効率的な流動性プール(2019年8月20日)

原文:Efficient Liquidity Pools, 20 August 2019

効率的な取引戦略を推進し、マーケットの実行可能な流動性を改善する行動を推奨するために、BitMEXはプラットフォームの取引ルールを徐々に導入します。これらのルールは、取引所サービスの品質を向上させるために特別に設計されたものであり、過去数か月にわたる多くの調査を反映しています。 このコンセプトはとりわけ新しいものではなく、実際、大部分の伝統的な取引所は同様のルールを採用しています。

最初の取引ルールの詳細については、クォート約定率のしきい値に関するAPIアナウンスでご覧いただけます。 このルール導入の目的は、取引をするつもりがなくマーケットにクォートを送信する戦略を使用することを思いとどまらせ、プラットフォーム上の流動性の質を改善し、他の市場参加者にリソースを解放することです。

これらのルールの導入は、業界にとって前向きな一歩となると信じており、当社はこの分野での継続的なイノベーションにコミットしています。

背景

現在では過去数年間において、BitMEXは最も流動的な暗号通貨デリバティブを提供するマーケットとなっています。 マーケットの質の良し悪しを見る重要な指標は、オーダーブックのクォートの深さとサイズです:流動性は、所定のボリュームを約定させる際に生じる価格スリッページ(指定したレートと実際に約定するレートとのかい離)によって測定されることがよくあります。 Sk3w.coは、さまざまな暗号通貨市場での価格スリッページの視覚的な比較を提供しています。 以下のサンプルでは、BitMEXのXBTUSDマーケットで1000 XBT相当の契約を実行するため買値スプレッドは約0.5%変動しています。 これを、価格スリッページが約10倍大きく、3%から15%を超える他の取引所と比較してください。

Source: https://www.sk3w.co/liquidity

運営初日から、BitMEXは、業界をリードするAPIを通じてプラットフォームへの前例のないアクセスを提供してきました。 BitMEX.com Webサイトで実行できるすべてのアクションは、API経由でも実行できます。 実際、BitMEX.com Webインターフェースは、パブリックAPIの単なるクライアントです。 このオープンなアプローチは、BitMEXを業界で最も流動的なマーケットにした重要な立役者です。

ただし、流動性はそれが本当に約定可能なものである場合にのみに有用です。 6月、BitMEXのアクティブユーザーのわずか2%未満が注文管理リクエストの60%以上を占めていたにもかかわらず、それらは取引量の2%未満を占めたのみでした。 この動作プロファイルに適合するユーザーは、APIの使用に関して非常に非効率的であり、実際の取引数に対し不釣り合いなほどに多くの注文を送信します。

この種のAPIの使用法については多くの説明があります。 オンライン自動取引サービス(または「ボット」)にサインアップし、APIキーを入力し、毎日数千件の注文を出したり、修正したり、キャンセルしたりしている間、完全に忘れ去られてしまったアカウントがしばしば見られます。 また、取引システムまたはクライアントアルゴリズムの構成が誤っている可能性もあります。

このようなことは、現在はルールに反していませんが、プラットフォームでの取引を真に求めている参加者からリソースを奪います。 この種の行動を阻止することで、市場の流動性がさらに強化され、ユーザー全体としてのエクスペリエンスが向上すると考えています。

さらに質問がある場合は、お問い合わせフォームからサポートにお問い合わせください。https://www.bitmex.com/app/support/contact.

クォート約定率しきい値(2019年8月20日)

原文:Quote Fill Ratio Threshold, 20 August 2019

効率的な取引戦略を推進し、執行可能な市場流動性を向上する行動を後押しするために、BitMEXはプラットフォームのすべての利用者に適用されるいくつかの高度な取引ルールを導入します。有効にする最初の取引ルールは、クォート約定率しきい値です。

クォート約定率

当社は、クォート約定率 (QFR) をプラットフォームに送信される 1 日あたりクォート件数に対する約定クォート件数の割合と定義しています。 送信 クォートとは市場に送信されるあらゆる独立した注文を指します。 約定 クォートとは、任意の金額に対して約定された注文を指します。 QFR の算出の計算式は以下のとおりです。

QFR = (T 期間内の約定クォート数 / T 期間内の送信クォート数)

T 期間 = 24 時間

クォート約定率の例

あるマーケットメイカーが、XBTUSDの両サイドの価格を提示し、異なる価格水準でオーダーブックに残されている 4 つのビッドと 4 つのアスクを含む新規の一括注文リクエストを 1 件送信します。 次にそのマーケットメイカーは、価格シグナルを受信し、市場の 4 つのビッド価格をそれぞれ 1 ティック下げるようリクエストの一括修正を送信します。

別の市場参加者が大口の成り行き買い注文を送信し、マーケットメイカーがオーダーブックに残している3つのアスクが約定されます。 この 2 人の市場参加者はその日の残りの時間、他のクォートも取引もしません。

マーケットメイカーのその日の QFR は次のとおり計算されます。

  • 約定クォート数 = 3
  • 送信クォート数 = 12
  • QFR = 3/12 = 25%

マーケットテイカーのその日の QFR は次のとおり計算されます。

  • 約定クォート数 = 1
  • 送信クォート数 = 1
  • QFR = 1/1 = 100%

クォート約定率しきい値

当該アカウントは、7 日足移動平均の QFR を 最小 QFR しきい値 より大きく維持する必要があります。 このルールに違反すると、メール警告が送信され、最終的に API が禁止されることになります。

1 日当たりに送信するクォートが2000未満のアカウントは、この取引ルールの対象外となります。

2019年8月30日より、次のQFRしきい値が実装されます。

  • 最小QFR しきい値: 0.1% (7日足移動平均)

この取引ルールの導入のために、QFRのしきい値は、ユーザーへの影響を最小限に抑えるために、最初は0.1%と非常に低く設定されます。 これと比較して、従来の取引所では通常、1~5%の範囲でQFRを実施しています。 現在のプラットフォームのクォート活動に基づいて影響を受けるのは、0.1%のアクティブトレーダーの0.2%未満です。最小 QFR しきい値やメカニズムは随時変更される場合があります。 変更については、ご利用者が取引行動を調整する十分な時間を確保できるように、こちらのブログを通じて事前にお知らせします。

クロスバルク注文の拒否について(2019年8月15日)

2019年8月19日04:00 UTC(日本時間同日 13:00)から、APIを介して送信された一括注文リクエストにおいて、クロス価格(売り注文以上の価格で少なくとも1つの買い注文)を含むものは拒否されます。今回のアップデートは、APIおよび取引システムアーキテクチャの継続的な簡素化の一環です。

BitMEXインデックスの更新(2019年7月15日)

2019年7月15日14:00UTC(日本時間 同日23:00)、Krakenの取引が再開された後、BitMEXプラットフォームにおいてKrakenをインデックスに再導入いたします。更新されたインデックスの詳細は以下の表をご参照ください。

トレーダーの皆様は、これらのインデックスが大幅に変動する可能性があることを認識し、またこれらのインデックスを参照する取引の際にはご注意いただきますようお願いいたします。

さらにご不明な点がある場合は、次の当社のリンクよりサポートにお問い合わせください:https://www.bitmex.com/app/support/contact

影響するインデックス

インデックス構成

.BXBT

Bitstamp, Coinbase Pro, Kraken

.BETH

Bitstamp, Coinbase Pro, Kraken

.BETHXBT

Binance, Poloniex, Kraken

.BBCHXBT

Binance, Poloniex, Kraken

.BXRPXBT

Binance, Poloniex, Kraken

.BLTCXBT

Binance, Poloniex, Kraken

.BEOSXBT

Binance, Poloniex, Kraken

HDR Global Trading Limitedによるビットコイン開発者への60,000米ドル授与について

2019年5月28日のMIT Digital Currency initiativeへの寄付の発表に続き、Bitcoin Coreのコントリビューター、Michael Ford(fanquakeとしても知られています)氏への6万米ドルの助成金の授与を発表できることを嬉しく思います。Michael氏は2012年からBitcoinに貢献しており、最近ではBitcoin Coreソフトウェアプロジェクトのメンテナンスを行うリストに加えられました。

HDR Global Trading Limited(BitMEX暗号通貨取引プラットフォームを所有および運営する法人)は、Bitcoinの堅牢性、拡張性、プライバシーの向上を目的として、Bitcoinの開発とエンジニアリングを支援しています。この助成金は非独占的であり、Michael氏にBitcoin Coreの開発を依頼しています。当社は、彼がBitcoin Coreのメンテナンスを担当する間、彼の最初のファイナンシャルサポーターになったことを嬉しく思います。

HDR Global Trading LimitedのCTO兼共同設立者であるSam Reedは、この助成金について次のように述べています。

HDR Global Trading Limitedは、暗号通貨分野の他の企業と同じく、Bitcoinの使命と理想に捧げられた(ほとんどボランティアの)プログラマーたちの作業に大きく依存しています。この仕事は難しく、過酷で、そしてしばしば感謝をされず報われないものです。当社は、自分たちのビジネスモデルの元になっている、自分たちが恩恵を受けているプロジェクトに恩返しするのは、営利企業としての義務だと考えています。オペレーティングシステムからウェブサーバ、運用ツール、そしてBitcoinに至るまで、何百万というOSSの熱心な開発者たちが力を注いでいなければ、BitMEX取引プラットフォームは構築できなかったでしょう。当社はこれらを忘れることはありません。したがって、HDRでは、いかなる条件も付加されず提供される今回の助成金は、ビットコインやその他のOSSプロジェクトを万人のために強化するという継続的な取り組みのごく一部にすぎないと考えています。

Facebook が「Libra」と呼ばれる固定収益 ETF で、ETFの巨匠 Blackrock に挑む

BitMEX リサーチチームより

原文:Facebook Takes on ETF Giant Blackrock, with a Fixed Income ETF called Libra

要旨:ソーシャルネットワーク大手のFacebookは、私たちが「Libra ETF」と呼ぶ「Libraコイン」により、従来の金融業界およびETF業界に大胆な動きで戦いを挑みました。私たちは、「Libra」に関して未だ回答されていない点が多く、「Libra ETF」は従来のETFと比較して透明性に欠ける可能性があると見ています。「Libra」のもう1つの重要な欠点は、従来のETFとは異なり、投資収益がユニット保有者に分配されないことです。「Libra」には、従来のETF商品と比較して重大な欠点があるものの、Facebookは、WhatsApp(ワッツアップ)やInstagram(インスタグラム)などのプラットフォームを通じて幅広い消費者を掴んでいることから、「Libra」は重要な競争優位性を獲得する可能性があるというのが私たちの結論です。

 

(Facebook vs Blackrock – The battle for the ETFs)

概要

「Libra」の仕組みは、ユニット保有者が金融資産バスケットの金融収益を受け取る権利を有する、人気の上場投資信託(ETF)モデルに似ています。ユニットは取引所で取引可能であり、公認の参加者で構成される選抜グループは、原資産を利用してユニットを創出したり、償還を受けたりすることができます。

2019年2月の記事で指摘したように、ETF業界はこの10年ほどで、特に固定収益金融商品の分野においてかなりの成長を遂げてきました(下の図1を参照)。2019年6月、ソーシャルメディアおよびインターネットのコングロマリットであるFacebookの参入により、BlackrockやVanguardなどの既存のプレーヤーに対する挑戦が始まり、ETF業界は衝撃を受けました。Facebookは、やはり固定収益と国債に重点を置いた新たなETF、「Libra ETF」の発売計画を発表し、Blackrockの「iShares Core US Aggregate Bond ETF」(AGG)に対して直接挑戦を挑んできたのです。

図1 – 米国の投資家をターゲットにしたトップボンドETFの規模 – 単位:10億米ドル

(注:このグラフは、以下の債券ETFの時価総額を表しています。

「iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF」、「Vanguard Total Bond Market ETF」、「iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond ETF, Vanguard Short-Term Corporate Bond ETF, Vanguard Short-Term Bond ETF」、「Vanguard Intermediate-Term Corporate Bond ETF」、「iShares J.P. Morgan USD Emerging Markets Bond ETF」、「Vanguard Total International Bond ETF」、「iShares MBS Bond ETF」、「iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF」、「PIMCO Enhanced Short Maturity Strategy Fund」、「Vanguard Intermediate-Term Bond ETF」、 「iShares Short-Term Corporate Bond ETF」、「SPDR Barclays High Yield Bond ETF」、「iShares Short Maturity Bond ETF」)

新たなETFと従来のETFの仕組みを比較

 下の図2は、革新的で新たな「Libra ETF」を分析し、従来のETFであるBlackrockの「iShares Core US Aggregate Bond ETF(AGG)」と比較したものです。当社の分析によると、「Libra」商品は新しいものの、保有額の透明性やNAV(純資産総額)の開示頻度など、関連情報の多くがまだ開示されていません。

またこの分析は、「Libra」の場合、ポートフォリオ管理において、不必要な複雑さに悩まされる可能性があることを強く示唆しています。ファンドは、世界中のさまざまな業界の多くの事業体からなる「Libra協会」によって管理されるようです。これらの事業体がETFの発行に責任を持ちますが、その事業体のリストはさらに拡大する予定です。また、投資のマンデートが明らかではありません。これとは対照的に、Blackrockの固定収益ETF商品には、ETFの発行体とは独立して管理されるブルームバーグ・バークレイズ米国債総合指数をトラックするための明確な投資マンデートがあります。

おそらく「Libra」商品の最も重大な欠点は、ユニット保有者に投資収益を受け取る権利がないと見られる点です。ほぼ同一の資産クラスを中心とした投資利回りが2.6%程度のBlackrockの商品に比べて、不利な契約です。「Libra」の擁護者は、経費は何らかの方法で賄われる必要があり、「Libra」の経費はまだ明らかにされていないと反論するかもしれません。しかし、ETF業界はすでに競争が激しく、Blackrockはわずか0.05%の経費で運営されています。

この経費は、約2.6%という商品の予想投資利回りよりもはるかに低いのです。したがって、「Libra ETF」には価格競争力がない可能性があり、これから投資しようという人たちにとっては、潜在的な不利益となり得ます。

図 2 – 「Libra ETF」 vs 「iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF (AGG) 」– 詳細比較

  Libra ETF

iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF (AGG)

ローンチ時期 2019年6月 2003年9月
発行者 The Libra Association(リブラ協会)/Facebook Blackrock
管理資産 不明

635億米ドル

資産クラス

固定収益

信頼できる中央銀行から発行された変動の少ない通貨での銀行預金および国債

固定収益 – 投資適格な国債および社債
原資産指数 不明/該当なし Bloomberg Barclays U.S.
Aggregate Bond Index(ブルームバーグ・バークレイズ米国債総合指数)

ポートフォリオマネジャー

スイスに本拠を置くリブラ協会が積立金を管理する予定。マンデートは今のところ未公開。現在の会員は以下の通り:

  • Mastercard
  • PayPal
  • PayU (Naspers’ fintech arm)
  • Stripe
  • Visa
  • Booking Holdings
  • eBay
  • Facebook/Calibra
  • Farfetch
  • Lyft
  • MercadoPago
  • Spotify
  • Uber
  • Iliad
  • Vodafone Group
  • Anchorage
  • Bison Trails
  • Coinbase
  • Xapo
  • Andreessen Horowitz
  • Breakthrough Initiatives
  • Ribbit Capital
  • Thrive Capital
  • Union Square Ventures
  • Creative Destruction Lab,
  • Kiva
  • Mercy Corps
  • Women’s World Banking

James Mauro と Scott Radellが、指数をトラックするための明確で強制力を持つマンデートを保有

手数料

不明

0.05%

投資利回り

不明

2.6%

投資収益の利用

ユニット保有者は、投資収益に対する権限がない。投資収益は:

まずは以下の団体に投資するための、リブラ協会の運営経費に充当されます:エコシステムの成長と発展への投資、非営利団体や多国間組織への交付、工学研究など。それがカバーされて初めて、残りのリターンの一部が、「Libraインベストメント・トークン」への初期投資に対する見返りとして、それらの投資家に配当金として分配されます。

ETFのユニット保有者に帰属

利用可能な取引所

現在のところなし

The Libra Association(リブラ協会)は

規制下にある世界中のさまざまな電子取引所に「Libra」の上場を奨励する予定である

ニューヨーク証券取引所

創出/償還バスケット規模

不明

100,000 ユニット

公認参加者(ユニットの創出および償還 の権限が与えられた団体)

公認のリセーラーであるが、今のところ未公開

投資銀行

ファンド監査人

不明

PwC

保有高および純資産総額(NAV)の情報

不明

完全開示(毎日発行)

(出典:iShares, Libra

また当社は、技術的な観点からこの2つのアルタナティブ商品を分析しました。以下の図3が示すように、これらの金融商品における重要な違いは、「Libra」トークンの管理が一部デジタル署名によって行われる可能性があるということです。アドレスのホワイトリストが実装されなければ、これにはいくつかの利点があります。

  • 匿名性
  • 検閲に対してある程度の耐性あり
  • 仮想通貨取引所との統合が比較的容易

しかし、2018年2月のテザーレポートで述べた通り、これらの特性を持つプラットフォームは最終的に、本人確認の徹底か、当局による閉鎖かというどちらかの選択を迫られる可能性があることは歴史が証明しています。Facebookはすでに、主要なプラットフォーム上において、政治的に物議をかもしている内容を検閲しているので、「Libra ETF」ユニットも、公開秘密鍵暗号によって管理される範囲が大幅に制限されるか、最終的には廃止される可能性があります。

図 3 – 技術および暗号化に関する考察

 

Libra ETF

iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF (AGG)

コンセンサスシステム

該当なし(ETF はコンセンサスシステムを必要としない)

ブロックチェーン

関連なし(ETF取引の記録をハッシュによってリンクされたブロックのチェーンにグループ分けすることは、ETFにとって重要ではない)

デジタル署名に基づくユニットの制御

可能性あり:

「Libra Blockchain」には匿名性があり、ユーザーは現実世界と関連のないアドレスを複数保持することが可能。

なし

(出典:iShares, Libra

結論

「Libra」には、ユニット保有者に投資収益を得る権利が与えられていないという重大な欠点があるにも関わらず、多くの業界アナリストは、従来のETF業界や既存の電子決済システムに与える「Libra」の影響を注意深く検討しています。

ETF間の比較において、当社は若干異なる見解を有するものの、大切なのは、「Libra」の仕組みには既存の金融商品と同様の特性があるということです。したがって、当社はこの比較は妥当であると考えており、「Libra」が競争力を高めたいなら、従来のETFのガバナンスや料金特性の一部を模倣する必要があると考えられます。

ただし、「Libra」は、Facebook、Whatsapp、Instagramなどのプラットフォームとの統合により、クライアントを引き付ける可能性があります。もし「Libra」が、コインを秘密鍵で管理することを可能にするような性質を保持するなら、これは興味深い展開であり、そうしたコインはテザー(Tether)のようなトークンからシェアを奪う可能性があります。しかし、当社の見方では、長期的に見れば、「Libra」はそうした機能を無効にするか、技術的に困難にする可能性が高いため、ごく少数のユーザーだけがこれらの「管理外」のウォレットを持つ可能性が高いと考えられます。そうなれば、「Libra」は手数料の高いETFに過ぎないということになります。

「Libra」: ザッカーバーグ氏、どうぞお手柔らかに

BitMEX 共同創業者兼 CEO Arthur Hayes デスクより

原文:Libra: Zuck Me Gently

後戻りができない重大な出来事がありました。Facebookは「Libra」を通じてデジタルアセット業界への進出を開始します。分析を始める前に、1つ明らかにしておきたいことがあります。それは「Libra」は、ディセントラライズ(非中央集権制/分散化)されたものでも、検閲耐性があるわけでもないということです。「Libra」は仮想通貨ではありません。「Libra」はすべてのステーブルコイン(価格安定型仮想通貨)を破壊するでしょうが、そんなことは誰も気にしません。私は、無名のスポンサーが、ブロックチェーン上で法定通貨のマネーマーケットファンドを創設することに価値があるのだと信じていた多くのプロジェクトには一切同情しません。

「Libra」は、商業銀行と中央銀行の地位を低下させる可能性があります。それは、デジタル法定通貨のための、ばかげた規制の多いウェアハウス(従来の銀行)の有用性を低下させる可能性があります。それはまさに、デジタル時代である今日において、そうした銀行に生じてしかるべき現象なのです。

なぜ商業銀行は存在するのか?

銀行は、人間社会に深刻な危険が存在する時期に発生したものです。封建時代のヨーロッパの農民たちは、おそらく夜明けから日暮れまで働いていたことでしょう。農民や農民の封建領主が集めたわずかな貯蓄は、常に狙われていました。お金は物理的なものですから、町の保護がない限り、盗まれる可能性が高かったのです。

資産の安全性は、従来の銀行にとって最も重要な価値提案でした。彼らは、物的資産と記録をその金庫に安全に保管することができました。このため、政府や富裕層は、お金と資産を銀行に預けました。銀行は大規模な信用ゲームに従事していましたし、今もそうです。だからこそ銀行の建物は、重厚な特徴を有しているのです。一世代後もあなたの資産は傷つくことなくそのままそこに存在し、すぐに使用できる状態にあるでしょう。

銀行は政府と連携し、クレジットを発行し、マネーサプライを拡大するためのライセンスを取得します。また、契約を履行させるために、政府の合法的な暴力に頼っています。銀行に仕返しをしてはいけません。担保に入っている資産が没収されてしまいます。万が一、あなたが裁判所に刃向かえば、政府に雇われた暴力団員が喜んであなたの首根っこを捕まえ、法に従わせるでしょう。

この10年間で、人間社会のお金と資産は、アナログからデジタルへと急速に移行しました。今やお金と所有権の表象は、馬によって運ばれるのではなく、電子的に移動するのです。資産とお金がデジタル化された現在、デジタル上のセキュリティではなく、物理的なセキュリティを提供する機関が必要でしょうか?

これまで見てきた通り、商業銀行はデジタル情報の保護に関してはひどい状況です。倒産しそうもない大手の銀行に行けば、必ず顧客データ「漏洩」の話を聞かされるでしょう(これは「あなたのデジタル資産を守る手段がない」という婉曲的表現です)。

顧客を有する者には皆価値がある

かつて銀行は、顧客に関する最も重要な情報を握っていました。彼らは、あなたの金銭に関する履歴を把握し、どこに住み、何を買ったかといった情報まで把握していました。

この10年間で、ソーシャルメディアを運営する会社は、ユーザーの自発的な行動を通じて、人類史上最も多くの個人情報を蓄積しました。私たちはFacebook、Instagram、Google、Twitter、WeChat、LINE、Kakao Talkなどに、生活上のあらゆる情報を提供しています。私たちはこうした企業によって管理されている集中チャットプログラムで、何十億ものメッセージを日々送っています。今、顧客を有しているのは彼らなのです。

消費者向けの現代的なテクノロジー企業は、最富裕層顧客たちのデータを何十億も保有しています。従来これらの企業は、商品を宣伝し、それらを販売することでお金を稼いでいました。しかし、そうした企業も、他のあらゆるビジネスと同様、いったん顧客の獲得に成功すると、金融サービスの提供を開始します。

Facebookには、毎日約20億人ものアクティブユーザーがいます。彼らの財産の金銭的実在を保有することは、完全に理にかなったことです。それが「Libra」なのです。

「Libra」の解体

「Libra」は、法定通貨バスケットを裏付けとしたステーブルコインです。法定通貨は、無駄な規制の多い商業銀行で保管されています。「Libra」は、少数の特権的な人々に、純資産総額(NAV)で「Libra」を創出し、償還する権限を与えます。「Libra」 は、特定の関係者が許可済みのノードを操作するブロックチェーンを利用しています。これらの関係者には、ベンチャーキャピタル会社、テクノロジー会社、小売業者、仮想通貨取引所が含まれ、なかでも重要なのは、商業銀行とクレジットカード処理会社が含まれていることです。

「Libra」は、短期国債または財団の理事会が許可するすべての対象に投資することができます。稼いだ収益は「Libra」の一般ユーザーには還元されませんが、ノード・オペレーターと「Libra」投資トークンの投資家には還元されます。この財団は、「Libra」エコシステムを統治する組織体です。財団のメンバーは、各メンバーが所属する産業とエコシステムへの経済的投資に基づいて選出されます。

「Libra」は、実世界のアイデンティティとアドレスとを関連付けません。ただし、資産を「Libra」に変換すると、間違いなく本人確認に遭遇するでしょう。また、はっきりさせておきたいことは、政府機関からの取引凍結要求に対しては、すべて法令を遵守するかたちで処理されます。したがって、薬物の購入に「Libra」を利用してはいけません。

消費者への影響

Facebookのユーザーの多くは、金融サービスの普及率が低い地域に住んでいます。 フィリピン人のヘルパーが、ヨーロッパで売られている商品を「Libra」で購入できる世界を想像してみてください。彼女は外国人労働者として働いており、銀行サービスに恵まれた環境にはいない可能性が高いのです。

したがって、通常ならインターネットを介して海外から商品を購入するのは困難でも、「Libra」ではそれが問題なくできるのです。

ヨーロッパの小売店は、すでに取り扱いのある法定通貨のバスケットで支払いを受け付けています。こうした取引は、InstagramやWhatsappなどのFacebookのソーシャルメディアの内部で完結することが可能です。

Facebookまたはそれが創設する新しい金融サービス会社は、販売時点で「Libra」建ての融資を行うことができます。ユーザーは登録すれば、Facebookがすべての個人情報を利用して、クレジットスコアを計算できるようにすることが可能です。Facebookは、そのクレジットスコアを使って、そのプラットフォームで販売している業者から商品を購入するために、あるレートで「Libra」を融資します。世界で最も貧しいメンバーであるヴォイラは、大量生産された中国の小物をクレジットで購入する喜びを味わうことができます。「パクスアメリカーナ(超大国アメリカによって維持されている平和)へようこそ!」というわけです

商業銀行への影響

商業銀行はお金を貸します。彼らは融資を行うために預金を集め、それを融資に利用します。残念ながらこのデジタル時代にあっては、預金者に関する最高の情報を握っているのはもはや彼らではありません。それを握っているのは、ソーシャルメディア会社です。

したがって、世界中に拡がるFacebook、Google、Alibabaの方が、商業銀行よりも安く低金利でローンを組むことができます。「Libra」やその他類似業者が登場することで、テクノロジー企業は、そのエコシステム内のデジタル法定通貨を利用して、クレジットを拡大し、最も収益性の高いすべての銀行商品を、はるかに低いコストで提供することができるのです。

これらのグローバルなハイテク企業のバランスシートには、融資するためのフリーキャッシュフローが何十億ドルもあります。

商業銀行は、問題となっているステイブルコインの準備資産のためのノード・オペレーターや法規制のあるウェアハウスになることはできます。これら2つの分野にはまだ経済的価値がありますが、消費者向けテクノロジー企業は、現在、最も収益性の高い金融商品を自ら販売しています。

どの銀行もこの点を肝に銘じておく必要があります。「Libra」とそのクローンは、彼らのビジネスモデルに対する実存的脅威なのです。銀行の利益の源泉が廃れるにつれ、多くのハイテク企業が力を増していくことでしょう。しかし、おそらく社会は、ある悪魔との取引を別の悪魔との取引に変えたに過ぎないのです。

中央銀行への影響

デジタル経済社会にあっては、商業銀行に現在のような規模は必要ありません。「Libra」では、Facebookが中央銀行の役割を担っています。「Libra」の準備金は、第三者である財団によって管理されています。その準備金管理者は、法定通貨の重み付けと、ファンドをどのように投資するかを決定します。中央銀行総裁の仕事によく似ています。

消費者向けハイテク企業は、自社のバランスシートから消費者に直接クレジットを発行できるようになりました。このモデルと従来のシステムとの唯一の違いは、今のところ商業銀行と同様、お金を実際に生み出すことができないということです。以下がその流れです。

  1. 法定通貨で利益剰余金を確保し、正規プライマリディーラーで「Libra」と交換します。
  2. 自社が提供する商品やサービスと引き替えに、「Libra」を顧客に貸し出します。
  3. 顧客から「Libra」+「Libra」建ての金利を獲得します。
  4. 公認の正規プライマリディーラーで、「Libra」を売却して、法定通貨を得ます。

マネーサプライは増加しません。これが、中央銀行の信用創造方法と異なる点です。中央銀行が貸付を行えば、多くの場合、マネーサプライは増加します。

なぜ世界経済の金融の健全性を管理するために、一部の不気味な年老いた人々を信頼するのでしょうか。Facebookのザッカーバーグ氏を信頼しましょう!

私は、米国下院金融サービス委員会に対する米国上院議員マキシン・ウォーターズのばかげた声明や行動には全く与しません。彼女や他の政府機関の懸念が爆発したのは、国民を慮る利他的な感情からではなく、むしろ彼らの私服を肥やし、その地位を維持している金融サービス業界が転覆することに対する恐れから生じたものです。

しかし逆に、政府機関が「Libra」に急いで警告を発したということは、このプロジェクトには人間社会にプラスに働く潜在的な価値があるということなのです。

「Libra」と金銭的プライバシー

おかしいのは、かなり多くの人々が、「Libra」が表明する可能性がある経済的自由の損失に対して、急いで不満を訴えようとしたことです。この恐れは見当違いで、金銭的なプライバシーは既に存在しませんし、デジタル金融システムの世界にも存在することはないでしょう。それがFacebookであろうと、米国連邦準備銀行であろうと、中国人民銀行であろうと、中央集権的な法定通貨の電子化がすぐそこまで来ているのです。いずれ現金は違法になるでしょう。

「Libra」がローンチされて良かったことは、金銭面のプライバシーの喪失について心配している人々が、オルタナティブ投資を模索せざるを得なくなった点です。好奇心旺盛な一般大衆が、この新しいデジタル時代の金銭面のプライバシーの安全性について熟考するにつれ、ビットコインやその他の仮想通貨は利益を得ることになるでしょう。

「Libra」とそれによって触発された議論は、ビットコインにとって最高のニュースです。20億人の人々が、自分たちの経済面を過剰にコントロールしている企業を今は受け入れていますが、将来は恐れることになるでしょう。ビットコインにとって、好奇心は最高の相場上昇要因です。

オーグメンティッドリアリティとバーチャルリアリティへの投資を通じて、Facebookは全く新たなデジタルワールドを創造しようと考えているようです。「Libra」は、この仮想的存在の原動力となる経済的なマナ(力)になり得ます。 私たちが仮想現実に夢中になっている間に、Facebookに心酔し過ぎて、物理的な私たちの身体がガチガチになってしまうようなことがありませんように。ザッカーバーグ氏よ、どうぞお手柔らかに。末永いおつきあいを。

WebSocketのレート・リミットの問題につきまして(2019年6月25日)

原文: WebSocket Rate Limiting Issue, 25 June 2019

6月25日 21:09:00UTC(日本時間 26日06:09:00)、当社はAPIレイヤーのアップデートをリリースしましたが、本来ならば免除されるはずの特定のテーブルに対するレート・リミットのWebsocketサブスクリプションが誤ってカウントされ始めました。このアップデートは、WebSocket APIを頻繁に利用するお客様に影響を与えた可能性があります。6月26日00:19UTC (日本時間 同日09:19)に問題が特定された時点で、すぐにアップデートをロールバックしてシステムは正常に戻されました。

ご不便をおかけして申し訳ありません。どのサブスクリプションがリクエスト・レート・リミッターから免除されるかについての詳細は、以前のブログ記事ご参照ください。

重要なセキュリティアドバイスについての更新(2019年6月)

原文:Important Security Advisory Update, June 2019

概要:顧客アカウントへの不正アクセスの試みが増えています。次の方法で、お客様のBitMEXアカウントおよび個人アカウントを保護してください:すべてのアカウントに対して2要素認証(2FA)を有効にし、そしてパスワードマネージャを使用してください。

セキュリティは、常にBitMEXの最優先事項です。だからこそ私たちは、顧客の資金を守るために、手動で複数の署名を持つコールド・ウォレットの設定を採用した最初のプラットフォームとなりました。私たちは常にセキュリティプロトコルを見直し、当社の基準を改善しています。当社はプラットフォームのセキュリティとお客様のセキュリティを継続的に改善しています。

2016年に、大規模なボットネットのセキュリティ情報再利用の攻撃を受けて、BitMEXで固有のパスワードを使用することの重要性を強調したブログ記事を公開しました。さらに、 「二段階認証」 または 「多要素認証」 と呼ばれる2FAを有効にすることを推奨しました。この2FAは、ログイン時のユーザー名とパスワードだけでなく、一意の時間ベースのトークンの入力も要求することで、アカウントにセキュリティ層を追加します。トークンは、Google AuthenticatorやAuthyなどのソフトウェアベースの認証アプリ内で携帯電話に保存できます。

アカウントを保護するには、強力な固有のパスワードを常に使用し、多要素認証およびパスワードマネージャと組み合わせて、常に強力で一意のパスワードを使用する必要があります。

最近では、顧客アカウントへの不正アクセスやその試みが増加しています。アカウントで2FAを有効にすることは、これらの攻撃から自分自身を保護するための最良かつ最も簡単な方法です。

さらに、我々は、経済的動機に基づく犯罪者が利用する洗練された手法及び戦術の継続的な増加を確認しています。その一例として、攻撃者が即座に引き出し要求を実行するのではなく、攻撃者が同じように制御している別のアカウントに対して故意に損失を与えることによって、口座から資金を引き出すことを観察しました。これらの攻撃の多くは事前に特定されており、この活動が検出されたときは排除し続けます。

アカウントの乗っ取りの際に繰り返し使用されている手法の一つは、アカウントへの不正ログインによって送信されるはずのBitMEXのメールログイン通知を無効にすることです。攻撃者は、引き出し許可を持つAPIキーを作成するために、侵害された顧客アカウントで二段階認証を有効にしようとする可能性もあります。ほとんどすべてのケースで共通しているのは、顧客が引き出し通知またはログイン通知などその他のアカウント関連のEメール通知を見ていない可能性があるということです。

我々は二要素認証やその他のログインアクセス機能の強制使用などの方法を確認しながら、次の変更を行いました。

  1. 設定によりログイン通知メールの送付が無効にできなくなりました。既存の通知設定にかかわらず、アカウントへのログインがあった場合にはメール通知が行われます。
  2. APIを介して作成された引き出し要求は、使用されたAPIキーが2019年6月10日午後8:00(UTC)より前に作成されたものでない限り、引き出しを確認する電子メールでの検証ステップを完了する必要があります。

これらの変更は、お客様のアカウント・セキュリティを向上させるためのステップですが、これが完全なソリューションではないことを認識することも重要です。二要素認証を有効にすることが最も推奨されます。

上記に加えて、BitMEXは我々の顧客が経験した全てのアカウント乗っ取りをレビューし、侵害されたアカウントに共通するいくつかの要因を特定しました。

  1. パスワードの再利用、またはBitMEXプラットフォームおよび顧客の個人的なメールアカウントから簡単に推測が可能なパスワードの使用
  2. 個人のメールアカウントが侵害され、パスワードのリセットを通じたアカウントの盗難
  3. お客様のコンピュータへのマルウェアの侵入、パスワードの盗難を経たBitMEXプラットフォームへのログイン

これらの攻撃に対抗するためには、警戒を保ち、セキュリティに対する規律あるアプローチを採用することが重要です。上記のすべてのシナリオでは、二要素認証を使用することでアカウントが侵害されるリスクが大幅に減少します。このことは、二要素認証にセキュリティ・キーが使用された場合、攻撃の100%がブロックできることを示した、Googleによる最近の調査でさらに強調されています。

我々はお客様に二段階認証を強制的に適用することを検討していますが、次のような優れたセキュリティ・プラクティスを採用することの重要性を改めて強調します。

これらの手順は、BitMEXアカウントだけでなく、機密情報を保存する個人アカウントでも実行する必要があります。

  1. 2要素認証を有効にする
    1. Google Authenticator Authy など、利用可能な多くの選択肢の1つを利用することをお勧めします 。
  2. 強固で一意のパスワードを使用し、 LastPass などのパスワードマネージャを利用する
    1. 強力なパスワードは、文字、数字、記号(@、#、$、%など)の組み合わせである10文字以上(および文字数が多いほど強力なパスワード)で構成されます。パスワードは通常大文字と小文字が区別されるため、強力なパスワードには大文字と小文字の両方の文字が含まれます。
    2. Facebook、Spotify、Instagram などのソーシャルメディアアカウントには、BitMEX取引アカウントや銀行アカウントと同じパスワードを使用しないでください。強固で一意の、アカウントごとに異なるパスワードをご使用してください。
  3. 既存のリスクを評価する
    1. HIBP のようなサービスを利用し、お客様のパスワードが第三者による侵害で漏洩したかどうかを確認してください 。
    2. お客様の残高がいくつであるかを確認するために定期的にアカウントをチェックしてください。
    3. アカウントの定期的な勘定調整(reconciliation)は、すべての取引がお客様によるものであることを保証する有用な方法でしょう。
  4. お客様の連絡先リストにsupport@bitmex.comを追加し、BitMEX からのメールが迷惑メールフォルダに届いていないことを確認する
    1. bitmex.comからの公式のメールをフィルタリングしていないことを確認してください。これらの連絡には、ログインおよび出金通知が含まれます。
  5. BitMEXサポートはお客様のアカウントのパスワードを要求しません

BitMEXでは、セキュリティを非常に重視しています。我々は、社内外でセキュリティ機能を進化させ続けていますが、セキュリティは最終的には個人の責任でもあります。オンラインアカウントにデジタル資金がある場合は、上記のようにアカウントの安全性/セキュリティを確保するための対策を講じることが重要です。

アカウントに異常が見られた場合は、すぐに BitMEX のサポートページにご連絡ください。

BitMEX テクノロジー・スケーリング パート2:100倍への道

原文:BitMEX Technology Scaling, Part 2: The Road to 100x  ALEX NIMMO

この連載のパート1では、BitMEXの起源についてお話しました。

今日は、この連載のパート2をお届けします。オーバーロードと水平方向のスケーリングに関する問題について深く掘り下げます。前代未聞のボリュームを処理するためのこれまでの取り組みの結果について議論し、BitMEXエンジンの各パーツ、すなわち、直列でなければならない部分、並列化できる部分、そしてBitMEXのAPIファーストの利点について詳しく説明します。

パート3では、すでに導入されているコードの最適化、並列化されたシステム、そして、特定の機能が除去された理由について説明します。さらに、公正で平等なアクセスを確保するためのBitMEXの取り組みについてお話します。そしてそれが、当社がコロケーションの提供を拒否していることと、どのようにつながるのかということについてもお話します。

では、始めましょう。

成長

BitMEXは、仮想通貨の分野におけるユニークなプラットフォームです。業界最高レベルのレバレッジと機能を提供するために、BitMEXの取引エンジンは、仮想通貨業界や従来の金融業界における他の多くのエンジンと根本的に異なります。また、非常に正確な取引とマージニングを提供することはできますが、それは、まだ、それほど速くはありません。

2017年のBitMEXの1日あたり平均取引量は、129倍に増加しました。これは驚くべき成長であり、2018年および2019年も成長を続けました。

2016-2018年の1週間あたりの取り扱い注文数

2018-2019年の1週間あたりの取り扱い注文数
このチャートは、1つ前のチャートの最後のピークから始まっていることに注意してください。

ご覧のとおり、1週間あたりの注文数も2017年から急増しています。特に興味深いのは、2018年7月は、注文数が比較的少ないにもかかわらず、USD取引で過去最高の80億ドルを記録したことです。この記録は、110億ドルの取引が行われた先週の2019年5月11日まで破られることはありませんでした。これらの記録は、1取引所において取引された1日あたりの仮想通貨取引額としては、依然として過去最高額であり、XBTUSD 永久スワップは、これまでで最も取引された仮想通貨商品です。この商品はこれまで、新規参入業者、既存業者を問わず、様々な仮想通貨取引所によって何十回も模倣されてきました。

2018年5月、当社は、取引エンジンでの注文のキャンセル、修正、および発注行動を最適化し、kdb +が提供できるような速度に合わせるために、内部データ構造やアルゴリズム、さらには監査チェックの改良に注力し始めました。既存のトレーディングエンジンが、現在行っていることをはるかに速いスピードで続けられるよう、当社はこの作業にたいへん注力しました。この努力により、非常に短期間でパフォーマンスを10倍以上に向上させたことをたいへん誇りに思います。パフォーマンスは、最初の30日間で4.6倍に、8月末までには10倍に向上しました。パフォーマンスが向上したことで、取引エンジンにおけるほぼすべてのオーバーロードが7月中旬までには解消されました。この驚くべき結果を達成したテクノロジチームをたいへん誇りに思います。

下記は、すべての書き込みリクエスト(注文の発注、修正、キャンセル)のオーバーロードをパーセンテージで示したもの。
赤いほど、オーバーロードが強いことを示します。

2018年5月5日

2018年7月16日

市場は当社のこの能力拡大に反応し、BitMEXの取引量は急増しました。当社の1日あたりのビットコイン取引量は、仮想通貨業界初の100万XBT取引の水準に達しました。この能力増大により、当社は、業界初のETHUSDクワント永久スワップのような革新的な新商品の発売を継続することができたのです。このETHUSD 商品は、上場から6週間で、業界一取引量の多い商品となりました。2018年11月、1日の取引量は200万ビットコイン近くに達し、2019年5月には110億ドルに達したのです。

7月のグラフでは、完全にオーバーロードが解消されているように見えますが、このレポートを読んでいるあなたなら、そのままの状態が続いたわけではないことをご存じでしょう。なぜ完全に修正されていないのでしょうか? なぜ100倍以上に達するよう、我々は努力を続けなかったのでしょか?

いくつかの背景をご説明しましょう。

順番待ち

BitMEX上のリクエストに対するサービスは、チケットカウンターに並んで順番を待つのと似ています。あなたは列(キュー)に並び、列が解消されたら、自分のリクエストを行います。

チケットを購入するのにどのくらい時間がかかりますか? まあ、列をなしていなければ、非常に速く済ませることができるでしょう。インタラクションは、少なくとも個々のリクエストに対応している間は続きます。トラフィックとボリュームが非常に少ないほかのトレーディングサービスでもイライラが生じるのは、このためです。たとえリクエストのキューがそれほど長くなくても、最大能力が低い場合は、そうなります。

キューが非常に長い場合はどうなるか考えてみましょう。あなたのリクエストが処理される間だけでなく、あなたの前にいるすべての人の処理が終わるまで待たなければなりません。たとえ世界一やり手のスタッフがいたとしても、順番待ちの列ができ始めたら、普通は非常に不満を感じるものです。

単純で非常に素早く処理されるリクエストもありますが、複雑で時間のかかるリクエストもあります。リクエストそのものを回避することができる場合(たとえば、ユーザーの利用可能残高が、リクエストを完了するのに必要な額に達していない場合)、自動チェックインカウンターやバッグドロップのような最適化システムを使って、そういう人たちが順番待ちの列に入らないようにすることもできます。

Webサービス上のトラフィックも同様です。 たとえ個々の要求は非常に素早く処理できたとしても、たったひとつのリソースのために列ができれば、顧客満足度は低下します。

これと同じような話を以前聞いたことがあるでしょう。AmazonとAlibabaは、休日に大きなシステムダウンを起こしたことがありました。ツイッターには、この失敗を批判する声が上がりました。BitMEXを含む多くのプラットフォームもまた、たまに運悪く順番待ちの列を発生させしまうことがあります。

オーバーロード

ご存知かもしれませんが、「システムオーバーロード」は、この問題に対処するためにBitMEXが採用しているメカニズムのひとつです。信じられませんか?  いったいどうすれば、オーバーロードが「問題」ではなく、逆に「解決策」になるというのでしょう? オーバーロードは、業界ではむしろ「負荷制限(ロードシェディング)」として知られる情報システムにおいて利用される防御のための仕組みです。システムがクラッシュして、一切のリクエストが処理できなくなる状態になるのを避けるため、いくつかのリクエストを無視することにより、システムのオーバーロードを回避するのです。

当社は、負荷制限に関する明確な規則とそのメカニズムを説明するための文書を公開しました。

未処理のリクエストの列がいっぱいでないときに注文を出す

未処理のリクエストの列がいっぱいであるときに注文を出す(オーバーロード)

これを理解するために、負荷制限を持たないシステムを考えてみましょう。需要の増加に伴い、順番待ちの列ができ、その列が長くなり始めます。

最悪の場合、どうなるでしょうか?  市場が動いているとき、トレーダーの巨大な群れは、ポジションを増やしたり減らしたりするために、競って発注します。遅延はそのうち解消されると思うかもしれません。すなわち、サービスの質が低下するにつれて、トレーダーは発注ペースを落とし始め、ひとつずつ処理が終わるのを確認してから、次の注文を出すようになると思うかもしれません。しかし、実際には逆のことが起こります。応答時間が長くなると、自動裁定取引者は、迅速に市場に参加して、他の取引所と同等の流通価格を維持するということができなくなります。また経験豊富なトレーダーは、価格差を把握し、手動でより有利な取引を行おうとしますが、こうした行動がさらにキューを長くしてしまいます。

何らかの予防策がなければ、キューは何分もの遅れにつながる可能性があります。ユーザーが、待機中の注文を効果的に発注できなくなるにつれ、オーダーブックのスプレッドは拡大します。注文が実際にキューを通過し、執行されるまでの間に、素晴らしい市場価格が、ひどい価格に変わってしまいます。このような状況では、取引は事実上不可能です。これは単なる仮説ではありません。他の仮想通貨市場も直面している共通の課題なのです。

これに対するBitMEXの解決策は、取引エンジンのキューに入れる注文管理リクエストの最大数を制限することです。取引エンジンの前には、リクエストを、読み取り(すなわち、GET / api / v1 / positionなどのデータを取りに行くこと)と書き込み(たとえば、注文の発注/修正/キャンセルおよびレバレッジの変更など)を識別するサービスがあります。書き込みの場合は、メインエンジンに委譲され、キューができることになります。このキューが長くなり過ぎた場合、キューに参加させて待たせるのではなく、すぐに注文を拒否するようにしました。このキューの長さは、最悪の場合でも3~5秒のレイテンシー(待ち時間)になるよう、エンジンのパフォーマンスに合わせて調整されます。

負荷制限に関する当社の文書によれば、キャンセルのような特定の種類のリクエストは、そのサイズに関わりなくキューに入ることができますが、他のリクエストと同様、列の最後尾に並ぶことになります。

このようにすれば、トレーダーは、注文がキューの最後尾に並んだ後に、執行に時間がかかるということを知るのではなく、システムの遅れを即座に把握することができます。このため、エンジンが減速することはありません。実際、オーバーロード中は、エンジンが最大注文数に達すると、オーダーブックとトレードフィードは非常に速く動きます。

オーバーロード中の取引

トレーダーの中には、取引がオーバーロード中も続くということに不満を抱く人もいます。実際、私たちはこのことに関して、ツイッターやトレーダーのチャットルームで、多くの陰謀論を目にしてきました。基本的に、これらは真実ではありません。BitMEXのすべてのトレーダーは、平等にアクセス権を有し、同じキューの最後尾に並びます。取引エンジンはいつでも、キューに並んでいる人のリクエストから可能な限り速く処理していきます。

システムに入力する注文の数が、システムが処理できる数の5倍に達したら、注文の20%のみが受け入れられ、80%が拒否されます。どの注文が拒否され、どの注文が受け入れられるかに関しては、単に注文が到着した時点でキューに空きがあるかどうかで決まります。あなたのリクエストが、別の注文に対するレスポンスが行われた直後にシステムに到着した場合、キューが最大限度数を下回るため、あなたのリクエストは受け入れられることになります。あなたの直後に提示された注文は、受け付けられないかもしれません。

取引のピーク時には、BitMEXの注文入力は、通常の2030倍に膨れあがります! 1分あたりの執行取引が1億ドル以上に達したこともあります。もしこの状態が続けば、取引量は1時間あたり60億ドル、1日あたり1440億ドルを超えることになります。これは、BitMEXや他の仮想通貨プラットフォームで1日に記録された最高取引量の13倍に相当します。

画像上部:合計リクエスト数 紫= API、青=フロントエンド。

画像下部:10秒ごとに拒否された注文比率(パーセンテージ)。この事例は、異常に高い比率を示しており、オーバーロードが最悪であったことを示しています。実際には、1日のうちにBitMEXに送信されたすべての注文のうち、負荷制限によって拒否されるのは2~3%に過ぎません。

急激に市場が動いたため、上図では、注文数が大幅に増加しています。

常にスムーズな取引を提供するには、BitMEXは、取引の集中するこうした事態にも対応できるよう、大きく余裕のある容量を確保する必要があります。 以下に、この目標を達成する過程で直面したいくつかの課題を説明します。

高いスケーリング能力とアムダールの法則

スケーリング問題はどうすれば解決できるでしょうか? スケーリングには「垂直方向」と「水平方向」の2種類があります。垂直方向のスケーリングは、個々のシステムの速度を上げることを意味します。これを実現するには、より高速なプロセッサを購入するか(幸運なことに、CPUに関してムーアの法則は適用されなくなっています)、作業量を減らす方法を見つける必要があります。一方、水平方向のスケーリングは、「お金で解決する」類いの問題です。より多くのサーバーを稼働させ、それらのサーバー間で負荷を分散させます。

Webサーバーは、水平方向にスケーリングが可能なサービスのよい例です。 適切に設計された、たいていのシステムでは、顧客の需要を処理するために、Webサーバーの数を増やすことができます。ある応答が別の応答に依存しない限り、食料品店のチェックアウト係のように、複数のサーバーを並行して作動させても問題ありません。

これは非常に単純化された例ですが、多くの場合、スケーラビリティ・ソリューションは、もっと徹底した「お金で解決する類いの問題」です。多くのシステムは水平方向に拡張します。ほとんどの顧客のエクスペリエンスは互いに完全に独立しており、Webサーバーを増やせば簡単に処理できます。 バッキングデータベースは、多くの場合、データを相互に複製しながら水平方向に拡張できます。

水平方向のスケーリングには限界があり、よくアムダールの法則として表現されます。 つまり、システムの水平方向のスケーリング能力は、直列なオペレーションが求められる場合(すなわち、特定の順序で実行されなければならないオペレーション)によって限定されます。たとえば、複数のサーバーを介して、並行して実行することにより、スピードアップしたい、単純でシングルスレッドなサービスを想像してみてください。パフォーマンス分析の結果、作業の25%は、順番に行われなければならないものだということが分かったとします。この場合、残りは並行して行うことができます。これは、あなたがお金をかけて、いくら多くのコアまたはサーバーを用意したとしても、その数に関係なく、1/25%= 4であるため、4倍のスピードアップしかできないことを意味します。このちょっとした直列な作業がボトルネックになります。

出典:https://learnyousomeerlang.com

この直列要件は、BitMEXがほかの多くの一般的なWebサービスと大きく異なる点です。 BitMEXの取引エンジンは、はるかに多くの直列要件を持っているため、並列化の可能性は著しく制限されます。

シーケンシャル問題:注文とリマージニング

BitMEXの取引エンジンは、先入れ先出し法(FIFO)で注文を処理しています。人気の高いインターネットプロバイダーに電話をしてもなかなかつながらず、保留にされるように、取引エンジンへのコールも、受信された順に処理されます。

これは市場の基本原則であり、変更することはできません。オーダーブックは、注文を順番に受け付ける必要があります。つまり、注文すること自体が問題なのです。アグレッシブな注文が行われると、それによって流動性が奪われ、他の注文は流動性を享受できなくなります。このため、個々のマーケットでは、マッチングを効果的に行うことができなくなります。ただし、マッチングは、マーケットごとに1つのプロセスにデリゲート(委譲)される場合があります。

BitMEXは本稿執筆時点において、エンジンの前で、プロキシと直接通信するAPIサーバーを約150台稼働させています。このプロキシは、データミラーへのリクエストの読み取り、pub / Subシステムへのウェブソケットデータの読み取り、エンジンへの直接的なリクエストの書き込みをデリゲートします。

ご想像のとおり、書き込みは、システムの中で最もお金のかかる部分であり、スケーリングが最も困難な部分でもあります。取引システムが効果的に機能するためには、次の条件が必要になります。

  • すべての参加者が、同時に同一のマーケットデータを受け取らなければならない。
  • 参加者は誰でもいつでも書き込みを送信できる。
    • 書き込みが有効なうちに、パブリックステートを変更する場合は、その書き込みが承認され、執行された後に、変更されたワールドステート(世界の状態)は、すべての参加者に送信されなければならない。

このシステムは最適化されていないため、二次スケーリングを行います。すなわち、100人のユーザーが1分間に1つの注文を送信すると、10,000(100 × 100)マーケットデータパケットが各参加者に1つ生成されます。ユーザー数が10倍の1,000人になれば、100倍のマーケットデータ(1000 × 1000)が生成される、といった具合です。

この記事の冒頭で述べたように、BitMEXは2017年に129倍に成長しました。その間、当社のユーザー数もそれに比例して拡大しました。 これは、2017年12月31日には、2017年1月1日時点に比べ、約16,641倍(129 × 129)のメッセージが送信されたことを意味します。

システムの一貫性

BitMEXをスケーリングするのは難しい作業です。私たちは、従来のスポット取引やデリバティブ取引のプラットフォームではありません。サインアップから入金、取引までの顧客のライフサイクル全体を処理します。

100倍のレバレッジを安全に提供するためには、BitMEXのシステムが正しく、高速に作動しなければなりません。BitMEXは公正価格マーキングを使用しています。これは、オリジナルなシステムですが、しばしば模倣されることもあります。このシステムは、その金融商品の直近の取引価格ではなく、元になる原資産のスポット価格の総合指数を使用して、ユーザーのマージンを再決定するものです。これにより、BitMEX市場は、外部の流動性を参照して操作することがはるかに困難になります。

これが正しく作動するためには、BitMEXエンジンに一貫性がなければなりません。 マーク価格が変わるたびに、システムは、すべてのユーザーのオープンポジションのマージンを再計算します。このとき、システム全体が、制御ルーチンによって監査されます。すべてのオープンポジション、すべてのオープンオーダー、すべての残余マージンのコストは、入金合計額と正確に一致していなければなりません。1サトシでも不明金が出れば、システムはシャットダウンします。こうしたことが、初めの頃は何度か起こりました。これは、アフィリエイトの収入や手数料における四捨五入などで、そのサトシに多少の誤差が生じるためです。エラーが発生するたびに、わずかな資金を補填するという誘惑はありましたが、当社チームは、システムの支払能力が最も重要であると考えています。すなわち、可能な限り高度なスタンダードを採用する必要があるのです。システムは、状況が大きく変化するたびに、今日も正確なサトシ額合計を監査しています。

悪意のある者が、BitMEX上のデータベースにアクセスして、自分の残高を編集するというのは不可能です。システムは、お金がどこからも出ていないことを即座に認識し、致命的なエラーを発生させ、シャットオフするでしょう。

監査する前に、あなたのアカウント全体の現在価値、すなわち、すべてのオープンポジションとオープンオーダーの、新しい価格に基づく価値を、一から再計算する必要があります。これによりトレーダーは、自分のアカウントに十分な資金がない場合は、全く買うことができなくなります。トレーダーのBitMEXの残高がマイナスになることはありません。

このシステムをスピードアップすることが、当社がスケーリングに注力する目的のひとつです。 マッチングは比較的時間がかからず、簡単にスケーリングできます。マージニングの場合はそうはいきません。BitMEXは、常に「早いうちに速く修正する」よう努めてきました。したがって、この作業にかかった時間の多くは、主に正確性を期すためのものでした。不正確な結果は許容できないので、正しく分散されたシステムが、プロデューサーの遅延や失敗を検出し、負荷を再調整し、重要な処理を限られた時間内に完了できなければなりません。これには、慎重で体系的な注意と厳密なテストが必要です。

当社のエンジニアは、最適化を安全に行うことができるいくつかの重要分野を特定し、プラットフォームの容量を劇的に増加させるための新しい堅牢なアーキテクチャを提供できるよう、絶え間ない努力を続けています。

APIファーストデザイン(API第一主義に基づく設計)

BitMEXは他社とはかなり異なります。APIファーストを採用しているからです。 BitMEXのアーキテクチャは、取引エンジン、API、Webフロントエンドの3つの主要部分で構成されています。フロントエンドという用語に、「the」という冠詞は付けませんでした。なぜでしょう?

BitMEXを構築するとき、私たちは最高級のAPIを望みました。優れたAPIにより、開発者は堅牢なツールを簡単に構築できます。想像もしなかったような視覚化やインターフェースさえも可能にします。私たちがコーディングを始めた頃、仮想通貨取引のAPIの性能は使い物にならないレベルだったと言っても過言ではありません。その多くは、規則も、文書も、事前に作成されたアダプタも備えていませんでした。重要なデータがないことも多く、重要な機能はWebサイト上でしか実行できませんでした。さらに悪いことに、多くの場合、ウェブソケットフィードを備えておらず、非公開にしてWebサイト経由でのみアクセス可能なものも少なくありませんでした。

BitMEXは、この傾向を覆し、仮想通貨取引におけるAPIに新たなスタンダードを導入しました。いかなるプログラムでも利用できるよう、ウェブサイトはAPIを使用しなければならないと規定することにより、敢えて「ドッグフーディング」方針を採用しました。これは「the」フロントエンド(すなわち、そこでしか通用しないような独自のフロントエンド)がないことを意味します。当社にあるのは、単に一般的な公式のBitMEXフロントエンドに過ぎません。プロジェクトとしてのBitMEX ウェブサイトには、API開発者のEARといくつかのログインや登録不正使用防止メカニズム以外に特別なアクセスはありません。

これはまた、BitMEXにアクセスするためのメカニズムが、他のメカニズムより速くも遅くもないことを意味します。モバイルデバイス、ブラウザ、オーダーメイドのAPIコネクタ、あるいは「Sierra ChartのDTCインテグレーション」のどこから入っても、すべてのユーザーは、同じデータパスと同じキューに入ります。こうして、すべての人は公平に扱われます。

BitMEXは、最初から以下のものを備えていました。

  • 注文、取引、オーダーブック、ポジション、マージン、金融商品などを含むすべてのテーブルのウェブソケット変更フィード。ここでは、すべてのテーブルは同一のフォーマットに従います。
  • Swagger(スワッガー)仕様(現在OpenAPIと呼ばれる)を通じて人とマシン両方が使用可能な完全に文書化されたオープンAPI
  • GitHub上の複数のサンプルプロジェクト
  • WebサイトとAPIコンシューマの両方に対する統一されたデータパス。

リアルタイムデータ

APIファーストデザインへのBitMEXのコミットメントは、リアルタイムデータの実装において異彩を放っており、このことは当社のウェブソケットを見れば分かります。上で述べたように、すべてのテーブルにはリアルタイムのフィードがあります。これは仮想通貨業界では初めてのことで、今でも非常にまれな状況です。さらに、すべてのテーブルは同じフォーマットに従っており、わずか30行のコードを書くだけで、いかなるストリームも処理できます。あるいは、当社のGitHubから入手して利用することもできます。

このデータは、エンジン自体によって生成されたチェンジストリームから流れ、個々のユーザーのサブスクリプションによってフィルタリングされます。これにより、テーブルのサブスクライブ、リクエストの作成、変更のためのストリーム上での待機など、BitMEX上でのインターフェースの構築において、非常に快適なフローが可能となります。一般に、HTTPリクエストに対するレスポンスは、エラーでない限り無視できます。これにより、アプリケーションにおいてありがちな二重性を回避することができます。すなわち、これまでのアプリケーションでは、ウェブソケットストリームとHTTPレスポンスの両方を別々に読み取って合体しなければならないため、おかしなコードとバグが発生していましたが、これを回避することができるのです。

私たちは、トップレベルのアプリケーションインターフェースを構築するという当社のこの理念が、ユーザーランドの最高の統合を実現するだけでなく、BitMEXウェブサイトと今後のモバイルアプリを最高のものにすると信じています。

当社のリアルタイムフィードは、BitMEXプラットフォームが正常に機能するために必要な、最も重要な部分です。私たちはこの目的に向かって、システムの大幅な内部修正を行っています。これにより、外部を変更せずに、レイテンシー(待ち時間)とスループット(処理速度)を大幅に改善することができると期待しています。当社はまもなく、このシステムのローンチとその結果を発表する予定です。

次のステップ

上記により、当社が将来100倍に成長することを見据えて、プラットフォームをスケーリングする際に直面する課題について、すべての方々に十分に説明することができていれば幸いです。私たちはプラットフォームの成功を誇りに思っており、ユーザーに感謝しています。ただし、今後も発展していくためには、改善し続ける必要があります。

BitMEXトレーディング・エンジン・チームは、プラットフォームの更新を週に数回リリースします。これらの段階的な変更は、トレーディング・プラットフォームの継続的で長期的なリアーキテクチャであると同時に、エンジンに対する戦術的なインプレース能力の向上でもあります。これらの努力、成功、失敗については、このシリーズのパート3でご説明します。

当社のエンジンチームは、システムのスループットの大幅な改善を定期的に行ってきました。まさに最近、2019年5月23日に、同チームは、インフラストラクチャにおける大規模なアップグレードを行い、新規注文の処理能力を最大70%向上させました。今後数カ月間にわたり、こうした容量の大幅な改善を実施し続けると同時に、プラットフォームのより大規模なリアーキテクチャを並行して行って参ります。

新規注文の中央値、平均値、および99パーセンタイルの処理時間。アップグレードされたコードは、01:20(世界標準時)頃に開始されました。

95パーセンタイルの注文キャンセル処理時間(APIを通じて利用可能な3種類のキャンセル操作の場合)

当社は、トレーディングエンジンのスケーリングを急速に進めていますが、チームのスケーリングも行っています。BitMEXは、電子商取引システム、スケーリング、インフラストラクチャ、セキュリティ、そしてWebの分野で、世界的に有名な専門家を雇用しています。あなたがこの記事に興味を持ったとすれば、あなたが、当社の欲する人材であることの証かもしれません。当社の採用ページにはワクワクするようなチャンスが記載されていますので、ぜひご覧ください。

更新:2019年3月29日のシステム一時停止に関するお知らせ

3月29日の12:00 UTC(日本時間21:00)に、BitMEXは一部機能が約15秒間停止しました。この間、決済処理中にエンジンがブロックされたため、すべてのリクエストは負荷制限となりました。 15秒の停止後、プラットフォームは正常に戻りました。

20:13 UTC(日本時間 翌日05:13)に、BitMEXウェブサイトにて少数のユーザ様は一部サービス中断となりました。この問題はすぐに特定され、修正されております。 またAPIは影響を受けておりません。
ご不便をおかけして申し訳ありません。質問がある場合は、カスタマーサポートまでご連絡ください。

2019年2月8日に発生したAPIタイムアウトについてのお知らせ

本日UTC 05:40から07:11の間(日本時間 同日14:40から16:11の間)に、BitMEX REST APIへのリクエストのサブセットが、APIレイヤーでのリソース同士が競合をしたためにAPIの応答が遅くなり、最終的にAPIタイムアウトとなる事態が発生しました。社内のアラートメカニズムを介して検出したのち、数分以内に原因を特定し、即時の影響を軽減しました。現在進行中の問題はなく、この間、取引エンジンやユーザーデータに影響はありませんでした。

問題の根本的な原因に対する修正は特定されており、優先事項として取り組んでいます。これらが利用可能状態になった際は、別のアナウンスメントでお知らせ致します。また、潜在的な類似の問題をより早く検出して解決するために、システム監視を強めております。この度はご不便をおかけし申し訳ございません。