2020年3月の仮想通貨取引所動向(CryptoCompareより)

原文: March 2020 Report Into Cryptocurrency Exchanges (From CryptoCompare)

エグゼクティブサマリー

 

313の市場の大暴落で、1日あたり取引高が史上最大額を記録

  • 3月12-13日にかけての市場の大暴落により、1日あたり(3月13日)の取引高が759億ドルに達しました。仮想通貨史上最大の1日あたり取引高となりました。
  • この数字のほとんどは下位層取引所(543億ドル)からのものでしたが、上位層取引所の取引高は、合計216億ドル(5%)で、上位層取引所の取引高として、過去最高水準を記録しました。

2020年第1四半期のスポット取引高が急増

  • 2019年12月以降、上位層取引所の取引高は、前月比で増加し続けています。3月の大手上位取引所の多くは、取引高において、平均35%増加(2月比)しました。

20203月のデリバティブ取引高は過去最高額を記録

  • 3月のデリバティブ取引高は6000億ドルで、2月比5%の伸びとなりました。最大のデリバティブプレーヤーにはOKEx、BitMEX、Huobi、Binanceが含まれ、これら4つを合計すると5140億ドル(3月のデリバティブ市場の86%)となります。

新たなデリバティブ取引所であるBinanceFTXの取引高が急増

  • 3月のBinanceとFTXの1ヶ月あたり取引高は、それぞれ27%(958億ドル)、94%(358億ドル)急増しました。BinanceとFTXの1月の市場シェアは14%でしたが、3月には約22%となりました。

機関投資家によるデリバティブ取引高の急減

  • ビットコインの大暴落後、デリバティブ商品に対する機関投資家の需要は急激に落ち込み、CMEの取引高は2月比44%減となりました。3月の合計取引高は、2月の131億ドルに対し、73億6000万ドルでした。

取引所指標分析

CryptoCompareの取引所指標は、各取引所を、透明性、運営の質、規制面、データ提供、マネージメントチーム、および取引や違法行為を効果的に監視する能力において、採点することにより、投資家、規制当局、仮想通貨愛好家に対するサービス提供を目指しています。悪いアクターに特に注目するのではなく、効率的で公正な市場を維持し、投資家の安全を確保するために役立つ方法で行動するアクターに注目するものです。したがって、「上位層」と「下位層」の取引高の概念を導入しました。

3月の上位層の取引高は8.0%増の2880億ドル、下位層の取引高は7.9%減の1兆200億ドルとなりました。

3月のスポット市場は、1日あたり(3月13日)取引高が合計759億ドルに達し、1日あたり取引高としては史上最高を記録しました。しかし、この数字の大半は下位層取引所(543億ドル)によるもので、上位層取引所の取引高は合計216億ドル(28.5%)でした。
取引所指標に対する厳格な評価手法に基づき、階層(Tier)レベル別に取引所を分類することで、どの市場で動きがあったのかを、より全体像を把握することができます。

上位層のスポット取引高は、3月13日に合計216億ドルでした。これは史上最高記録ではありませんが、2019年7月と2017年12月の弱気相場の終わりの頃の取引高に近い数字となりました。

マクロ分析と市場セグメンテ-ション

従来のテイカーフィーを請求する取引所が、3月の総取引高の80.4%を占め、トランスフィーマイニング(TFM)を実施する取引所が占める割合は20%未満でした。先月、料金を請求する取引所は、スポット取引高全体の78%を占めました。

手数料を請求する取引所では、3月に合計9240億ドル(2月比2%減)の取引があり、TFMモデルを実施する取引所は2220億ドル(2月比14%減)の取引となりました。

2019年12月以降、上位層取引所の取引高は、前月比で増加し続けています。3月には、大手上位層取引所の多くの取引高は、平均で35%増加(2月比)しました。

3月の価格暴落にもかかわらず、これらの取引所の取引高水準は、2017年12月の強気相場で見られた水準にはまだ達していません。全体としては、3月の上位層取引所全体の取引高は、8.0%増の2880億ドルとなりました。

Binanceは、3月の取引高が636億ドル(19.2%増)となり、取引高において最大の上位層取引所となりました。その後、OKExの取引は477億ドル(8.2%減)、Coinbaseの取引は133億ドル(41.9%増)となりました。

BinanceとOKExは、12日と13日に見られた最近のビットコインの変動を利用して、他の上位層取引所に比べて2020年第1四半期の覇者となりました。13日のBinanceとOKExの取引高は、それぞれ36億ドル、39億ドルとなり、大手取引所では、Coinbaseの15.4億ドルがこれに次ぎました。

3月のビットコイン暴落中の上位層取引所の取引高

BinanceとOKExは、12日に始まったビットコインの暴落(10:30 am GMT)のその瞬間においては、すべての市場で幅広い取引が見られ、最も多くの取引高を獲得していたにもかかわらず、上位層取引所の取引高の大半(BTC / USDおよびBTC / USDT市場全体)を占めたのはBitfinexでした。これに次いで、Coinbase、OKEx、Bitstampもこの間、大量の取引を維持しました。

上位層取引所の中でも、大暴落の最初の1時間に最も多くの取引があったのは、Bitfinexです。同取引所は午前10時40分から午前11時の間、これらの取引所における取引高の平均40%を占め、わずか1分間で1180万ドル相当の取引が行なわれました。

ビットコインから法定通貨への取引高

3月のビットコインからUSDTへの取引は2160万BTCと、2月の770万BTCに比べほぼ3倍に跳ね上がりました(182%増)。米ドルおよび円への取引も、それぞれ270万BTC(170%増)、 180万BTC(132% 増)へと急増しました。BTC/USDT市場は現在、ビットコインから法定通貨またはステイブルコインへの取引総額の73%を占めています。

ステイブルコインUSDCとPAXは、ビットコインへの取引の総取引高において、BTC / EURおよびBTC / KRW市場を追い越しました。3月のBTC/USDCおよびBTC/PAX市場の取引高は、それぞれ135万BTC(71%増)、67万BTC (1553% 増)となりました。

2017年後半以降、BTC/USDT市場は、一貫して他のBTC取引市場に比べて大きな市場シェアを占めています。2019年には取引高の約70%、2018年後半には50%、2018年初めに25%を占めました。

USDCとPAXは、ここ数ヶ月で人気が高まっており、USDCからステイブルコインへの取引高は、ビットコイン取引高の最大約5%を、またPAXは約2.5%を占めています。こうした伸びが見られるものの、BTC / USDTのペアが、ビットコインからステイブルコインへの取引の最大92%と、その大半を占めています。

デリバティブ

デリバティブ取引所の取引高は、全般的にスポット取引所と並行して増大しており、現在では市場の約30%を占めています。

3月のビットコイン価格暴落時のボラティリティの上昇を受け、デリバティブの取引高は、2020年3月に史上最高額に達し、総額6000億ドル(2月比5%増)となりました。

最大のデリバティブプレーヤーにはOKEx、BitMEX、Huobi、Binanceが含まれ、これら4つのプレーヤー合計で5140億ドル(3月のデリバティブ市場の86%)となりました。

OKExは3月の最大のデリバティブ取引所で、取引高は前月比1610億ドル(2月比12%増)まで増加しました。これに次いで、HuobiとBitMEXの1ヶ月の取引高は、それぞれ1470億ドル(12.6%減)、1100億ドル(5.3%減)となりました。

BinanceとFTXの伸びは、それぞれ27%(958億ドル)、94%(358億ドル)と跳ね上がりました。

一方、ビットコインの暴落を受け、デリバティブ商品に対する機関投資家からの需要は急激に落ち込み、CMEは2月に比べて44%減となりました。3月の合計取引高は、前月の131億ドルに対し、合計73億6千ドルでした。

上位層取引所間の競争は多少安定する傾向にあり、BinanceとFTXは、第1四半期の取引高で最も高い伸びを示しています。当初、1月のシェアは14%でしたが、3月には約22%を占めています。

ビットコイン価格が暴落した3月12日の1日あたりの取引高は、合計で530億ドルでした。この日、OKExの取引額は149億ドルと、最高額を記録し、BitMEXの123億ドル、Huobiの115億ドルがこれに次ぎました。

オプション

3月12日、デリバティブ取引所であるDeribitは、188百万ドルと、過去最高額のオプション取引を行いました。これに次いで、2020年2月18日には157百万ドルを記録しました。ビットコインの大暴落の前後に、取引高が急増したにもかかわらず、3月のDeribitの取引高は、2月と比較して24%減(2月の267億ドルに対し、204億ドル)となりました。

CME 機関投資家の取引高

CME先物の取引高は、ビットコイン価格暴落の2月以降、44%減と急落しました。

CMEオプションは、今年1月にローンチされたばかりではありますが、取引額の大幅な改善は見られず、仮想通貨取引所であるDeribitで見られるアクティビティとはほど遠い状況にあります。