原文はこちら:BitMEX Enables Bech32 Sending Support
BitMEXでは、Bech32(ネイティブSegWit)アドレス形式でビットコインを出金できるようになりました。このアップグレードは、今すぐご利用になれます。

Bech32 の技術的情報
ビットコインの現在のアドレス形式は次の通りです。
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 アドレス形式 
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 コメント 
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 アドレスの例 
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 Pay to Public Key Hash(公開キーハッシュへの支払) (P2PKH) 
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ビットコインの元々のアドレス形式 番号1で始まるアドレス | 
 19CPBGKkxj 4iPyfLu6E3 Wboydopqs6U2GE 
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 Pay to Script Hash(スクリプトハッシュへの支払) (P2SH) 
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 2012年4月に有効化 番号3で始まるアドレス 
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 3BMEXScSmZ yb22WhUpW6 XnX7FDwBbdXv2e 
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 Bech32 
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 ネイティブのSegWitアドレス形式 bc1で始まるアドレス  | 
 bc1qdzac2x 4j6kcthjrc dek4mdqghw shkg30hgf60p 
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現在、BitMEXでは、3つのアドレス形式すべてに対して出金できます。ただしBitMEXに入金する場合は、当社はマルチ署名ウォレットソリューションを採用しているため、Pay to Script Hash(P2SH)形式のアドレスに送信する必要があるという点にご留意ください。現在、Bech32アドレス形式は、BitMEXから出金する際に、受信アドレスとしてのみご利用になれます。
このアップグレードは、ブロックウェイトの使用を減らし、お客様の取引手数料を削減するためのもので、ビットコインウォレットのインフラストラクチャとテクノロジーを最適化するというBitMEXの継続的な取り組みの一環です。BitMEXは2014年のローンチ当初、P2SHマルチ署名技術を利用する最初の企業の1つでした。BitMEXは、ビットコインテクノロジーの最先端企業であり続けることを切望しており、今回の発表は、ウォレットのアップグレードプロセスの一部に過ぎません。今後もこうした取り組みを継続して参ります。
Bech32アドレスの利点
BIP173で説明した通り、新しいアドレス形式にはいくつかの利点があります。
- ブロックウェイトのより効率的な使用(これによる手数料の削減)
 - エラー検出の改善
 - より効率的なQRコード
 
Bech32による手数料の節減
Bech32アドレスの主な利点は、Bech32アドレスに既に送信されたビットコインを利用する際に、取引手数料を節約できるという点です。このため、今回のアップグレードにより、お客様がBitMEXから出金する際に、手数料を直接節約することはできませんが、次の取引において、BitMEXから以前に出金したビットコインを再び利用する際に、取引手数料を削減するというメリットを享受することができます。 SegWitを利用してノンネイティブアドレスから支出する場合、約20バイトのオーバーヘッドを追加する必要があります。ネイティブなSegWitスタイルのアドレス(Bech32)を利用する場合は、このオーバーヘッドが不要となります。このようにオーバーヘッドが不要になることで、節約につながるのです。 以下の表において、ブロックウェイトの節約度合いを定量化しました。ご覧のとおり、この例では、1入力2出力というトランザクションを行なった場合、ブロックウェイトの観点において、SegWit以前のスタイルの支出と比較して、ネイティブSegWitの支出では約37%、ノンネイティブSegWitの支出では17%節約されています。
1入力2出力というトランザクションの典型的なトランザクションサイズ(例示)
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 入力する払い戻しタイプ 
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 ウィットネスサイズ (バイト) 
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 ウィットネスサイズ 
(バーチャルバイト)  | 
 合計トランザクションサイズ (バイト) 
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 合計トランザクションサイズ(バーチャルバイト) 
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| P2PKH | 
 110 
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 110 
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 220 
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 220 
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| P2SH SegWit | 
 110 
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 28 
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 240 
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 167 
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| SegWit (ネイティブ) | 
 110 
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 28 
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 220 
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 138 
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(出所: BitMEX Research)
1入力2出力というトランザクションの典型的な節約率(例示)
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 入力する払い戻しタイプ 
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 ウィットネスサイズ (バイト) 
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 ウィットネスサイズ 
(バーチャルバイト)  | 
 合計トランザクションサイズ (バイト) 
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 合計トランザクションサイズ (バイト) 
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 P2PKH と比較した場合のP2SH SegWit 
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 0% 
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 75% 
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 (9%) 
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 24% 
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 P2PKH と比較した場合のSegWit (ネイティブ)  
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0% | 75% | 0% | 37% | 
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 P2SH SegWit  と比較した場合のSegWit (ネイティブ)  
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 0% 
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 0% 
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 8% 
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 17% 
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(出所: BitMEX Research)
節約は署名/スクリプトのウィットネスディスカウントによって生じるため、トランザクションの入力が多いほど、節約率は高くなります。したがって、複数の入力がある大規模なトランザクションでは、通常、上記の表にあるトランザクションよりも大幅に節約できます。
ウォレットに対する今後のアップグレード
BitMEXウォレットに対する次のアップグレードで優先すべきは、現在当社が提供しているノンSegWit P2SHマルチ署名ウォレットソリューションに対して、SegWit(ノンネイティブ)を有効にすることです。 上述の通り、SegWitは約25%から40%の大幅なブロックウェイトの節約をもたらしますが、BitMEXの場合、節約率はさらに大きくなります。BitMEXの出金は3/4マルチ署名P2SHトランザクションであり、各入力には3つのデジタル署名と4つの公開キーが必要となります。現在、典型的な2入力2出力のBitMEXの出金は、1,200バイトにもなります。これらの大規模なトランザクションにウィットネスディスカウントを適用すると、そのメリットは、通常のノンBitMEXトランザクションよりもはるかに大きくなります。したがって、BitMEXでは、SegWitを採用することで、ブロックウェイトを約65%削減するというメリットを享受することができます。 ビットコインのウォレットテクノロジーの開発に携わりたい方は、チームへの参加をご検討の上、こちらからご応募ください。