしています。この値段では、彼らの目玉商品S9マイナーの売上は低下するでしょう。彼らはIPOによって利益を実現することができますし、ベアマーケットである間にキャッシュリッチでいられます。この軍資金で、比較的金銭的にゆとりのないライバル企業のうちのいくつかを買収することができます。市場が反転したとき、彼らは、誰もライバルのいない有利なポジションにいることでしょう。
上方リスク – SEC 公認の ETF
9月末に、SECは、多くのETF出願に対してルールを課すでしょう。彼らは、よくあるプレッシャーに屈服するのでしょうか? 仮想通貨は、70%下落しているときでさえ、ほかのアセットクラスより、はるかにエキサイティングです。取引所、アセットマネジャー、投資銀行などはすべて、入りたがっています。唯一の抑制要因は規制当局です。Kストリートのロビイストたちと共に、米国議会の議員たちを説得すれば、どんな理不尽な要求も通すことができます。仮想通貨のロビーが、SECに勝ち、ETFが承認されれば、ショートスクィーズの源となるすべての動きに警戒してください。