原文:Lightning Network (Part 4) – All Adopt The Watchtower
要旨: BitMEX Researchは、監視ノード機能を含むようにライトニング・ノードをアップグレードしました。監視機能は、別の友好的なノードに接続するためのメカニズムであり、ライトニング・チャンネルを監視して、オフラインであっても不正な相手が資金を盗むのを防ぎます。当社は実験を行い、少なくとも今回のケースでは、監視機能のコンセプトが実際に機能することが証明されました。長年にわたって理論上存在していた監視の概念が、今実際に機能するというのは心強いことです。
(出典:Source: Alcatraz, flickr)
概要
監視に関するこの記事は、ライトニング・ネットワークに関するこれまでの3つの記事に続くものです。
- ライトニング・ネットワーク(パート1) – モチベーション
- ライトニング・ネットワーク(パート2) – ルーティング・フィーの経済性
- ライトニング・ネットワーク(パート3) – ジャスティスはどこに?
2019年6月29日に、LND 0.7.0(ライトニングの導入の実施)がリリースされ、これには、監視機能が含まれていました。監視を行うのは、サードパーティのライトニング・ノードです。これにより、不正な当事者が資金を盗もうとしているかどうかを検出し、盗もうとしている場合は、ジャスティス・トランザクションをブロードキャストして、正直なノードがオフラインの場合でも資金を誠実な当事者に送り返すことができます。
監視機能の2つのモード
クライアント/監視サービスユーザー |
サーバー | |
説明 | クライアントは、監視サーバーに接続します。ライトニング・チャンネルの状態が変わるたびに、データがチャンネルの最新の状態で監視サーバーに送信されます。チャンネル違反が発生した場合、監視機能はジャスティス・トランザクションをブロードキャストし、誠実なノードのオンチェーン・ウォレットに資金を送信することができます。 | 監視サーバーには、ライトニング・チャネルや支払いは不要です。サーバーはライトニング・クライアントに接続し、クライアントに代わってクライアントのライトニング・チャネルを監視します。 |
操作の詳細 |
ノードを監視サーバーに接続するには、ライトニング・コンフィギュレーション・ファイルに次の行を追加する必要があります。 >wtclient.private-tower-uris=tower-public-key@ip-address:9911 この場合、監視サーバーによって公開キーとIPアドレスが提供されます。 |
監視サーバーをアクティブにするには、ライトニング・コンフィギュレーション・ファイルに次の行を追加する必要があります。 > watchtower.active=1 その後、次のコマンドを実行できます。 >lncli tower info 監視サーバーは、監視の公開キー(ライトニング・ノードの公開キーとは異なる)を表示する必要があります。このキーは、監視クライアントにとって必要なものです。サービスの脅威を拒否する可能性があるため、現在、監視機能の公開キーを公開することはお勧めできません。 ログを表示することにより、監視機能が働いているかどうかを確認することができます。 |
ノードが、同時に監視サーバーとクライアントの両方になることは可能です。2つのノードを実行している場合、各ノードは他のノードの監視サーバーになることができます。BitMEX Researchには現在、動作中の3つのライトニング・ノードがあり、ノードはすべてループ・コンフィギュレーションの中で互いに監視し合っています。
監視機能のテストに成功
2019年7月30日、BitMEX Researchは監視システムのテストに成功しました。ジャスティス・トランザクションに関する以前の記事と同様に、私たちは自分自身をだまそうとしましたが、今回は監視機能を使いました。心強い兆候として、監視機能は正しく作動し、窃盗を試みた人は罰せられました。
このテストを行うには、3つのノードを実行する必要がありました。
- 不誠実なノード– BitMEXThief
- 監視サービスを使用するノード– BitMEXTowerClient(監視サービスのユーザー)
- 監視者そのもの– BitMEXResearch
手動で構築する監視ジャスティス・トランザクション
(出典:BitMEX Research)
監視機能によってブロードキャストされた最終的なジャスティス・トランザクションは、ここで見ることができます。
結論
BitMEX Researchのすべてのライトニング・ノードは、現在、監視機能によって保護されています。監視機能はセキュリティを大幅に改善しますが、不正なチャネル違反よりも大きな問題は、ライトニング・ノードのメモリが誤って失われたり破壊されたりするリスクです。万が一そういう事態になれば、ノードは最新のチャネル状態を失う可能性があります。監視機能はこの問題を解決することはできませんが、この分野は、スタティック・チャネル・バックアップ(SCB)によって改善することができます。SCBを使用すれば、バックアップ後に新しいチャネルが作成されない限り、すべての資金は安全なはずです。
監視機能のテストが成功するということは、ライトニング・ネットワークの堅牢性に、より高水準な保証を得ることになります。何年も理論的に議論されてきた監視機能のアイデアが、ついに実現するのは心強いことです。ただし、ライトニング・ネットワークの堅牢性と信頼性の改善については、まだまだ長い道のりが残されています。